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037_【意思決定】直前に知った情報で適切な決断を間違える #決断

「やっほー、読者様のプラスになる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『直前に知った情報で適切な決断を間違える』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は何かを決断する時、判断基準はありますか?」


「周りの人の意見ですか? それとも客観的なデータですか?」


「え? 『自分の経験に基づいて決める』ですか。大抵の人は自分の経験から最適解を導くことでしょう。ですが、その決定が最適解の可能性は低いです」


「なぜなら、人は直前の情報に大いに左右されるからです」


「え? 『そんなことはない』ですか。正しい判断をしている、とお思いでしょうが、ほとんどの人が直前の情報に引っ張られるのです」


「甘いです。とても甘いです、カカオの入っていないチョコレートくらい甘いですよ、読者様」


「これから、そのお話をいたしましょう」


「人が直前の情報に引っ張られることを証明する実験が、2020年のオハイオ州立大学で行われました」


「実験の参加者にパソコンでゲームをしてもらいました。その際、スコアに応じて報酬を支払う、と告げてプレイしてもらいました。これで真剣にプレイしてもらえます」


「どんなゲームか説明します。まず、画面の上半分に画像が2種類表示されます。プレイヤーはマウスを操作して、カーソルでどちらかの画像をクリックします」


「次にプレイヤーがカーソルを画面の下半分に移動させると2種類の画像が消え、新たな画像が左下か右下に表示されます」


「新たに表示された画像をクリックすると、報酬が貰えるゲームです。その後、カーソルを画面の上半分に持っていくと、最初と同じように2種類の画像が表示されます。また、新たに挑戦できるのです」


「一連のルーティンを繰り返すゲームとなります」


「ただし、プレイヤーはルールを知りません。カーソルをどこまで動かすか、越えるべきラインが設定されていましたが、プレイヤーは知るよしもありません」


「ゲームを一定時間続けてもらい、データを集めました。研究者はマウスの動きのログを分析して、プレイヤーの行動を観察しました」


「結果、実にプレイヤーの99%は、人数にして57人中56人はしっかりと図形の表示パターンを認識しました」


「後一人どうした!?」


「ともかく、効率的に報酬を得ようと次の動作を予想してカーソルを動かしていました。画像が出そうな場所にあらかじめカーソルを動かしていたのです」


「当然ですよね。パターンがわかったなら、効率よく進めたいのが人の性です」


「ですが、このままでは実験になりません。研究者は10%~40%の確率で学習したパターンとは違う場所に画像を表示するように細工をしました」


「低確率で画像が違う場所に表示される時、人はどのような行動を取るのか調べたのです」


「画像が違う場所に表示される確率は低いです。そのため、最適な行動は今までと同じ通りにすることです。イレギュラーに備えても損しかありません」


「ですがプレイヤーの大半はカーソルを中央付近で待機させるようになったのです。低確率のイレギュラーに備えていたのです」


「驚きましたか?」


「プレイヤーはですね、『もしかしたら次も違う場所に画像が表示されるかもしれない』と思って、最適な行動を捨てたのです」


「プレイヤーは大学生です。確率を計算できないほど、頭が悪くありません。計算したらわかる問題の最適解が解けなかったのです」


「本当に恐ろしいですね。直近の情報を過大評価してしまって、最適な行動ができなくなるのです」


「正確な決断をするには多大なエネルギーを消費します。過去に遡って、経験をまとめる必要があります。ですが、脳はサボるのが大好きです」


「わざわざ過去のデータを漁って最適解を出すより、直近の情報に従って決定を下す方がエネルギーの消費が少ないです」


「一年間毎日記録をつけても、昨日の記憶で決定を下すことはよくあるのです」


「たとえば、いつも使っている家に早く帰れる道が水道工事でたまたま通れなくなっていました。その日は仕方なく、回り道をして帰りました」


「次の日には工事も終わって道が通れるにも関わらず、また回り道をするのです。昨日の経験に引っ張られて、最適な決断ができなくなるのです」


「いつもいつも、直近の経験に引っ張られるのではありません。特に最善の結果でも次善の結果でも大きな差がない時に往々にして起こるです」


「当たり前ですよね。回り道をしてもロスは数分程度です。長い人生からすれば、誤差です、はっきり言って損したことにすら、気づいていません」


「はっきりとメリットがわかる場合は別です。いつも使っているペンをなくして、別のペンを購入した。だけど、とても使いにくかったら、そのペンは次回から購入しませんよね」


「使いにくい、というデメリットがはっきりしている場合は当然選びません。ですが、特に使い心地が変わらないのなら、同じペンを選ぶこともあるでしょう」


「同じものの方が、なんとなく手に馴染む感じがしますから」


「気を付けてないと、正しい知識は使えません。何かを決断する際は直前の情報に惑わされていないか、確認してください」


「ちょっとした差ですが、気にするのとしないのでは将来大きな差になります。塵も積もれば山となります」


「それでは今回のまとめです。人は最適な行動を知っていても、直前のイレギュラーがあると、それに引っ張られてします。最適な行動を引き出すには常に自分に問いかけるしかない」


「たまたま起こったことは気にしなくていいのです。最適なパターンを実行していきましょう」


「ということで、今回は『直前に知った情報で適切な決断を間違える』のお話でした。読者様の参考になれば、私はとても嬉しいです」


「最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。高評価や応援コメントはどんどんお願いします。待ってまーす」


「それでは、次回の『商品のデメリットは顧客に知らせるべきか?』で、またお会いしましょう。バイバーイ」



参考文献

Mouse tracking reveals structure knowledge in the absence of model-based choice

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