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1342_社会不安を抱えやすい人は視線がブレない #不安 #五感

「シラクサの僭主ディオニシオス2世を教育している古代ギリシャの哲学者プラトンは『皮肉屋は、心は狭いが眼が鋭い』と言ってます。目を見れば、分かるそうですよ」


「やっほー、知識はいいものだ。世界一の美女サクラです! 今回は『社会不安を抱えやすい人は視線がブレない』です。よろしくね」


「読者様は不安を感じやすい質ですか?」


「人前で話すのが苦手、注目されると言葉が出なくなる、誰かと一緒に食事をすると緊張する、体臭や口臭が人一倍気になるなど、ちょっとしたことで不安を感じやすい人がいます」


「こういう人って、不安から周囲を見渡している、と思っていませんか? 周囲を観察して、周りと同じような行動を取るために一生懸命に観察してそう、そんな風に考えていませんか?」


「どうやら、その考え、間違っているみたいです」


「不安を感じやすい人は落ち着きがなく視線を泳がせる、とはならないみたいです」


「今回は社会不安を感じやすい人の行動について考えたいと思います」


「参考文献はイギリスのボーンマス大学の研究となります」


「研究者は不安を抱えやすい人がどのような行動を取るのか調べるため、30人の学生に協力してもらいました」


「参加者はまず、研究者に教室に呼ばれ、アイトラッキングを装着します。そして、机でアンケートに答えてもらいます」


「研究者は忘れ物をしたと言って部屋から出ます。すると、見知らぬ人が部屋に入ってきます。同じ実験の参加者だと軽く挨拶をして、その人もアンケートに回答します」


「そして、参加者が見知らぬ人がいる状況で、どう行動するのか調べました」


「アイトラッキング装置を着けていると、視線が二極化します。視線がまったく動かなくなるか、視線が泳ぎまくるか、です。これは人為的に用意された環境のためと考えられます」


「そこで今回の研究では、より自然な状況を再現して、参加者の行動を観察しました。つまり、後から部屋に入ってくる人は実験の協力者ということになります」


「そして、参加者の不安障害を評価して、不安を抱えやすい人の行動の特徴を調べました」


「さて読者様、不安を感じやすい人は、どのような行動を取るのでしょうか?」


「今回調べたのは視線です。視線が固定されたのでしょうか? それとも視線が泳ぐようになったのでしょうか?」


「不安を感じやすい人はビクビクしています。隣の人に話しかけられないように、そっぽを向いて視線を合わせないようにしていたのでしょうか?」


「それとも、相手を見ていたのでしょうか?」


「相手が何か行動したら、すぐに回避できるように、観察に徹していたのでしょうか?」


「もしくは、視線が泳いでいたのでしょうか?」


「不安でどこを見ていいのか分からなくなり、あっちを見たりこっちを見たりするようになったのでしょうか?」


「はたして、不安を感じやすい人は、見知らぬ他人がいると、視線はどうなったのでしょうか?」


「30人の学生に協力してもらった結果、不安を感じやすい人の視線はーー」


「動かなくなっていました!」


「不安を感じやすい人は、見知らぬ他人を見つけるとその人のことを一瞬だけ確認します。一瞬だけ確認すると、即座に視線を逸らします。他人と目を合わせたくないのだと思います」


「その後、視線は動かなくなります。他人を観察することもなければ、周囲を観察することもありません。視線が泳がなくなることが判明しました」


「つまり、不安を感じやすい人は不安や警戒心から周囲を観察すと思いがちですが、実際には視線を動かさないことが判明したのです」


「どうやら周囲を警戒するより、自分が何かに巻き込まれないよにじっとする作戦を採用するみたいです」


「読者様は不安を感じやすい質ですか?」


「不安を感じやすいのなら、見知らぬ人がいる場所ではじっとしていることでしょう。話しかけられないように、縮こまっていると思います」


「また、視線がまったく動かない人がいたら、その人は不安を感じやすい人かもしれません。緊張させないよう優しく接しましょう」


「で、面白いことに、社会不安障害のスコアが低い人でも視線を動かさない傾向が確認されています」


「これは、儀礼的無関心(civil inattention)という言葉で一応の説明が可能です」


「儀礼的無関心とは、見知らぬ人々が同じ場所に集まりながらも、相手が存在しないかのように振る舞うことです。よく電車内やエレベーター内で起こります」


「電車では隣に見知らぬ人がいます。存在は認知しても、じっと見つめたり、話しかけたりすることはありません。いるのは認めても、結局スマホを見たり、窓の外を見ます。基本的に周囲の乗客を観察することはありません」


「エレベーターでも同様です。行きたい階層を告げることはあっても、それ以上の会話はありません。まるで他の人がいないかのように振る舞います」


「他にも、会社の廊下で他の部署の人とすれ違っても、会釈はしても雑談はしない。これも儀礼的無関心の一つです」


「このように相手がいることは知っているけど、積極的に声をかけない状態が起きたため、参加者の学生たちは視線を動かさなくなったのです」


「ジロジロ観察することは失礼ですし、じろじろ見られているとストレスを感じます。キョロキョロ視線を動かしていたら不審者扱いされるので、視線を動かすこともありません。互いに配慮するので、視線を動かさなくなるみたいです」


「ということで今回のまとめです」


「研究者は学生の社会不安障害レベルを調べて、不安を感じやすい人は見知らぬ他人がいるとどう視線を動かすのか調べたよ」


「すると、不安を感じやすい人ほど、視線を動かさなくなることが判明したよ」


「相手が入ってきても一瞬しか確認しないし、隣にいてもまったく観察しないみたい」


「不安を感じやすい人ほど、視線は泳がなくなるよ」


「今回の研究はあくまで視線を調べたものです」


「情報というのは視覚以外からも集めることができます。もしかしたら、不安を感じやすい人は、視線は動かしませんが、聞き耳を立てて情報収集している可能性があります」


「視線が動かないからといって、相手のことに無関心になっているとは限りません。ターゲットにされたくない一心で身を縮こませながらも、情報を集めているかもしれませんね」


「とにもかくにも、不安を感じやすい人は回避するために一生懸命になっているということです」


「そういう人には、あまりちょっかいを出さないようにしましょう」


「今回は『社会不安を抱えやすい人は視線がブレない』でした。私は知識が大好きです」


「ありがとうございました。次は『短時間睡眠より長時間睡眠のほうが死亡リスクを高める』です! バイバイ」

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