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585_【記憶の改竄】45分前についた嘘を真実だと思い込む #記憶 #認知

「大統領になる前は小さな雑貨屋を経営していたエイブラハム・リンカーンは『どんな人間でも、完全な嘘つきになれるだけの優秀な記憶力は持ち合わせていない』と言ってます。嘘つきは割りに合わないです」


「やっほー、役立つ知識を伝える世界一の美女サクラです! 今回は『【記憶の改竄】45分前についた嘘を真実だと思い込む』です。よろしくお願いします」


「読者様はどれくらい嘘をつきますか?」


「え? 『毎日言ってる』ですか。なるほど」


「それ、やめたほうがいいですよ」


「嘘がよくない、ということは読者様も何となく理解していると思います」


「そもそも、嘘はバレるものですし、嘘によって人間関係にひびが入ったりします」


「なので、嘘はよくない。…………ということを話したいのではないのです」


「今回は嘘をつく弊害についてお話ししたいと思います」


「嘘にはたくさんのデメリットがあります。読者様は嘘をつかない人生を送れるようにしましょう」


「参考文献はアメリカのブランダイス大学の研究となります」


「研究者は42人の参加者を集めて、102問におよぶ質問を投げかけて回答してもらいました」


「質問の内容としては、前日の行動についてです。朝に目覚まし時計のスヌーズを使用したか、お昼御飯にフォークを使ったか、などの日常に関する質問でした」


「ただし、参加者は普通に質問に回答するわけではありませんでした」


「質問の半分には嘘の回答をするように指示を出しました」


「まあ、嘘を調べる研究ですので、嘘をついてもらうのも当然ですね」


「質問の回答が終わった参加者たちは、45分後にまた同じ質問に回答しました」


「ただし、今回は嘘はなしです。すべて真実のみを回答してもらいました」


「そして、研究者は質問を分析して、嘘をつくと何が起こるのか調べました」


「さて読者様、嘘をつくとどうなると思いますか?」


「嘘をつくには認知機能をフル活用する必要があります。体力や集中力を消耗するのでしょうか?」


「なんだかんだ、嘘をつくのは頭を使います。頭の回転が早くなるのでしょうか?」


「嘘をつくには、言葉を巧みに操る必要があります。ボキャブラリーが増加したのでしょうか?」


「はたして、嘘をつくとどうなるのでしょうか?」


「参加者に嘘の回答をしてもらった結果、参加者は嘘をーー」


「真実だと思い込むようになっていました!」


「再度質問に答える時に嘘の記憶で回答していることが明らかとなったのです」


「たった45分前のことです」


「人の記憶は45分前のことすら正確に覚えていないのです」


「嘘をついた、という記憶を忘れてしまって、嘘の記憶に改竄されてしまうのです」


「日常的に嘘をついていると、記憶がどんどん改竄されてしまいます」


「嘘の記憶を真実だと勘違いしている残念な人になってしまうのです。嘘は簡単に上書きされてしまうのです」


「読者様は友達と思い出を話し合ったことはありませんか?」


「そんな時、どうしてか思い出が食い違うことはありませんでした?」


「もしかすると、その理由はどちらかが嘘の記憶で改竄した結果かもしれません」


「友達に話すときに大袈裟に話していたり、恥ずかしいから嘘をついて話した。このような経験によって真実を改竄して記憶している可能性があります」


「読者様は嘘の記憶に翻弄されないように気を付けましょう」


「ただし、年齢によってこの記憶の改竄は大きく違ってきます」


「今回の実験では、18歳から24歳までの若者グループと60歳から92歳までの高齢者グループに分けて行いました」


「結果、高齢者グループが圧倒的に自分の嘘を真実だと勘違いしていることが判明したのです」


「高齢者は認知機能がかなり落ちています。そのため、判断能力が低く、自分の嘘を真実だと勘違いしたのかもしれません」


「だからといって、若いから大丈夫、という話ではありません。若い人でも嘘を真実だと勘違いしている人はいました」


「それに、日常的に嘘をついていると癖になります。一度身に付いた癖は、年を取ってから治すのは難しいです」


「今、嘘をついている人は、将来も嘘をついている可能性が高いです」


「なので、若いうちから嘘をついていると、将来偽物の記憶に欺かれることになりますよ」


「でも、活用方法がないわけでもです。忘れたい嫌な記憶です」


「嫌な記憶を自分の都合のいいように嘘をついて話すと、それが真実になります。嫌な記憶を忘れたければ嘘のストーリーをでっち上げるといいかもしれません」


「まあ、上手くいく保証はありませんが……」


「読者様、基本的に嘘をついてもいいことはありません。清廉潔白な人生とは言いませんが、無駄に嘘をつかない人生を目指しましょう」


「嘘から出た実、ただし本人限定、という状態にならないためにも嘘は極力控えましょう」


「という感じで今回のまとめです」


「研究者は、若者と高齢者を集めて、日常に関する質問をしたよ」


「最初は回答に嘘を交えてもらったよ」


「時間を置いてから、もう一度同じ質問を行ったよ。今度は嘘はなしだよ」


「すると、高齢者は自分がついた嘘を真実だと勘違いしている人が多数いたよ」


「人は、ちょっと前についた嘘を本当のことだと思い込む残念な脳の持ち主だったよ」


「ちなみに、今回の実験では参加者に脳波を測定するEEGを着けてもらっていました」


「その結果、嘘をつくと作業記憶に関連する脳の部位が活発になることが明らかとなりました」


「どうやら嘘と記憶には密接な関わりがあるみたいです」


「もしかしたら、脳の記憶に真実と嘘の両方の記憶が混在していると都合が悪いのかもしれません」


「二つの記憶があると矛盾を抱えることになります。混乱してしまうので、嘘をつくと真実を上書きするようにできているのかもしれません」


「まあ、詳しい理由は不明なので、完全に私の妄想ですが……」


「ということで、今回は『【記憶の改竄】45分前についた嘘を真実だと思い込む』でした。知識のプラスになれば嬉しく思います」


「ありがとうございました。高評価、コメント、リクエスト、お願いします」


「次回の『鳥のさえずりを聞けば不安な気分がなくなるぞ』で、会おうね! 目指せ、知識の完全制覇。バイバイ」



参考文献

Influence of age on the effects of lying on memory

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