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1282_重力を強めてトレーニングしたら、普段より強化されるのか? #筋トレ #環境

「東京では英語を、札幌では農学を学んだ新渡戸稲造は『武士道』にて『武士道は知識を重んじるものではない。重んずるものは行動である』と語っています。百聞は一見にしかずですな」


「やっほー、知識を増やすことは人生の至福。世界一の美女サクラです! 今回は『重力を強めてトレーニングしたら、普段より強化されるのか?』です。よろしくね」


「漫画を読んでいると、主人公がパワーアップするためにトレーニングを行うシーンが描かれます。強大なモンスターに立ち向かうためだったり、ライバルに勝つためだったり、理由は様々です」


「そんな時、主人公が重力の強い場所でトレーニングをすることがあります」


「普段より強い重力がかかる空間でトレーニングをすることで負荷が高くなり、効果も大きくなるという理屈です」


「重力が大きければ、それだけ動くのに大きなエネルギーが必要になります。普段からたくさんの力が必要になるので、パワーアップが期待できまという寸法です」


「でも、本当に重力が強い場所でトレーニングをする意味はあるのでしょうか?」


「超重力空間で生活したり、トレーニングをすると普段より大きな力を得られるのでしょうか?」


「今回は、超重力トレーニングの効果について迫りたいと思います」


「世の中には、夢のようなトレーニングを調べた実験が存在するのです」


「参考文献はドイツのブレーメン応用科学大学の研究となります」


「現在の科学では人工的に重力を操作することはできません。しかし、工夫をすれば重力を擬似的に発生させることは可能です」


「研究者は、重力を発生させるために遠心分離機を使いました」


「遠心分離機とは、高速回転により液体や固体の中の成分を分離させる機械です。読者様も理科室などで見たことがあるかもしれません」


「回転による遠心力で強い重力を与えることができます。この疑似重力を使って実験を行いました。ジェットコースターで体が重くなるみたいな感じです」


「対象となったのは昆虫のトノサマバッタです」


「特注のケースを作り、遠心分離機によって3G、5G、8Gの空間を再現できるようにしました。そこでトノサマバッタを二週間育てました。二週間重力はずっと強いままです。例外はエサを与えるときの15分間だけです。それ以外は超重力の生活をしました」


「そして、普通の環境(1G)で育ったトノサマバッタと比較しました」


「さて読者様、重力の強い場所で育ったバッタは強くなったのでしょうか?」


「宇宙空間では重力がほとんどないため、体に負荷がかかりません。そのため、筋肉や骨が弱くなります」


「ということは、反対の状況なら筋肉や骨が強くなると考えられます」


「やはり、重力が強い場所で生活したりトレーニングをすると、より成長できるのでしょうか?」


「関係がなかったのでしょうか?」


「強い重力があっても案外何も起きないのでしょうか? 筋肉や骨に負荷がかかることと成長は別だったりするのでしょうか?」


「それとも、無理だったのでしょうか?」


「重力が二倍になるだけでも、体にかかる圧力が大きくなります。眼球が変形したりする可能性があります。また、心臓が脳まで血液を送り届ける労力も二倍になります」


「成長以前に体が耐えられないのでしょうか?」


「はたして、バッタを重力が強い場所で育てたらどうなったのでしょうか?」


「超重力の環境でトノサマバッタを二週間育てた結果、バッタはーー」


「強くなっていました!」


「普通の1Gで育ったバッタに比べて、外骨格や脚の強さがアップしていました」


「ただし、3Gに限ります」


「5Gや8Gの環境だと、強くなる効果はありませんでした。重力は強ければ強いほどいい、とはなりませんでした。というのも、重力が強すぎると、成長以前の話となっていました」


「バッタの二週間後の生存率ですが、1Gだと76%、3Gだと81%、5Gだと51%、8Gだと7%でした」


「普通の環境で過ごすより、ちょっと重力が強い場所で過ごしたほうが生存率が高くなるのは意外でした。5G以上になると生存率がガクンと下がるみたいです」


「しかも、5Gや8Gの環境で育ったバッタは普通の環境で育ったバッタに比べて弱くなっていました」


「やはり重力が強すぎると体が耐えられなくなるみたいです」


「重力が強い場所でトレーニングをする意味はあったのです。漫画のキャラクターの練習方法は間違っていなかったみたいです。でも、限界はあります」


「読者様もトレーニングをする際は、重力を強めてみてはいかがでしょうか?」


「え? 『どうやって重力を強くするんだ?』ですか? んーっと、気合?」


「まあ冗談はともかく、ウェイトベストという重い服を着て行うトレーニング法があります。これを使えば、重力が強い環境でのトレーニングを真似することができるでしょう。是非、検討してみてください」


「ただし、無理はしないでください。負荷のかけすぎは怪我の原因です。かえって体を弱めることになる可能性があります。無理のない範囲で負荷をかけてトレーニングをしましょう。普段のトレーニングより効果がアップするかもしれません」


「ということで今回のまとめ」


「研究者は超重力でのトレーニング効果を調べたよ。遠心分離機を使って疑似的な重力を作って、そこでバッタを育てたよ」


「すると、バッタは普通の環境で育つより強くなったよ」


「でも3Gまでだよ。それ以上、重力が強くなると、逆に弱くなったよ。重力が強すぎるとダメみたい。過すぎたるは猶及ばざるが如ごとしだよ」


「やり過ぎ注意」


「今回の研究はあくまでバッタを対象にしたものです。人間にも同じ結果が当てはまるかは分かりません。バッタと人間では大きさや重さ、筋肉、骨格など、何から何まで違います」


「バッタで上手くいったからといって、人間でも上手くいくとは限りません。まあ、強い重力を生み出すことが現状ではほぼ不可能なので、試したくても試せませんが」


「とはいえ、高負荷トレーニングには一定の効果が認められているので、やり過ぎなければトレーニングの効果はアップするのでしょう」


「高負荷トレーニングをする際は、少しずつ負荷を上げていきましょう。いきなり負荷をかけすぎると危険です」


「超重力トレーニングが実現する日はいつでしょうか?」


「今回は『重力を強めてトレーニングしたら、普段より強化されるのか?』でした。大体の問題は知識で解決できる」


「ありがとうございました。次は『運動の強度に比例して食欲も増えるのか?』です! バイバイ」

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