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133話 大変身

ソウカさんを部屋に連れてきてから一夜が明けた。あの後皆でお風呂に入りソウカさんの体を綺麗に洗い流してあげた

服の上からでも痩せていたのは見て分かっていたが、脱ぐとそれは如実に現れていた。傷のようなものは見当たらなかったがつまめるような贅肉は全く無く、うっすらではあるが肋骨が浮き上がっていた。大きめの胸がそれをより一層強調させてくる

獣がいない森で寝泊まりを繰り返していたと言っていたが、必ず現れないという保証はないしましてやソウカさんは女性。襲ってくるのは必ずしも獣だけとは限らないので最悪な事態にならくてよかった


髪の汚れを落とす為に王城で使われている特別製の洗髪剤で丁寧に洗っていく。しっかり泡立てて念入りに洗うとみるみると汚れが落ちていき、先程までボサボサだった髪が見違えるようなサラサラツヤツヤな髪へと変わっていった

髪が綺麗になるとそれだけで大分見た目の印象も変わり、表情も少し明るくなったように見える

ピカピカになり温かい湯船に浸からせて暫くすると安心したからか体が温まったからか、ウトウトと今にも眠ってしまいそうになっていたのでお風呂から上がり寝間着に着替えさせてベッドに連れていくとものの数分で眠りについた


そして今日、朝食を済ませた後私達は2日目の祭りへと繰り出した。初日に比べて2日目から参加する人もいて街中は昨日より更に賑わいを見せていた




「わぁ・・・・改めて見るとす、すすす凄い人ですね。ゆ、勇者様の生誕祭に参加するのなんて初めてです。き、昨日はコンサートの事とか緊張でそ、それどころじゃなかったので・・・・」


「じゃあ今日は思う存分楽しみましょう。気になるものがあったら遠慮せずに言って下さいね」


「あ、ありがとうございます」




朝食時に祭りに行くのにソウカさんの予算を知りたかったので耳打ちで教えてもらったところ、出店でちょっと使ったらすぐ無くなってしまう金額しか残っていないようだったので、今日1日ソウカさんが支払う代金は全て私が負担する事に決めた

