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11話 家を建てます

街へと帰ってきた私達はギルドで依頼達成の報告と回収した金品の換金を(おこな)った

全額の3割程をギルドに収めたがそれでも手元には相当な額が残り、ちょっとしたお金持ちになって話し合った結果全額私が管理するこことなった

フレイヤには「ご主人様にお仕えする身なので全てご主人様に捧げます」と言われ、フィオナは大金を持つのは怖いというこで丸投げされた


かくいう私もここまでの大金を持つのは初めてだ

勇者時代は資金援助という形でお金には困らなかったが、豪遊できるような金額を貰っていたわけではない

どこかに預けるか寄付しようかとも考えたが、この街に来る時から考えていた()()を実現できることを思い出し、2人にその事を提案することにした


「実は前から土地を買ってここに家を建てたいなぁって思ってたんだけど・・・それに使うっていうのはどうかな?」


「私達のお家ですか。いいですね!」


「ご主人様との愛の巣・・・素晴らしいです!」


フレイヤの言ってることはちょっとよく分からないけどとにかく2人とも賛成してくれて安心した。そうと決まったら土地を買いにいかなくては


私達は今の部屋を借りにいったお店へと行き、部屋を出る旨を伝えた

正直引っ越して一月(ひとつき)も経っていないのに部屋を出ていくと言ったらどんな顔をされるかと不安だったが、土地購入の話を混じえて説明したら機嫌良く了承してくれた

この店では土地も取り扱っている様なので色んな土地を見させてもらい、皆の意見が一致した街の中心から離れた場所にあるのどかな土地を購入することに決めた

早速家を建てる為に2人の希望を挙げていってもらう


「はい!私は広いテラスが欲しいです!あとは設備が充実したキッチンが欲しいですかね」


テラスにキッチンか。フィオナらしいな

キッチンは基本フィオナが使用するだろうし私達の食事も用意してくれているからキッチンに関しては彼女の要望を全面的に取り入れるとしよう

次はフレイヤだ


「私は特に希望はありませんが・・・出来ればご主人様の隣の部屋を使わせて頂きたいです」


「そんなことでいいの?」


「はい、私はそれだけで十分です」


もっと要望を出してくれてもいいんだが、フレイヤ自身がこう言ってるのだからしつこく迫るのも野暮だろう

その他に地下の保管庫を作ったりお風呂にはサウナも取り付けたりと、家の費用はかからないから希望をドンドン取り入れて完成予想図を描いていった


「出来た!こんな感じだけどどうかな?」


渾身の力作を自信満々に見せつける。しかしその絵を見た2人の反応は私が期待していたものとは違った


「エレナさん・・・それはなんですか?」


「えっ?皆の要望を纏めた家だけど・・・あっ、イメージと違う箇所があった?」


「いえ、イメージとかそういう次元ではなくてですね・・・」


「ご主人様・・・これは流石にちょっと・・・」


2人してどうしたんだ?かなり上手く描けたと思うんだけどそんなにイメージと違ったかな?

その後、フィオナが描き直して改めて完成予想図を完成させることができた。なんだか納得いかない・・・


気を取り直して絵を元に家の建築に取り掛かる。まずは地盤だ

地盤がしっかりしていないと家が傾いたりしてしまう恐れがあるからきちんと作っておかないとな

家の基礎が出来たら土台を敷いていき、そこへ先端を型抜いた丸太をはめ合わせて次々と積み上げる

木には防腐効果と経年劣化を防ぐ魔法を付与させておき、最後に屋根を取り付ければ外装は完成だ

ここまできたらあとは図の通りに部屋を作っていくだけ

今回ここまで手順を踏んでいるのは、一度に作ると細かい所までイメージが追いつかず作りが疎かになってしまうのを恐れてのことだ

家が完成しても耐久性がなくてすぐ倒壊してしまっては元も子もないからな


間取りが出来たらキッチン、お風呂、トイレを作っていき買っておいた魔力結晶を設置していく

魔力結晶は生活の基盤であり、これがなければ明かりを灯すこともできないしコンロの火や冷蔵品を保存することも出来ない

最後に必要な家具を各部屋に置いていき、ようやく私達の家が完成した


「はぁ〜疲れたぁ・・・」


ここまで連続してこの魔法を使ったのは初めてでもう魔力がスッカラカンだ

魔力消費がそこまでではないとはいえ、私自身の魔力量自体が多いわけじゃないから乱発することはできないんだよな

地面に寝転がって休んでいると、買い出しから帰ってきたフィオナとフレイヤが完成した家を見て驚いていた


「わぁ!あっという間に家が出来ちゃいましたよ!エレナさんの魔法は凄いですね。こんなの見たことありませんよ」


「流石ご主人様、お見事です!」


「そ、そうかな。あとで中も確認してみてね」


フィオナにはパーティを組んで少し経った頃にこの魔法は私の固有魔法だということで説明はしたが、ここまでのものとは思っていなかったようだ

フレイヤにもその内伝えるとしよう


「そういえばフレイヤはお金の使い方覚えられた?」


「はい!バッチリです!」


荷物持ち兼お金の使い方をフィオナから教わる為にフレイヤを同行させたがちゃんと覚えてくれだようでよかった

今度試しにおつかいでも頼んでみよう


夜は新築祝いということでテラスでフィオナが作ってくれた豪華な料理とお酒を堪能した

ここなら多少酔っても大丈夫だろう

キッチンの使い勝手も良いとフィオナから好評だったので一安心だ

お風呂も木の材質を使用して作ってみたが、木の香りに癒されてとても心地よい


夜も更けり寝室に行き眠りにつこうとベッドに横たわるが、慣れていないベッドのせいか中々寝つけずにいると、扉がノックされので返事をするとフレイヤが部屋に入ってきた


「どうしたのフレイヤ?」


「あの、何だか落ち着かなくて・・・一緒に寝てもいいでしょうか?」


フレイヤもか。ベッドに寝始めたのもつい最近だから違和感があるのかもな


「いいよ、おいで」


「ありがとうございます♪」


嬉しそうにしてベッドに寝転がってくる。広めのベッドにしておいてよかったな

すると今度はフィオナがやってきた


「エレナさん、寝つけないのでお話でもって・・・あれ、フレイヤさんもいたんですね」


フィオナもか。変なところで息が合うな私達

結局その日は3人一緒に寝ることとなり、眠りにつくまで語り合った

念願の一軒家。当初は1人でこじんまりとした家を建ててのんびり過ごすつもりで、今は望んでいたような生活とは少し違うが・・・自分が望んでいたものより心地よい



読んでいただきありがとうございます

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「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

次回更新は水曜日19時です。よろしくお願いします!

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