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118話 襲われた理由

「わわわわ!なんでこっちに向かって来るんですか~!」




溶岩から飛び出してこちら目掛けて一直線に襲ってくるラヴァロドンを振り切る為、潜水艇の速度を限界まで上げて来た道を全力で逃げる

ある程度縄張りから遠ざかれば追いかけて来るのを諦めるかと思ったが、相手にその様子はなくこちらは逃走を続けた

やがて先程岩場の場所まで戻ってくると、チェルシーさんは速度を上げたままの状態で蛇行して抜けていく。それによって艦内は激しく揺れた




「あいたー!頭打ったぞー!」


「手すりとかにしっかり掴まってて下さいー!」




この岩場ならラヴァロドンは入ることは出来ないだろうという考えで入ったが、ラヴァロドンはそんな事お構い無しに立ちはだかる岩を破壊しながら徐々に距離を詰めてきた

その衝撃のせいで上から無数の大きな石礫(いしつぶて)が潜水艇を襲い私達の行く手を阻む。それを避けようと更に艦内は激しく揺れる


もう少しで岩が連なっている場所を抜けようというところで、衝撃によって来る時何でもなかった道の岩が崩れて塞がれてしまっていた

上に逃げたいところだがこの潜水艇で速度を保ったまま浮上することは難しいらしく、その間にラヴァロドンに追いつかれてしまうという

どうにか抜けられる場所はないかと周囲に目を配ると、ちょうど潜水艇がギリギリ通れそうな岩と岩が絶妙なバランスで積まれたトンネルのようになっている場所を発見した

チェルシーさんにそこの場所を指示し、トンネル目掛けて全速力で向かう


それとほぼ同時にラヴァロドンが口を大きく開いた。その口にはどんどん大きさを増す赤い玉が見えた。ブレスだ

今あの大きさのブレスを撃たれるのはまずい。障壁を張りたいところだが、生憎障壁は風圧までは防ぎきれない

もしあのブレスを至近距離で防いだら爆風でこの潜水艇のコントロールを失ってトンネルに入れず岩肌に直撃してしまう恐れがある。かくなる上は・・・




「はわわわ!こんな所で撃たれたら避けられませんよー!」


「落ち着いてチェルシーさん。チェルシーさんはこのまま全速力であのトンネルを抜ける事だけを考えて下さい。フレイヤ!フレイヤは今すぐブレスの準備を!」


「えぇ!?こんな場所でブレス使ったらこの船が壊れちゃいますよご主人様!」


「大丈夫。ちゃんと考えはあるから」




私は転移門をフレイヤの目の前に開き、出口を直線上にいるラヴァロドンの付近に発動した

この転移門を利用して外に出ることなくあのブレスを相殺する

出来ることならば入口と出口両方を海中で発動してあのブレスの軌道を逸らしたいところだったが、距離が離れすぎていると上手く発動できない為今回はこの方法でいく事にした

フレイヤの準備が整う頃にはあちらのブレスの玉も相当な大きさになっていてこちらに狙いを定めていた

そしてあちらがブレスを発射した瞬間を狙ってこちらもフレイヤのブレスを放った


フレイヤのブレスは海中の影響で普段より弱まってはいたが、ラヴァロドンのブレスを食い止めるには十分な威力だった

ブレスが相殺するとその衝撃でラヴァロドンの近くの岩が崩れる

私達の方も限界が近づいていたが、なんとかトンネルを潜り抜けて岩場からの脱出に成功した

ラヴァロドンがいた場所は岩が完全に崩壊。下敷きになってしまっただろうか

海中に舞い上がった砂煙のせいで視界が悪く状況が把握出来ない

とにかくこの場から早く離れようとチェルシーさんが潜水艇を動かそうとしたその時、砂煙が再び舞い上がる

その中から姿を現しこちらに向かって来るラヴァロドン。これだけやってまだ追いかけてくるのか




「どこまで追ってくるんですかもう!これならどうだ!」




チェルシーさんがハンドルの横の無数にあるボタンのうちの1つを押した。すると最後尾の方から赤い玉のようなものが発射された

それがラヴァロドン顔面に直撃すると破裂し、赤い粉のようなものが撒かれた。するとラヴァロドンは悶える苦しむような動きをしてその場で暴れだした




「トウガラシを粉末状にした催涙弾のようなものです。当たってよかった・・・・今のうちに逃げましょう!」




ラヴァロドンが怯んでいるうちに急いでその場から距離を置く。数キロ程進んだところで一度停止して様子を確認

辺りにラヴァロドンの気配はもう無くなっていた。今度こそ逃げ切ることができたと分かるとチェルシーさんは操縦していた潜水艇のハンドルを離して一息ついた




「はぁ・・・なんとか逃げきれみたいですねぇ」


「お疲れ様でした。でもなんであんなに怒ってたんですかね」


「分かりません。過去にも何度かあそこには行ったことありますが今回のような事は初めてで・・・・」




接近したわけでもなく離れた距離からただ様子を見ていただけなのに自分の縄張りを離れてあそこまで執拗に追いかけて来るのは流石に異常だ

気にはなるがまたあそこに戻るのは難しい。それに最初は来た道を戻っていたけど途中から逃げるのに必死だったから当初のルートから大きく外れてしまっているようだ

幸いこの辺りの地理はチェルシーさんが知っているようなので助かった。私達だけだったらここが何処だか全く分からなかった


当初のルートに戻る為私達は小休憩を挟んだ後再び移動を開始した。艦体が激しく揺れた為フィオナがまた船酔いになったようで完全にグロッキー状態

仕方ないので低速走行で移動をしていると、途中で私達がチェルシーさんの迎えを待っている時に横を通り過ぎていった魚人のグループを偶然発見した

こんな場所まで漁に来ているのかと思って見ていると網の中に入っている獲物に違和感を覚えた




「ん?あの網に入ってるのって・・・・」




チェルシーさんも気がついたようだ。魚人の1人が持っている大網にはラヴァロドンの子供と思われる小型の魚が捕らえられていた

ラヴァロドンはあのグループに子供を盗られたからあんなに激昂していて私達の事も執拗に追いかけていたのかと合点がいった




「ラヴァロドンの子供は狩猟が禁止されているはずなのに・・・・許せません!」


「気づかれないように尾行してみましょう。もしかしたら助けられるかも」




私の言葉にチェルシーさんも了承してくれて尾行を決行。相手はこちらの存在にはまだ気づいていないようだから極力速度を落とし音を立てないよう追跡しよう


読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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