当然ソウカさんは断ってきたが、そうすると私達が買い物をしている横でただ指を咥えて見てるソウカさんの図が出来上がってしまう

流石にそれは気が咎めるのでなんとか説得して首を縦に振ってもらった


生誕祭用に制作された王都パンフレットを見て目的地を決め、いざそこへ向かおうとするとセフィリア、フィオナ、フレイヤ、セレーネがソウカさんの前に立ちはだかってきた




「なにどうしたの?」


「ふっふっふ・・・・今朝私達も話し合って決めたんだよ。皆でソウカちゃんを可愛くしてあげようってね。名づけて!ソウカちゃん大改造計画!」




どうやら今朝私とソウカさんが話している時にこっそり話して決めたらしい

多分ソウカさんを綺麗にして見た目からでもいいから少しずつ自信をつけさせようという考えなのだろう




「ソウカちゃん昨日も同じ服を着てたよね?その服しか持ってないんでしょ?大切に着てるのはいい事だけど女の子なんだからもっとお洒落しないと!」


「あっ、いやでもわ、私にお洒落なんてそそそそんな贅沢・・・・」


「まぁまぁ、試着してみてそれで気に入らなかったら断ってもらて大丈夫ですから。とりあえずお店に行ってみましょう♪」


「あっ、ちょ、ちょ〜・・・・・」




そう言ってソウカさんの手を引き有無を言わさずここから1番近い服屋へと連れて行ってしまった。私が言えたことじゃないがあまり無理させないといいけど・・・・

お店に入ると4人は散開して店内にあるソウカさんに似合いそう服を各々選んでいき、選び終えるとソウカさんと共に試着室の中へと消えていった

ブラウスとタイトスカートの大人びた格好にボーイッシュなショートパンツにTシャツ。人形のように目まぐるしく次々と着せ替えられていく

そうしてようやく試着室から出てきた4人の手には購入が決まった物と思われる服が両手にたくさん抱えられていた

最後に出てきたソウカさんはワンピースに上にカーディガンを羽織った姿で現れた。ヨレヨレの服から変わった事で一気に可憐な女性へと変身した




「うんうん、やっぱこっちの清楚な感じの方がソウカちゃんには似合ってるね」


「こ、こここんな立派な服本当にいいんでしょうか・・・・?」


「いいんですいいんです。よしっ!せっかく可愛くなったんですからもっと可愛くなっちゃいましょう!すみません店員さーん。お化粧もしたいんですけどー」




服を買い終えるとフィオナがソウカさんの顔に化粧を施しに奥の化粧室へと消えていった。手伝えることもないのでお店の外で待機。暫くして扉が開かれるとお店に入った時とはまるで別人のソウカさんがそこにいた

元々顔立ちがいいからということでガッツリするのではなく自然な感じのナチュナルメイクにしたそうだ

大人びた雰囲気を醸し出すソウカさんに視線を飛ばす者を少なくなかった。鏡を渡して変わった姿を見せるとソウカさん本人が1番驚いていた




「こ、れが私ですか・・・・?今までお化粧なんて勿体なくてしたこと無かったんですがここここんなに変わるものなんですね」


「凄く似合ってますよ」


「綺麗になったなー!」


「キュン!」




皆から褒められてむず痒いのかモジモジしだすソウカさん。強引にお店に入れて最初はあまり乗り気ではなかったようなので不安だったが、最終的には喜んでいる様子だったので一先ず大改造計画は無事成功したみたいで安心した

その後私達はソウカさんと共に色々な出店を見て回った。美味しい物を食べたり色んな遊びを体験していると段々と笑顔を見せてくれるようになった

昨日は本当に死人のような顔をしていたからな。少しは気が紛れてくれただろうか


楽しい時間というのは本当に短く感じるもので、辺りは徐々に暗くなっていき周りのお店も夜に備えての準備を始めていた

昨日は早めに切り上げて城で夕食を食べたので、今日はこのままどこかのお店で食べようかと話している最中、周りにいた人達が皆一様に同じ方向へと向かいだした




「なんだか皆ぞろぞろ移動を始めたな。これからなんかあるのか?」


「あっ、そ、そういえばもうすぐコンサートの時間になるからそ、それだと思います・・・・」




大勢の人達が向かう先はライトアップされていてそこだけ一際明るくなっている。ソウカさんはそこを物悲しそうな目で見つめていた

昨日の今日で自分が降ろされた場所に行くというのは流石に酷だろう。気にはなるが今回は諦めるとしよう




「私達は逆の方に行ってみようか。皆いいかな」


「私はエレナさんがいればどこでも構いませんよ♪」


「あっちには有名なお店があるらしいのでそこで食事を・・・・」


「あ、ああああのわたうぇゲホッゲホッ!」




流れに逆らってコンサート会場から離れた場所に行こうとしていると、突然ソウカさんが大きな声で呼び止めてきた

普段大声を出し慣れていないのか激しく咳き込んでいたが、それよりも初めて大きな声を出してきたことに驚いた

息を整えソウカさんが再び口を開く




「ふぅ・・・・わ、私行ってみたいです。コンサート会場」


「大丈夫ですか?無理しなくてもいいんですよ」


「い、いえ。私が立つ場所だった会場をこ、こここの目でちゃんと見ておきたいんです・・・・」




買ったばかりのワンピースの裾をぎゅっと握り自分の気持ちをハッキリと伝えてきたソウカさんの意志は固そうだった

見た目が変わっただけでなく心境の変化もあったようで目の前にいるソウカさんが本当に別人のように見えた

その意志を尊重し、私達はコンサートが開かれる場所へと行ってみる事にした




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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