1278_どうして人の顔を覚えられないのか? #記憶 #人間関係
「アメリカの作家デール・カーネギーは『相手の名前を覚える秘訣。相手と話しているうちに、何回となく相手の名前をくりかえし、相手の顔の表情、姿などといっしょに、頭のなかに入れてしまうこと』と語っています。名前を覚えたければ、一緒に色々覚えましょう」
「やっほー、私の趣味は読書です。世界一の美女サクラです! 今回は『どうして人の顔を覚えられないのか?』です。よろしくね」
「読者様は「この人、誰だっけ」と人の顔を忘れることはありませんか?」
「見た覚えがあるのに全然思い出せない、声を聞いたことがあるのに顔を思い出せない、待ち合わせの相手が目の前にいるのに気づかない、そんな経験を一度や二度はしたことがあるでしょう」
「でも、どうしてこんなことが起きるのでしょうか?」
「人によっては一度しか会っていないのに顔を覚えていたりするのに、何度も会っているのに顔を全然覚えられないことがあります。この違いは何なのでしょうか?」
「顔のインパクトでしょうか? 特徴的な顔をしていると覚えられるのでしょうか? それとも自分と似ている顔を覚えられるのでしょうか?」
「今回は人の顔を覚えられない理由について考えたいと思います」
「参考文献はイギリスのヨーク大学の研究となります」
「研究者は人の顔を覚えられない理由を探るため、健康な人を45人と人の顔を見てもまったく覚えることができない相貌失認の人を28人集めました」
「彼らにはファンタジー小説を元にしたテレビドラマを見てもらいました。その際、MRIを使って脳の活動を調べました」
「参加者はドラマを見たこともある人もいれば、まったく見たことがない人もいました」
「そして、脳活動から人の顔を覚えられない理由を探りました」
「さて読者様、なぜ人の顔を覚えられないのでしょうか?」
「興味がないのでしょうか?」
「興味がないと積極的に相手のことを覚えようとしません。頭の中に顔の情報が刻まれないので、次に会った時に思い出せないのでしょうか?」
「しかし、興味を持っていても顔を忘れることがあります。美女やイケメン、好みのタイプの顔は興味津々です。それでも、次に会った時、初めて会ったような感動をすることがあります。興味は関係ないのでしょうか?」
「では、特徴はどうでしょうか?」
「特徴のない顔、ありきたりな顔、どこにでもいそうな顔の人は覚えられないのでしょうか? 他の人に埋没してしまうため、覚えられないのでしょうか?」
「それともシンプルに時間だったのでしょうか?」
「顔を見ている時間が短いと、顔を覚えることが難しかったのでしょうか?」
「はたして、人の顔を覚えられない理由とは何だったのでしょうか?」
「健康な人や相貌失認の人を集めて、顔の覚える理由を探った結果、人の顔を覚えられないのはーー」
「個人情報がない場合でした!」
「健康な参加者がドラマを見ている時、脳の視覚領域と非視覚領域の両方が活発的になっていました。ただし、ドラマを見たことがない人は非視覚領域の活性化は小さかったです」
「視覚領域とは、目に入ってくる情報のことです。顔の輪郭、目や口や鼻の形、ほくろの位置など、人の顔に関する情報を認識する部位です」
「非視覚領域とは、その人の性格やエピソード、感じた印象などの目には見えない情報のことです。ドラマを見たことがない人は登場人物の情報を持っていないため、活動が小さくなったようです」
「健康な人は、二つの領域が活発になり、その上で二つの領域がいい感じに連携していました」
「要するに、その人物の顔とエピソードが結びついていたのです」
「一方で、相貌失認の人は視覚領域と非視覚領域が上手く連携できていませんでした。二つを結びつける部分に問題が起きている可能性があるのです」
「人の顔を覚えられないのは、顔を記憶できないのではなく、顔とエピソードが結びつかないから、と考えられるのです」
「つまり、人の顔を覚えられないのは、顔に特徴がないだとか、記憶力が悪いからとか、ではないのです。その人のパーソナルな情報が不足しているからだったのです」
「人の顔を覚えるには、その人の性格とかエピソードなどの個性が必要だったのです」
「顔の形とその人のパーソナリティ、二つが合わさって、ようやく顔を覚えられるのです」
「読者様も街ですれ違ったイケメンや美女に興奮したけど、数分後には顔が思い出せなくなったという経験がありませんか?」
「イケメンや美女でも顔を覚えられないのは、その人のパーソナリティがまったく分からないからです。名前も性格も賢さも、なーんにも知らないから顔を覚えられないのです」
「反対に、個人情報をペラペラと喋る人は顔をちょっとしか見ていなくても覚えているはずです。顔と情報が結びつくので覚えやすいです」
「人に顔を覚えてもらいたければ、個人的な情報を付け加えましょう。好きな食べ物、趣味、マイブーム、異性のタイプなど、自己紹介の際に一言付け加えるだけで顔を覚えてもらいやすくなるでしょう」
「ということで今回のまとめです」
「研究者は健康な人と相貌失認の人を集めて、人の顔を覚えられない理由を探ったよ」
「すると、相貌失認の人は、顔を覚えることとその人のパーソナリティを上手く結びつけることができないことが判明したよ」
「どうやら、人の顔を覚えるには、顔の形だけでなくその人のパーソナリティも必要みたい。両方あって初めて人の顔を覚えられるみたい」
「読者様は人の顔を覚えるのが得意ですか?」
「得意なら、無意識のうちにパーソナルな情報を集めているのかもしれません」
「人の顔を覚えるのが苦手な人は、その人の性格を考えたり、エピソードを聞いたりするといいかもしれません」
「人の顔を覚える手法として、顔の特徴的な部分に注目したり、相手の名前を呼ぶのがいいとされています。しかし、相手の雰囲気から性格を予測したり、どんな仕事をしているのか想像するのも一つの手です。是非、試してみてください」
「あれ? あなた、誰でしたっけ?」
「今回は『どうして人の顔を覚えられないのか?』でした。大体の問題は知識で解決できる」
「ありがとうございました。次は『AIは討論相手のパーソナリティを理解していると説得力が増す』です! バイバイ」




