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106話 深海の主クラーケン

クラーケン。深海の主とも言われている巨大な海の魔物

この魔物と遭遇した船は皆海の藻屑にされると言われていて、生還した者も船から放り出されて運良く岸に流れ着いたという話だ

船を壊されるのは必至。船を止められただけでラッキーと言っていい

最初に攻撃をされていたら確実に船は破損。触手に締めつけられようものならそれこそ一瞬で終わる

先程まで脚のみを海面から出していたが、こちらの様子を窺うようにゆっくりと体が海面から姿を現した。その大きさは私達が乗っている船を優に超え、目の前に突然山が現れたかのような感覚に襲われた

大きな目玉をギョロギョロと動かしてこちらを凝視している




「セレーネ、急いで剣に戻って」


「分かったよ!」




皆がクラーケンに注目している中、セレーネには剣に戻ってもらいこちらも戦闘態勢に入る

その直後にクラーケンの脚の1本が船目掛けて攻撃を仕掛けてきた

様子見の軽い攻撃なんだろうがそれでもこの船に当たったらひとたまりもない。急いで防御結界を展開して船を守り、弾かれた脚に狙いを定めてすかさず切り落とした




「や、やった!この調子でいけばあのクラーケンを倒すことが出来るかもしれないぞ!」




甲板にいた乗組員達が歓声を上げるが、事はそう上手くはいかない

私が切り落とした脚の断面からすくさま新しい脚が生えてくる

クラーケンを倒す事ができないのはこの再生能力があるのが原因の1つ。しかし話には聞いていたがまさかあそこまでの再生能力とは厄介極まりない


この客船にはこの魔物と戦えるような武器は装備されていない

見たところクラーケンにダメージを与えられそうなのは私達だけしかいないようだしなんとかするしかなさそうだが、クラーケンの耐久力は計り知れない。倒したという事例がない以上どれ程のものかも分からない

この場から無傷で離脱することだけでも御の字といったところか。倒せるものなら倒したいところだが流石に私達だけではそれは難しいか


クラーケンの弱点は雷系の魔法、けど生半可な魔法では抵抗(レジスト)されてダメージを与えることは出来ないのでそれなりに威力のある魔法で攻撃しなくてはならない。あの再生能力が失った部位を再生するだけでなく、自身の体力をも回復するものだったらこちらは為す術がないが、恐らく再生能力にそこまでの効果はないはずだ

地道に体力を削っていって奴が退いていくのを期待するしかない




「フレイヤはクラーケンの気を引いて!フィオナは私と一緒にあいつに魔法で攻撃を!」


「「分かりました!」」





フレイヤに空から攻撃をしてもらい、そちらに意識がいったところで私とフィオナでクラーケンにダメージを与える

船に張っておいた結界はまだ暫くは持つ。守りながらの戦いは正直苦手だがそうも言っていられない

どんな魔法でも一定の魔力消費で済むとはいえ、私の魔力量はそこまで多くはなく打てる数は決まっている。出来るだけ強力な雷魔法を奴にぶつけるしかない。やはり鍵はフィオナ、彼女の魔力量に頼る他ない


フレイヤが空からブレスを使ってクラーケンの気を逸らしているうちに2人で攻め立てる。雷系統の魔法を休む暇もなく次々とくらわせていく

少しは効いているようで相手も多少なりは怯んでいるが、やはり決定打とまではいかない

時間はかかるがもっと強力な魔法をと思い発動を試みるも、それを察してかクラーケンが海面を触手で強く叩きつけて波を起こし、船を大きく揺らして発動させないよう仕掛けてくる

相手もそれなりの知能はあるようだ。フレイヤの背に乗って空からの攻撃を試したが、それも船側にフィオナ1人ではこちらに意識が集中してしまって上手くはいかなかった

結局地道にダメージを与えることしかできず、クラーケンとの戦いは長期戦を要した


攻撃をしては再生を繰り返していると流石のクラーケンもチクチクと攻撃を与えられてイラついたのか、大技の態勢に入りだした




「まずい!皆私の後ろに避難して!」




クラーケンが口から放たれる海水は極限まで圧力が加えられたもので、水でありながら巨大な岩さえ一瞬で破壊して粉々にしてしまう程の威力がある

私はすぐさま多重防御結界を張り、クラーケンの攻撃を何とか食い止めようとするが、放たれた攻撃が予想を上回る威力で結界が1枚また1枚と破壊されていく

このままでは耐えられず船が粉々にされてしまう。そう思ったところにフレイヤが顔目掛けて頭突きをかまし、クラーケンの攻撃の軌道を逸らしてくれた

そのお陰で何とか防ぎきることができたが、次も上手く防げるとは限らない

幸いにもあの攻撃は連発できないようだ。それまでにどうにか逃げるか追い払う算段をみつけるしかない




「こらー!!」




クラーケンと戦っている最中(さなか)、後ろからラミアスの声が聞こえてくる

気のせいでありたかったが、そこには紛れもなくラミアスの姿があった




「お前なにをやってるんだー!さっさと自分の棲み家に帰れ!」


「なにやってるのラミアス!危ないから早く部屋に戻って!」




部屋にいるよう言っておいたのに・・・・早く避難させてあげたいところだけどクラーケンの攻撃が激化してそれどころではない

クラーケンはこちらの攻撃を緩める事無くラミアスの声に反応して体を移動させ、目玉を動かして観察するように見つめ始めた

するとどういう訳か先程まで好戦的だったクラーケンが急に大人しくなってこちらに浴びせていた触手の攻撃も止み、ラミアスの言葉に従うようにクラーケンはゆっくり海中へと姿を消した

一体何が起きたのか。頭の中の整理が追いつかないが、1つだけ確かなのはクラーケンの襲撃を無事乗り切ったということ




「やったぞー!クラーケンを退けたぞ!」


「あんた達のお陰だ!本当にありがとう!」




私達のお陰と言っていいのか。クラーケンはラミアスの声を聞き、姿を見て帰っていったように感じたが・・・・聞きたいことはあるけどとにかく今日はもう疲れた。後のことは任せて早くベッドで寝るとしよう





読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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