499_【AI vs 人間】優秀な教師はどっち? #AI #勉強
「ノーベル文学賞を受賞しているインドの詩人ラビンドラナート・タゴールは『教師はみずからがなお学んでいないかぎり、決して本当に教えることはできない。ランプはみずからの焔を燃やしつづけないかぎり、他を照らすことはできない』と言ってます。本当に優秀な教師は、自分が学ぶことを忘れません」
「やっほー、実用的な知識を伝える世界一の美女サクラです! 今回は『【AI vs 人間】優秀な教師はどっち?』です。お願いします」
「最近のAIの進歩って目覚ましいですよね」
「人とほとんど変わらない会話ができたり、聞いたことに即座に答えをくれたり、アイデアを提供してくれたり、本当に優秀です」
「人の仕事がAIに取って変わられるとは、昔から言われて来ましたが、段々と現実味が増してきました」
「そこで今回は、AIが人の仕事を奪うことに直結する研究を紹介したいと思います」
「単純な仕事をしている読者様、数年後にはその席はAIが座っているかもしれませんよ」
「参考文献はカナダのコンコルディア大学の研究です。同じ名前の大学が複数あるから、名前だけだとどこの大学か分からないんですよね……」
「研究者は、3歳と5歳の未就学児を集めました」
「そして、機械、つまりAIがおもちゃや道具に名前の書かれたシールを貼る様子を見せました」
「機械には、頭、顔、胴体、腕、足があり、人型のものを用意しました」
「機械がシールを貼る一方で、女性も同じく名前の書かれたシールを貼る様子を子供たちに見せました」
「おもちゃや道具は子供でも知っているようなものです。ボールや車、靴などの身近なものを用意しています」
「この研究が面白いのは、ここである工夫をしているからです」
「実は、機械はシールを正しく貼ります。ボールにはボールと書かれたシールを貼ります。もちろん車には車、本には本です」
「しかし、女性は間違ってシールを貼ります。車のおもちゃに本というシールを貼ったりします」
「身近なものを用意しているので、子供も正解を知っています。なので、子供は機械と女性のどちらが正しい組み合わせをしているのか理解しています」
「子供たちに、優秀なAIと無能な女性、という状況を覚えさせたのです」
「その後、子供たちが知らないものを見せて、先ほどと同じように機械と女性が名前の書かれたシールを貼ります」
「ただし、機械も女性も意味のない間違ったシールを貼ります」
「その上で、子供たちに知らないものの名前を聞いて、どのように答えるのか調べたのです」
「要するに、子供は優秀なAIと無能な女性のどちらから正解を学ぶか調べたのです」
「さて読者様、子供たちは優秀なAIと無能な女性のどちらを信用したと思いますか?」
「機械は身近な存在となりましたが、子供たちにとってはまだまだ未知の存在です。機械を怖がって、女性の意見を信用するのでしょうか?」
「それとも、信用に値するのは、それまでの実績なのでしょうか? 正しくシールを貼っていた機械を信用して、優秀な機械の意見を参考にするのでしょうか?」
「はたして、子供たちは優秀なAIと無能な女性のどちらを信用するのでしょうか?」
「分析の結果、子供たちが信用したのはーー」
「AIでした!」
「子供たちは機械が優秀だとちゃんと理解しており、見知らぬものについても正しいシールを貼っているに違いないと考えたわけです」
「女性は親しみがありますが、無能ならば教師としては信用されないみたいです」
「AI vs 人、完全に人間側の敗北です」
「とはいえ、今回の研究はあくまで優秀なAIと無能な女性という構図でした」
「どちらも優秀な場合、機械を信じるのか女性を信じるのか、それは不明です」
「それに、子供たちは機械にも女性にも触れ合っていません。もし、接触があったら、また違った結果になるかもしれません」
「ただ、優秀であればAI、つまり機械であっても子供たちが信用することに間違いはありません」
「正しいことを学習させたAIによって、教育の分野では教師の仕事がAIにいずれ取って変わられることでしょう」
「教科書を読んで独学する、教師の講義を受けて勉強する、AIに教えてもらう、どれも同じ結果が得られるのなら、後は好みの問題かもしれません」
「また、教師に高い授業料を払いたくない人は、AIを選択することもあるでしょう。技術の進歩によってAIは安く利用できるようになっています」
「教師を雇うより、AIのほうが安上がりなのは間違いないでしょう」
「研究者はさらに実験を行っています」
「とはいえ、内容は同じです。違うのは機械の外側だけです」
「先ほどの実験では人型の機械を利用しましたが、今回の実験ではトラック型の機械に変更しました」
「ただ、それでも結果は同じでした」
「優秀なAIと無能な女性では、やはり機械の答えを信用していました」
「つまり、子供たちにとって見た目というのは関係ないようです。学習において大事なのは正しい答えを言っているかどうかの信用なんです」
「ただですね、5歳の子供は機械の答えを信用していましたが、3歳の子供は特にどちらを信用しているということはありませんでした」
「というのも、3歳の子供は機械というものを正しく理解していないからです」
「子供たちに、不思議な動物や機械を見てもらって、その存在が生身の体を持っているか、機械からできているのか聞きました」
「その結果、5歳の子供は正しく答えられましたが、3歳の子供はうまく答えられませんでした」
「つまり、3歳の子供の場合、より優秀か無能よりも、親しみのある女性のほうを信用したのでしょう」
「一方で5歳の子供は、ちゃんと人と機械の区別がついています。それでもなお、優秀で信用のある機械の答えを信じたみたいです」
「子供たちの学びにおいて大事なのは、親しみやすさよりも正しさだった、ということで今回のまとめです」
「研究者は未就学児を集めて、優秀なAIと無能な女性を見てもらったよ」
「その後に、子供たちが知らないものを見せて、優秀なAIと無能な女性のどちらから教えてもらった答えを信用するのか調べたよ」
「その結果、子供たちは女性よりも機械を信用することが分かった」
「分別のある子供は、学ぶことにおいて、親しみやすさより、正しさを優先するみたい」
「教師のお役御免も近いかもしれないね」
「それに、機械でも人に影響を与えられることは証明されています。以前に”120_ロボットから褒められると成績が上がる”でお話ししたように、たとえ相手がロボットであっても人は誉められると嬉しくなります」
「本当に、人に代わってロボットが跋扈する世界はすぐそこまで迫ってきていますよ」
「単純作業をしている読者様の仕事がなくなる日も近いですよ」
「私も身の振り方を考えないといけませんね」
「ということで、今回は『【AI vs 人間】優秀な教師はどっち?』でした。役に立ちましたか?」
「ありがとうございました。高評価、コメント、リクエスト待ってます」
「次回の『新入社員は人間関係が特に大事』で、会いましょう! バイバイ」
参考文献
People Do Not Always Know Best: Preschoolers’ Trust in Social Robots




