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101話 授業参観

「授業参観?」


「そう、はいこれ!」




今日仕事から帰ってくるとラミアスが授業参観を知らせる紙を渡してきた

授業参観とは生徒の保護者達が学校に行き子供達の様子を見ることができる行事

ラミアスの登校初日に心配でこっそりついていって一度中を覗かせてもらったことがあったが、今回は堂々と教室に入って授業風景を見れるということか

私は勿論参加する事をラミアスに伝えると、上機嫌で部屋へと戻って行った

私の時はこういう行事を行う前に辞めちゃったけどやはり子供からしたら家族に来てもらうというのは嬉しいものなんだろうか


そして当日、その日はラミアスと共に登校して教室へと向かった

教室に入ると他の生徒や親御さんの視線が私達に集中した。その理由は当然私達だけ全員で授業参観にやってきてしまったからである

他の生徒の家族は1人か2人程度なのだから当然目立つ。ただでさえ私達は周りの目を集めるというのにこれでは余計視線が集まってしまう




「なんで全員で授業参観に参加しちゃってるわけ?」


「いやぁやっぱりラミアスちゃんがどんな学校生活を送ってるか気になるじゃないですかぁ」


「右に同じくです」


「真面目にやっているかちゃんと見定めなければ!」




まぁその気持ちはよく分かるが・・・・ラミアスも全員で来られたら流石に恥ずかしいだろう

そう思ってラミアスの方を見てみるが、私の予想と反してもの凄く嬉しそうだった

先生の方からも許可はもらえたが、あくまで今日は生徒達が主役の場なのだから私達はなるべく隅の方に寄って目立たないように見学させてもらうことにした




「はい、皆さんのご家族がいらっしゃっていますが普段通りでいいですからねぇ。それでは今日はこの前出した宿題の発表をしましょう」




最初はどうやら生徒達が書いた作文の発表をするようだ

題材は家族について。殆どの子達が普段お世話になっているお父さんやお母さんへ感謝の言葉を述べるような内容で、こちら側の親御さん達は自分の息子娘が書いた作文を聞かされて皆嬉しそうな表情をしていた

席順に次々と他の子達が自分の書いた作文を読み上げていき、最後にラミアスの番がやってきた




「私の家族。私の家は5人家族でちょっと変わっているけど毎日とても賑やかで楽しいです。いつもお仕事を頑張ってくれているエレナ。毎日かかさずお家を綺麗にしてくれて美味しい料理も作ってくれるシエルにフィオナ。ちょっと小喧しいけど遊びに付き合ってくれるフレイヤ。皆いつもありがとう。これからも皆とずっと仲良く暮らしていきたいです」




作文を読み終えて着席したと同時に温かい拍手でラミアスの作文を賞賛した

こうして皆の前で感謝の言葉を述べられるというのは気恥ずかしいがやはり嬉しいものだな

フレイヤだけ微妙に褒められていないような気もしたがそのような些事(さじ)は気にしない

休憩時間を挟んでからその後の授業も淡々と行われていき、先生が出す問題にフィオナは積極的に手を挙げて問題を解いていってみせてくれた

そんな感じで時間が過ぎていき本日最後の授業。授業内容は家庭科で皆でお昼ご飯を作ることとなった




「材料は沢山あるので好きに取っていってくださいね。ご家族の方々と協力して美味しいご飯を作りましょう」




人数が多い私達のところは少し材料を多めにもらい、今回はラミアスが主動となって調理を開始

材料もラミアスが選んでいったので何か作りたいものがあるようだ

包丁で怪我をしないかハラハラしながら見守っていたが、意外と慣れた手つきで材料を切っていてなんなら私より上手いくらいだった

思えば最近よくキッチンに足を運んではシエルやフィオナのお手伝いをしていたな

私なんかよりよっぽど女の子らしく成長していっている


切った材料をラミアスがフライパンで炒めていき、火が通ったらライスを投入

5人分を一遍に作っているから中々力がいるだろうが、懸命にヘラを使って上手く混ぜ合わせていく

出来たらそれを皿に盛り付けていき最後に薄く焼いた卵を上に乗せればオムライスの完成




「出来た!」




ラミアスが作りたかったのはオムライスだったのか。上に乗っている卵が所々破けてはいたが、それ以外は美味しそうに出来ている

最初は皆で作るつもりだったが私達がやったのは皮むきと野菜切り程度で、あとは殆どラミアスが1人で作ってくれた

完成したところから各自食べ始めてよいとの事だったので、席に着いて皆でラミアスが作ったオムライスを食べ始めた




「うん!美味しく出来てるね」


「卵がふわふわしていていいですねぇ♪」


「本当か!」


「でもなんだかこのオムライスシエルが普段作ってるやつと味が似てるね」


「実はこっそりとシエルに教えてもらっていたのだ!」





なるほど、通りであんなに手際がいいわけだ

その歳で補助があったとはいえ教わっただけでこれだけの物が作れるなら料理人になるのもいいかもしれないな

などと親バカのような考えをしていたらあっという間に完食

最後に先生から学校でのラミアスの様子を聞いたり、反対に家での様子を話したりして成績、素行に問題がないかの確認をして授業参観は終わりを迎えた




「今日はラミアスが頑張ってるところを見ることができて良かったよ」


「我も今日はいつもより楽しかったぞ!今度は運動会というのがあるらしいからまた皆で来るのだ!」




ラミアスのいう運動会というのは恐らく鍛えてきた運動能力を披露する場なのだろう

ラミアスが体育をしている様子はまだ見た事がないので楽しみだ

それにしても今日は学校生活を満喫しているラミアスの姿を見ることができて本当に良かった

成績も上位を維持しているようだしお小遣いを上げてもいいかもしれないな



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点]  前は悪者退治が、授業参観で美味しいオムライスを作ったことが良い。 [気になる点]  主人公はそろそろ、勇者の生まれ変わりとか周りからなんとなく言われそう。  この時代に魔王はいなくても、…
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