1223_法則が見抜ける人は頭が固いが、頭が柔らかい人は法則を見抜けない #知能
「大学時代はニュートン物理学に興味を持っていたドイツの哲学者イマヌエル・カントは『互いに自由を防げない範囲で、わが自由を拡張すること、これが自由の法則である』と言ってます。誰かのフィールドに侵入するのは自由ではないみたいです」
「やっほー、知らない知識をいつでもどこでも集めたい。世界一の美女サクラです! 今回は『法則が見抜ける人は頭が固いが、頭が柔らかい人は法則を見抜けない』です。よろしくお願いします」
「読者様は法則を見抜くのは得意ですか?」
「クイズ番組では法則クイズなんてものがあります」
「たとえば、S→M→H→D→W→M→? という問題があります「?」に入るアルファベット一文字がわかりますか?」
「他にも、1、1、2、3、5、8、? という法則もあります。「?」に入る数字がわかりますか?」
「文字や数字の羅列から法則見出だして答えを導くことが得意ですか?」
「得意な人なら、一つ目の問題の答えが「Y」、二つ目の問題の答えが「13」だと一撃で導けるでしょう」
「解説をしますと、一つ目の問題は時間の単位です。Second(秒)、Minute(分)、Hour(時)、dDay(日)、Week(週)、Month(月)、最後はYear(年)となりますので、答えはYです」
「二つ目の問題はフィボナッチ数列です。イタリアの数学者フィボナッチが発見した数列で、前の二つの数字を足した数列のことです。こちらは数学の授業で習った人も多いでしょう」
「閑話休題。不確実なデータからパターンを認識する能力のことを統計的学習なんて言ったりします」
「統計的学習が得意だと、法則を見つけられるので分析が上手です。論理的に考えることができるので、データサイエンティストなどに向いています」
「しかし、統計的学習が得意な人は、どうやら実行機能が低いみたいです」
「実行機能とは、目標を達成するために、計画を立てたり、思考や感情を制御する能力のことです」
「実行機能が高いと、努力ができるので目標を達成しやすいです。難解な問題を解決することができたり、柔軟な対応をすることが可能です」
「ワーキングメモリも優れているので、新しいスキルを習得するのが早いです」
「しかし、実行機能が優れている人は、統計的学習が苦手でした」
「あちらを立てればこちらが立たず、統計的学習と実行機能の両立は無理みたいです。残念なことに、共存は難しいのです」
「今回は統計的学習と実行機能は両立できないというお話をしようと思います」
「参考文献はフランスの研究となります」
「研究者は統計的学習と実行機能の関係を調べるため、二つの実験を行いました。内容はほとんど同じです」
「研究内容は、テストを行って統計的学習の能力を調べ、その後に実行機能を調べる、というものです」
「一つ目の研究ではフランスの35歳未満の成人186人が参加しました」
「二つ目の研究ではハンガリーの大学生157人が参加しました」
「実験の結果ですね、統計的学習と実行機能の間には、一貫して負の相関関係が確認されたのです!」
「つまり、法則を見出だすのが得意な人は、計画を立てたり感情を制御するのが苦手でした」
「反対に、感情や思考を制御するのが得意だと、法則を見出だすのが苦手でした」
「論理的な思考と柔軟な思考、それぞれ求められる能力が異なります。そのため、両方が得意な人がいないのでしょう」
「統計的学習と実行機能はトレードオフな関係だったのです」
「読者様は法則を見出だすのが得意ですか?」
「法則クイズが得意なら、複雑な柔軟に考えることが苦手かもしれません」
「一方で、柔軟な考えが得意な人は、適当な文字列から法則を見出だすのが苦手かもしれません」
「統計的学習と実行機能、どちらが優れていますか?」
「人間、得意と不得意があるものです。苦手なことを率先してやる必要はないと思います。苦手なことはできる人に任せたり、得意な人に頼ればいいのです」
「その代わり、相手が苦手なことは代わりにやりましょう。人生、持ちつ持たれつです」
「一人でやるには限界があります。何でもかんでも全部一人でできる人はいません。自分の得意分野と苦手な分野を理解して、協力することが大切です」
「できないこと、苦手なことに一生懸命になるより、できること、得意なことに全身全霊になるほうがいいと思います」
「とはいえ、短所を減らして、満遍なくできるようになるのも、また選択の一つです。長所を伸ばして特化型になるか、短所を減らして万能型になるか、どちらを選ぶかは読者様の自由です」
「ということで今回のまとめです」
「研究者は300人以上の統計的学習と実行機能の能力を計って、関係性を調べたよ」
「すると、統計的学習と実行機能には負の相関関係があることが判明したよ」
「法則を見つけるのが得意な人は、柔軟な思考が苦手だよ」
「でも、柔軟な思考が得意な人は、法則を見つけるのが苦手だよ」
「統計的学習と実行機能が共存するのは難しいみたい。残念、万能な人間はいないみたい」
「人間、持ちつ持たれつだよ」
「今回の研究では統計的学習と実行機能に負の相関関係が確認されていますが、その効果サイズは小さいです」
「認知機能は様々な要因にも影響を受けます。法則を見つけるのが得意だからといって、柔軟な思考ができないとも限りません。もちろん、逆もまた然り」
「ですので、法則を見出だすのが苦手、柔軟な思考が苦手だと思っても、あまり深刻に考えないでください。訓練すれば、能力は伸びます」
「仮に、苦手な能力が伸びなかったら、得意なことを頑張ればいいのです。その能力は、必ずどこかで発揮できます」
「今回は『法則が見抜ける人は頭が固いが、頭が柔らかい人は法則を見抜けない』でした。あらゆる知識は素晴らしい」
「ありがとうございました。次回は『どうしてパンダは白黒なんですか?』となります! バイバイ」




