1248_イヌイットは本当に「雪」に関するボキャブラリーが豊富なのか? #言葉
「欧化主義と藩閥政治を批判した思想家の三宅雪嶺は『出来ぬと思えば出来ず、出来ると思えば出来る事が随分ある』と言ってます。思い込みの力って侮れないですよね」
「やっほー、興味深い知識をいっぱい知りたい。世界一の美女サクラです! 今回は『イヌイットは本当に「雪」に関するボキャブラリーが豊富なのか?』です。よろしくね」
「読者様は、イヌイットには雪に関係する言葉がたくさんある、という話を聞いたことがありますか?」
「イヌイットは雪の多い地域で暮らしています。そのため、雪の状態や種類を細かく区別するために、雪に関する語彙が発達したと言われています」
「住居を作る際には雪の硬さを調べたり、狩猟の際には雪の状況によって行動を変えるそうです」
「なので、細かい雪の違いを表現するために、雪に関する語彙が増えたとされます」
「一方で、イヌイットの雪に関する語彙は別に多くない、という主張もあります。むしろ、少ないと主張している人もいます。雪が当たり前の生活ですから、わざわざ区別する必要がないのかもしれません」
「実際、イヌイットの雪に関する語彙は多いのでしょうか? それとも少ないのでしょうか?」
「今回はイヌイットの雪に関する語彙が多いか少ないかについてのお話です」
「参考文献はオーストラリアのメルボルン大学の研究となります」
「研究者はイヌイットの語彙を調べるため、辞書を使いました」
「世界中の様々な言語の辞書、1547冊からデータベースを作りました」
「そして、それぞれの言語の雪に関する語彙がどれくらいあるのか調べました」
「さて読者様、イヌイットは雪の表現をたくさん知っているのでしょうか?」
「もし、持っているのなら、他の雪の地域に住んでいる人たちも同じような傾向が確認されるのでしょうか?」
「それとも、雪に関する語彙は普通だったのでしょうか?」
「暖かい地域の語彙と遜色がなかったのでしょうか?」
「むしろ、少なかったのでしょうか? 生活に密着しすぎているため、逆に少なかったのでしょうか?」
「はたして、イヌイットは雪に関する語彙をたくさんもっていたのでしょうか? それとも少なかったのでしょうか?」
「各言語の雪の語彙を調べた結果、イヌイットの雪に関する語彙はーー」
「多かったです!」
「昔から言われている通り、イヌイットは雪に関する語彙が豊富だったのです」
「イヌイットにとって雪はただの気象現象ではありません。生活や文化に深く関わっています。そのため、雪に関する語彙も自然と発展したと考えられます」
「とはいえ、雪の語彙が豊富なのはイヌイットの専売特許ではありません。雪が多く降る地域では雪に関する語彙が多い傾向が確認されています」
「イヌイットの雪に関する語彙が豊富なのは間違っていませんが、イヌイットだから雪の語彙が多い訳ではないみたいです」
「この研究、イヌイットの語彙だけを調べた研究ではありません。各言語の語彙について調べています」
「たとえば、馬です」
「馬に関する語彙が多いのは、モンゴル語、フランス語、ドイツ語、カザフ語となっています」
「ヒンディー語では愛に関する語彙が多く、日本では義務と責任に関する語彙が多いみたいです」
「という感じで、雪や馬は生活に密着している地域だと語彙が増える傾向が確認されました」
「ですが、雨に関しては別でした」
「よく雨が降る地域では特に雨に関する語彙は増えていませんでした」
「むしろ、雨が普通くらいの地域で雨に関する語彙が発達していたのです」
「この理由は、雨が生活に欠かせないからだと考えれます」
「人間は水を飲まないと生きていけません。そのため、雨が降らない地域の人も雨について日頃から考えています」
「雨が降ったら嬉しい、雨が降らなかったら困る。雨が降る・降らないに関わらず気にかける存在なので、雨の語彙が増えると考えられます」
「生活に密着していると語彙は増えやすいみたいですが、必ずしも語彙が増えるとは限らないみたいです」
「読者様の語彙はどんなものですか? 雪に関する語彙は豊富ですか?」
「大雪、豪雪、初雪、早雪、冠雪、終雪、雪崩、名残雪、残雪、根雪、万年雪、赤雪、圧雪、淡雪、銀雪、帷子雪、細雪、雪月花、雪夜、雪女」
「空き家の雪隠、蛍雪の功、墨と雪、雪駄の土用干し、雪上に霜を加う、月雪花は一度に眺められぬ、冬の雪売り、雪を欺く、雪仏の日向遊び」
「いやはや、こうして調べてみると、雪を使った言葉は意外と多いですね。全然知らない言葉だらけでした」
「ということで今回のまとめです」
「研究者は各言語の語彙の特徴について調べたよ」
「すると、イヌイットはやっぱり雪に関する語彙が豊富だったみたい」
「生活に密着しているから、どうしても多くなるみたい。面白いね」
「でも、雨は関係なかったみたい。不思議だね」
「今回の研究ですが、注意点もあります。単語数などは辞書によって異なります。例文によく使われる単語なども存在します」
「辞書ごとに採用している言葉や基準が異なります。そのため、必ずしも信頼できるとは限りません」
「各言語、各辞書などの性質も考慮しないといけないでしょう」
「とはいえ十分参考になるデータだと思います」
「イヌイット語では雪に関する語彙が豊富、というのは間違ってなさそうです」
「読者様は何か特定の語彙について知見がありますか?」
「今回は『イヌイットは本当に「雪」に関するボキャブラリーが豊富なのか?』でした。知識、面白いなり」
「ありがとうございました。次は『恋人の評価が65点になると破局に王手』ですよ! バイバイ」




