446_旅行は行きより帰りのほうが時間を短く感じる #時間 #経験
「イギリスのビクトリア時代の論評家ジョン・ラスキンは『どんな旅行でも、その速度が正確に定まってくるにつれ、つまらなくなる』と言ってます。予定調和の旅行ほどつまらないものはありません」
「やっほー、役立つ知識を伝える世界一の美女サクラです! 今回は『旅行は行きより帰りのほうが時間を短く感じる』です。よろしくお願いします」
「読者様は旅行をしますか?」
「え? 『大好き』ですか。いいですね。各地を巡るのはとても楽しいですよね。ご当地グルメを食べたり、美しい景色を眺めたり、遊園地で遊んだり、旅行の楽しみは様々です」
「そんな旅行で読者様は不思議な体験をしたことがありませんか?」
「そう、行きより、帰りのほうが時間が流れるのが早い!」
「目的地に着くのは時間が長く感じるのに、自宅に帰るのは早く感じる、そんな感覚を持ったことはありませんか?」
「ということで、今回は旅行の行きと帰りで本当に時間は違っているのか、についてお話しします」
「参考文献はオランダのティルブルフ大学の研究となります」
「研究者は旅行の行きより帰りのほうが時間を短く感じる現象のことをリターントリップ効果と名付けました」
「リターントリップ効果があるのか確認するため、日帰り旅行に出かけていた69人に話を聞きました」
「旅行のどの部分が時間を長く感じたのか? 行きと帰りにかかった時間はどのくらいだったか? などを調査しました」
「その結果、リターントリップ効果があることが確認されました」
「しかも、行きの時間を長く感じた人ほど、帰りの時間を短く感じることも明らかとなりました」
「いやはや、面白いですね。行きと帰りで時間はほとんど同じです。素直に考えれば、行きと帰りで感じる時間は同じはずです」
「不思議ですね。どうして感じる時間に違いが出るのでしょうか?」
「研究者はリターントリップ効果が起きる理由を考えました。そして一つの仮説を思い付きます」
「それは、帰り道は行きの時に一度見たから、時間を短く感じたのではないか、と」
「読者様も自宅周りの道を歩いても何も感じないと思います。脳は見知った情報は新たに処理しません。脳が働いていないので、時間が早く感じる、というものです」
「研究者は93名の学生を集めて、旅行をしてもらいました。その際、参加者を二つのグループに分けました」
「一つ目のグループは、行きと帰りの道が同じです」
「二つ目のグループは、行きと帰りの道が違います。距離は同じになるように調整しています」
「そして、行きと帰りにかかった時間について調査して、見知った道がリターントリップ効果に影響しているのか調べました」
「結果は、関係ありませんでした」
「どちらのグループも同じように、帰りの時間を短く感じていました」
「行きと帰りでルートを変えてもリターントリップ効果は発生します」
「次に、研究者は時間の認識が関係しているのではないかと仮説を立てました」
「139人の参加者を集めて、ビデオを見てもらいました」
「ビデオは、自宅から友達の家まで自転車で移動するというものです」
「ビデオを見た後、少し時間を置いてから再度ビデオを見てもらいました。今度は友達の家から自宅に帰ります」
「そして、行きにかかった時間と帰りにかかった時間を調査しました。また、どれくらい時間がかかるのかも予想してもらいました。当然ですが、行きと帰りで移動した距離やかかった時間は同じにしています」
「面白いですよね。そもそも、リターントリップ効果が実際に体験しなくても起きるのか、って話です」
「読者様はどう思いますか? 映像でもリターントリップ効果は起きると思いますか?」
「それに、リターントリップ効果が起きる理由は何だと思いますか?」
「はたして、どのような結末を迎えたのでしょうか?」
「分析の結果、まず映像でもリターントリップ効果が起きることが分かりました」
「さらに、行きの時間を短く予想していた人は、より帰りの道を短く感じていることも判明しました」
「さらにさらに、行きの時間を長く予想していた人は、リターントリップ効果の影響がなくなっていました」
「どういいうことかと言いますと、人の予想というのは甘いのです」
「旅行をする時、目的地にはこれくらいで到着するだろうと予想を立てます。しかし、人というのは楽観的なので、実際にかかる時間より短く予想します」
「そのため、予想と現実の時間に開きがあるため、行きは時間を長く感じます」
「行きに時間がかかると予想した場合、予想と現実の時間の開きが少なくなるので、リターントリップ効果が起きないみたいです」
「つまり、旅行先に行く時間を長く楽しみたいのなら、時間を甘く見積もるといいかもしれません」
「ただ、帰りは一瞬に感じてしまうかもしれませんので、ご注意ください」
「ちなみにリターントリップ効果が起きると、行きに比べ帰りは17%から22%時間を短く感じるみたいです」
「5分の1も短くなると、かなりの差ですね。あくまで体感ですが」
「研究者はリターントリップ効果は日常でも発生すると述べています」
「具体的には映画です」
「映画は1回目よりも2回目のほうが短く感じます」
「他にも、読書です。1回目に読むより、2回目に読むほうが時間を短く感じます」
「まあ、言ってしまえば、一度経験したことは次からは時間が短く感じるということです」
「映画、読書に限らず、テレビ、食事、音楽、デート、ゲームなどでも起きることでしょう」
「経験が時間を縮める、といった所で今回のまとめです」
「研究者は旅行をすると行きより帰りのほうが時間が短く感じる現象について研究したよ」
「三つの実験から、リターントリップ効果があることが証明されたよ」
「そして、起きる理由も解明したよ。それは時間に対する予想の甘さだよ」
「実際にかかる時間より短く予想しちゃうから、帰りのほうが時間を短く感じるみたい」
「なので、時間を長く感じたければ、予想を甘々にしましょう。逆に時間が早く過ぎ去って欲しいのなら、予想は長くしましょう」
「体感は変わると思いますよ」
「是非、試してみてね。知識があれば、時間さえも操れるよ」
「ということで、今回は『旅行は行きより帰りのほうが時間を短く感じる』でした。知識のプラスになれば嬉しく思います」
「ありがとうございました。高評価、コメント、リクエスト、お願いします」
「次回の『薬指の長さでイケメンかどうか分かる』で、会おうね! 目指せ、知識の完全制覇。バイバイ」
参考文献
The return trip effect: Why the return trip often seems to take less time




