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074_悪夢を見ると現実の恐怖に強くなる【夢のトレーニング】 #睡眠 #夢

「ドイツの詩人ノヴァーリスは言いました『深遠な知恵のつまった書物には、信頼にたる人たちの見た夢が数え切れないくらい出てきます』と」


「やっほー、人生負け組の読者様。読まないと人生損する知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『悪夢を見ると現実の恐怖に強くなる』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は夢を見ますか? その中でも悪夢と呼ばれるものを見ますでしょうか?」


「悪夢にも種類がありますよね。犯罪者に襲われたり、事故に遭うような生命の危機に関する悪夢。恋人から別れを告げられる精神的につらい悪夢もあります」


「悪夢を見て、朝起きたら汗がびっしょり、なんて不快な経験をされた読者様もいらっしゃるでしょう」


「ですが『どうして、こんな夢を見たんだ。最悪だ』と思う必要はないのです」


「むしろ、悪夢を見るのは嬉しい出来事かもしれません」


「悪夢にもメリットがあるのですよ」


「『何を言っているんだ』とお思いでしょうが、真実なんです。スイスのジュネーブ大学が悪夢を見ることについて研究してくれました」


「研究者は健康な成人18人の被験者を集めて、脳波を調べる電極を取り付けて眠ってもらいました」


「ただ、眠ってもらうに留まらず、夜に眠っている際に何度か被験者を起こして、『夢を見たか』『悪夢を見たか』と質問されました」


「しかも、起こされる間隔は20分です」


「20分間隔で起こされるのですから、堪ったものではありません。私ならお金を貰ってもやりたくないです」


「ゆっっっくり、寝かせてくれぇー!」


「いくら実験とはいえ、大変しんどいです。夜間に何度も起こされて、夢について質問されるのです。ぐっすり寝かせてあげてくださいよ」


「このような実験に協力してくれ被験者がいるから、私たちには有益な情報が降りてくるのも間違いないです」


「実験してくれた研究者、協力してくれた被験者に、感謝感謝です」


「実験終了後は実験に協力した満足感と睡眠不足で、たっぷり眠れたでしょう」


「それでですね、脳波の活動記録と被験者への質問を調べました。すると、とても興味深い結果が出てきました」


「悪夢を見た時と実際に現実で恐怖を感じた時に活性化する脳の領域は同じだったのです」


「具体的には、頭皮質、扁桃体、前頭前皮質、前帯状皮質などが活性化していました」


「なるほどなるほど。たとえ夢の中でも恐怖を感じると、実際に恐怖を感じた時と同じ作用が起きる……ことが分かったにすぎません」


「これでは悪夢を見る理由や意味が不明のままです。なので研究者はさらなる実験をします」


「研究者は89人の健康な被験者を集めて、夢日記を一週間つけてもらいました」


「夢日記には、夢の内容とどのような感情を抱いたか、を起き抜けに書いてもらいました」


「夢日記の感情から、怒り、嫌悪感、混乱、困惑、恐れ、悲しみなどと抽出して悪夢を判定しました」


「さらに夢日記を書いた最終日にはMRIを受けてもらい、脳の状態を確認しました」


「MRIの際には嫌悪感を抱く写真、面白い写真、特に何も感じない写真がランダムで表示されました。起きている時の脳の活動について調べたのです」


「このことによって研究者は、夢の中で味わう恐怖と実際に起きた感情についての関連を調べることができました」


「つまり、悪夢を見ることで何が起こるのかが判明したのです」


「いやはや、研究者はあの手この手で自分の知りたいことを突き止めますよね。頭が下がります」


「その結果、悪夢を見るとーー現実での恐怖が薄らいでいることが分かりました」


「どうですか読者様? 悪夢を見ると現実の恐怖に強くなるのです。悪夢も悪くないでしょう」


「……悪夢なのに、悪くない。言葉の上では矛盾してますね……」


「しかも、悪夢を見ている回数が多くなるほど、恐怖は薄らいでいたのです」


「MRIで脳を調べた所、扁桃体の活動が抑制されていました。扁桃体は恐怖や嫌悪感を感じると活性化します。扁桃体が抑制されるというのは、恐怖を感じにくくなるということです」


「つまり、本番で緊張しなくなったり、危機的状況でも立ち向かえるということです」


「プレゼンで緊張するのは嫌ですよね。犯罪に巻き込まれても冷静に対処したいですよね。そんな時には悪夢を見ているのが大事です」


「ありがたいですね、悪夢さん。いや、敬意を込めて、悪夢様!」


「悪夢を見るだけで、恐怖に強くなれるのです。しかも夢ですから、特に準備は必要ありません。夜に眠って待つだけです。チャンスは一日一回ですね」


「読者様も悪夢を見た朝は『最悪な一日の始まりだ』と思わずに、『恐怖に強くなって一日が始まる』と考えましょう。最悪で始めるより健全です」


「何より、嘘ではありません。真実なので罪悪感を覚える必要もないです」


「これを機に悪夢を有効活用してください」


「どうして悪夢を見ると現実の恐怖に強くなるのか、仮説を立てています」


「研究者は『夢は将来に起こるシミュレーションをしており、実際に危機に直面した時の準備をしている』と述べています」


「たくさん練習をすれば、本番で失敗しなくなるのは納得できる内容です」


「夢での経験や感情と現実で感じる感情の間には、強い繋がりがあるのは間違いありません」


「もしかしたら、悪夢は私たちを恐怖に立ち向かえるように鍛えてくれている……のかもしれません」


「悪夢は脳のトレーニングだと思えば、悪夢の嫌悪感は軽減することでしょう」


「夢の中で初対面の人にボコボコにされても、現実では初対面の人と意気投合するのです。夢でシミュレーションをしているから、上手くいくのです」


「寝ているだけで勝手に鍛えてくるのです。ありがたいの極みですね」


「しからば今回のまとめです。寝ている人を起こして悪夢のことについて聞いたら、悪夢で感じる恐怖と現実で感じる恐怖は同じことが判明したぞ」


「しかも悪夢を見ると、現実で起こる恐怖に対して強くなれるぞ」


「読者様も悪夢を見た日はラッキーと思いましょう。一つ恐怖に強くなった証です」


「悪夢を見ている知り合いがいましたら、励ますのではなく羨ましがりましょう。その人はおそらく恐怖に打ち勝つ能力を持っています」


「悪夢を悪いものととらえるのではなく、恐怖を乗り越えるトレーニングだと思えば、悪夢を楽しめるに違いありません」


「そして勝手に鍛えてくれて、ありがとう、と感謝の心も忘れずにお願いします」


「悪夢は名前に『悪い』と入っているから、悪いものと捉えがちですが、別に悪くありませんよ。騙されないでくださいね」


「ちなみに私はほとんど夢を見ないので、夢を見られるだけでも羨ましいです。とほほ……」


「もっと私に悪夢を見せてください! 神様、仏様、悪夢様。この際、悪魔様でも構いません。ドンとこいです! ……いえ、やっぱり嘘です。あんまり悪夢ばっかり見せられても困ります」


「私は悪夢を見れるか不明ですので、読者様の悪夢の報告を心待ちにしております!」


「ということで、今回は『悪夢を見ると現実の恐怖に強くなる』のお話でした。読者様の参考になれば、私はとても嬉しいです」


「最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。高評価や応援コメントはどんどんお願いします。質問やリクエストも待ってまーす」


「それでは、次回の『サイコパスを決める要因は、育つ環境か、両親の遺伝か?』で、またお会いしましょう。バイバーイ」



参考文献

Fear in dreams and in wakefulness: Evidence for day/night affective homeostasis

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