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109話 剣術道場での出会い

武器屋をあとにして先程道中で見つけておいたお店を一通り回った後、集合時間までまだ時間があったのでぶらぶらと適当に散策することにした

新鮮な魚が売られている魚市場や土産屋等を適当にブラつきながら歩いていると、どこからか掛け声のようなものが聞こえてきた

声のする方へ行ってみるとそこには平屋の建物があった




「剣術道場・・・訓練場みたいなものかな?」




こんな観光地の場所にも訓練場のような場所があるのか。中から再び声が聞こえてきたのでこっそり覗いてみると、かなりの人数がそこにはいて全員で素振りを行っている最中のようだった

木製の刀を使って稽古を行っているのか。見た感じ男性しかいない・・・いや、1人だけ女性が混じっているな

一際大きな声を出している彼女は凛とした顔つきの中に可憐さがまだ残っている正統派美少女という言葉が似合う女性だ

けどまだ始めたてなのか、他の生徒より太刀筋のブレが目立ち若干の拙さを感じる

暫くその様子を観察していると、教官らしき老齢の男性が私に気づいて声をかけてきた




「何か用かねお嬢さん?」


「あっ、すみません。ちょっと気になったものですから見物させてもらってました」


「そうだったか、興味があるならせっかくだし中に入って見るといい。ちょうど今から試合形式の練習を行うところだから暇はせんと思うぞ」




そう言って座布団を持ってきて座るよう促された私はお言葉に甘えて中で見学させてもらうことにした

試合形式になるとどうやら装備を身につけるようだ。頭部、頸、銅体、小手の部分を相手より先に打ち込んだ方の勝ちというルールで行われていく

私が思っているよりも木刀での試合は迫力があり、刀や防具がぶつかり合う音が道場内に響き渡る

なんだか見ていたら段々体を動かしたくなってきたな




「・・・見たところお主も剣術を嗜んでおるようじゃし良ければ混ざって見るか?」


「いいんですか?」




態度に出ていたのか少し恥ずかしかったが、せっかくだし参加させてもらうことにした

正直防具はいらなかったけど、参加させてもらう身としてここはルールに則って臨まなくてはなと思い手伝ってもらいながら身につける

開始位置に立ち構えに入ると異国の見慣れない私の型に場が少しざわめいたが、教官は目つきを変えて顎髭を弄りながらこちらを観察し始めた




「ほぉ・・・見慣れない型だがかなりのやり手のようじゃの。お前達、油断してかかると足をすくわれるぞ」


「師範がそこまで言うとは・・・では1番手は俺がいかせてもらおう!」




最初に私の相手を名乗り出てきたのは他の生徒とは違う紺色の道着を着ている男性

見た感じ道着の色で実力別に分かれているようだ。ちなみに先程見た女性は着ている人数が一番多い白の道着で初心者のグループ

対してこの男性の道着の色を着ている人は他にいない。多分この男性が生徒の中で1番の実力者なのだろう

素振りの時も他の者とのキレが段違いだったから間違いない




「始め!」


「うおおお!」




師範が開始の合図を出すと上段の構えから勢いよく向かってきて、私の頭部に振り下ろしてくる

こちらの力量を見る為の様子見の一発といったところか。上からの攻撃を木刀で弾き飛ばし、相手の体勢が整う前にこちらは連撃を繰り出す




「ぐっ・・・!」




こちらの連撃を受けつつ反撃を試みたい男性は、こちらの隙が生まれるのを窺っているといった様子

その考えを利用してこちらはあえて僅かに隙が生まれるような攻撃を放ち、相手に決めにくるよう仕向ける




「・・・!ここだ!」




こちらが仕組んだ通りに動いてくれた男性は頸目掛けて突きを打ち込んできた

流石に他より優れているだけあっていい一撃を放つ。けどどこに来るか分かっている攻撃等目を瞑っても躱すことが出来る

私は決めにきた彼の一撃を上体を深く沈みこんだ状態で避け、そのまま流れる動きで無防備な胴へ薙ぎ払いの一撃を入れた




「い、一本!」


「くっ!不覚!」




ふぅ、とりあえずは一勝。やっぱり純粋な剣技だけで戦うのは面白いな

でもあっという間に終わってしまったせいでいまいち不完全燃焼だな




「まだまだ動き足りぬといった表情じゃな。お前達、せっかくの機会だ。このお嬢さんにコッテリと絞られてきなさい」


「よろしくお願いします!」




・・・・この師範には私の考えている事が見破られているみたいだな。それとも単に私の表情が分かりやすいのだろうか

それからというもの、私は時間を忘れて次々と挑んでくる挑戦者を倒しては相手し、気づけば1人あたり2回は試合を行っていた

50試合は軽くいっただろうか。このままだと集合時間に間に合わなくなってしまうな




「なんて女だ・・・あれだけ相手していたのに呼吸が乱れている様子を全く見せないなんて」


「次誰行くんだ?俺はもう勘弁だぞ」


「俺だってこれ以上はもう無理だ」


「私がお相手をしましょう」




次の対戦相手が中々出てこない中、先程の女性が名乗りをあげてきた

そういえば彼女とはまだ一度も手合わせをしていない。時間的にこの人で最後となるだろうけど・・・・さっきの素振りを見る限り最後の相手としては正直物足りない

怪我をさせない程度に相手をするか




「では、始め!」


「やぁ!」




開始早々私の元に飛び込んでくる女性。思い切りはいいが一撃が軽すぎる。これでは一本を取ることはできない

胴を狙った木刀を軽くいなすと彼女の体勢が崩れた。慌てて体勢を立て直しこちらに向かってくるが、やはり一撃一撃がまだ弱いしなんだか構えが窮屈そうだ

皆と無理に同じ型でやっているように見える。理由は分からないが時間も迫ってきてるしこの辺りで決めよう

そう思い彼女の体勢が崩れるように木刀をいなし、一本を決めようとしたその時、私の目の前から突然彼女が姿を消した




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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