1411_人間は最短ルートを選ぶのが苦手 #決断
「幕末の土佐藩士の坂本竜馬は『人の世に道は一つということはない。道は百も千も万もある』と言ってます。どんな道が好きですか?」
「やっほー、知識はいいものだ。世界一の美女サクラです! 今回は『人間は最短ルートを選ぶのが苦手』について話すよ。よろしくね」
「読者様は現在地から目的地に向かう際、どのようなルートを選択しますか?」
「最短のルートは真っ直ぐ直線で向かう道です。しかし、これは現実的ではありません」
「道がないこともあれば、建物が邪魔をして真っ直ぐ歩けません。どうにかこうにか迂回しながら目的地に向かうことでしょう」
「で、できる限り短い道を選ぶと思います」
「しかしですね、人間の脳は最短なルートを選択したがらないみたいです」
「最短ルートがあったとしても、別の長いルートを選択する可能性が高いみたいです」
「不思議ですよね? どうして効率的な最短ルートを選択しないのでしょうか?」
「今回は目的地に向かう際のルート選択のお話をします」
「参考文献はアメリカのマサチューセッツ工科大学の研究となります」
「研究者は目的地に向かうルート選択について調べるため、14000人以上のGPSのデータを集めました。ボストンとケンブリッジを対象に、徒歩での移動55万件を分析しました」
「ちなみに研究者は自身が行きと帰りでルートが違うことから、最短ルートを選ばないようになっていないのでは? と考えたみたいです」
「さて読者様、人々は目的地に歩いて向かう際、どのようなルートを選択していたのでしょうか?」
「安全な道を選んでいたのでしょうか?」
「交通量の少ない道、事故の少ない道、大通りなど、最短ルートより安全を優先していたのでしょうか?」
「段差はどうでしょうか?」
「階段や急な坂道を選ばず、なだらかな道を選択する人が多かったのでしょうか?」
「それとも、屋根でしょうか?」
「夏場は日差しを受けると暑いです。雨が降ると傘をさす必要があります。ですので、日差しを避けたり、雨天時でも快適に歩けるルートが選ばれやすかったのでしょうか?」
「他にも、景観を優先したり、コンビニやスーパーに寄れる道を選んだり、信号の多さでルートを決めていたのでしょうか?」
「はたして、徒歩での移動を調べたら何が分かったのでしょうか?」
「14000人以上の徒歩での移動データを分析した結果、目的地に向かう際のルート選択はーー」
「真っ直ぐでした!」
「真っ直ぐというのは、現在地と目的地の二点間を直線で結んだ際に、角度があまりズレないルートを選択していることが判明したのです」
「言い換えると、目的に向かって道を曲がらないルートを選んでいたのです。曲がる回数を減らし、できる限り目的地まで一直線に向かうルートを選択する人が多かったのです」
「もちろん、最短ルートに比べたら歩く距離が長くなります」
「不思議ですよね? どうして人は最短ルートを選択しないのでしょうか? どうしてたくさん歩くのでしょうか?」
「それは、複雑なルートにすると脳のリソースをたくさん使うからです」
「太古の昔、当然ですが地図なんて便利な道具はありません。全部、ルートは頭に記憶するしかありません。そのため、複雑な最短ルートより遠回りの単純なルートを優先していたのです」
「それに、最短ルートを選ぶと動物の縄張りに侵入したりするケースもあります。安全を優先するため、必ずしも最短ルートが最適とは限らないのです」
「読者様は最短ルートを選んでいますか? それとも、道を曲がらないルートを選んでいますか?」
「建物が密集している地域だと、最短ルートで突き進むと右に左に何度も曲がることでしょう。曲がるのを嫌って、最初に真っ直ぐ進み、90度曲がってまたまっすぐ進むなんてルートを選択していませんか?」
「どうにかこうにか真っ直ぐ歩けるルートを選んでいませんか?」
「ちなみに、私はあります。曲がったことが嫌いなので、真っ直ぐ歩きます」
「ということで今回のまとめです」
「研究者は目的地に向かって歩く際、どういったルート選択をするのか調べたよ。14000人以上の徒歩での移動でのデータを分析して、ルート選択を調べたよ」
「すると、多くの人は、目的地に向かって真っすぐ進むルートを選んでいたよ。道を曲がらないルートが好きだったよ」
「面白い結果だね」
「今回の研究ですがGPSデータを分析したものとなります。最初にナビに案内された道を選んでいるだけの可能性もありますし、実際には信号やお店もあります」
「信号に捕まると結果として遅くなることもありますし、お店に寄ることが目的なら最短ルートを選ぶはずもありません。夏は日差しを避けるルート、冬は雪を避けるルートなど、状況によってルート選択は変わります」
「ですので、一概に最短ルートを選ぶことが苦手、というのは間違いかもしれません」
「その人にとっては曲がったルートのほうが最短の可能性は否定できません」
「読者様は最短ルートが好きですか? それとも、曲がらないルートが好きですか?」
「今回は『人間は最短ルートを選ぶのが苦手』でした。未知を少しでも減らす」
「ありがとうございます。次は『親が運動しないと子供も運動しない』だ! バイバイ」




