1169_新しいことを覚えるとき、声に出すのはよくないかもしれない #記憶 #勉強
「織田信長や豊臣秀吉に仕えた戦国武将の前田利家は『落ちぶれているときは平素親しくしていた者も声をかけてくれない。だからこそ、そのような時に声をかけてくれる者こそ真の友人だ』と言ってます。本当に辛いときに助けてくれるのが親友」
「やっほー、新しい知識は面白い。世界一の美女サクラです! 今回は『新しいことを覚えるとき、声に出すのはよくないかもしれない』です。よろしくお願いします」
「読者様は新しいことを覚える際、声に出して覚えることはありませんか?」
「たとえば、新しい英単語を覚える時に、その単語を見たり、読んだり、書いたりするだけでなく、声に出して口で覚えることはありませんか?」
「声に出すことによって、目と耳の両方から情報を得られるので記憶に残りやすい、声に出すことで脳が刺激され覚えやすい、などと言われています」
「他にも、音読することで文章の理解が深まったり、黙読に比べて集中力が高まる、とも言われています」
「声に出して勉強することには多くのメリットがあるとされています」
「ですが、その考え、間違っているかもしれません」
「どうやら、声に出して勉強しても意味がない、もしくは悪い結果になるかもしれないのです」
「今回は声に出して勉強する意味はあるのか考えたいと思います」
「参考文献はスペインのBCBLの研究となります」
「研究者は声に出して勉強する方法の効果を調べるため、300人以上の参加者を集めて、新しい12個の単語を覚えてもらいました」
「参加者は四つの方法で単語を覚えました」
「その①、黙って聞く。覚えるべき単語の音を聞くだけの勉強です」
「その②、すぐに声に出す。覚える単語を聞いた直後に声に出します」
「その③、2秒待ってから声に出す。覚える単語を聞いてから2秒後に声に出します」
「その④、4秒待ってから声に出す。覚える単語を聞いてから4秒後に声に出します」
「それぞれの方法で新しい単語を記憶してもらった後、テストを実施しました」
「そして、どの方法だと新しい単語を覚えられるのか調べたのです」
「さて読者様、声に出して勉強する方法はいかがなものだったのでしょうか?」
「すぐに声に出すとよかったのでしょうか? それとも、少し待ってからがよかったのでしょうか?」
「新しい単語を記憶に定着させるには瞬発力が大事だったのでしょうか? 即座に声に出すことで記憶への定着率が高まったのでしょうか?」
「それとも、少し待ったほうがよかったのでしょうか?」
「脳にだって情報を整理する時間が必要です。即座に声に出していたら、頭の中の情報がごちゃごちゃになります。ちょっと待ってから声に出すべきだったのでしょうか?」
「それとも、黙っているべきだったのでしょうか? 学習者は黙って勉強するに限るのでしょうか?」
「はたして、新しい単語を声に出して覚えた場合、どうなっていたのでしょうか?」
「新しい単語を声に出しながら覚えてもらった結果、声に出すとーー」
「成績が悪くなっていました!」
「新しい単語を口に出して覚えると、あまり覚えられなくなっていたのです」
「テストの結果、黙って新しい単語を聞いた勉強が一番成績がよかったです」
「新しい単語を聞いた直後もしくは2秒後に声に出す勉強をしていると、テストの成績は下がりました」
「4秒後に声に出していた場合は、黙って勉強していた場合と同じになっていました」
「どうやら4秒待てば、いいみたいです。しかし、プラスにはなりません」
「研究では単語の聞き取りテストも行われたのですが、こちらも口に出して勉強していると成績が悪くなっていました」
「今まで、口に出して勉強すると効率よく覚えられると言われていました。ですが、今回の結果を見る限り、そうではないようです」
「ここで問題になってくるのが、どうして声に出すと覚えられないのか、です」
「研究者によりますと、脳のリソースの問題のようです」
「脳のリソースは案外少ないです。脳は新しい単語を聞いた時、その単語を理解するために脳のリソースを使います」
「しかし、理解している最中に声に出す、という新しいタスクを与えられると、理解するためのリソースを削って声に出すことにリソースを割きます」
「結果として、理解するためのリソースが減るので、新しい単語を理解できなくなるようです」
「4秒待った場合に記憶力の低下が起きなかったのは、脳が新しい単語の理解を済ませた後に声に出していたからのようです」
「かつかつのリソースで遣り繰りすると脳がパンクしてしまうようです。脳に余裕を持って勉強するのがいいのでしょう」
「もしかしたら、詰め込み型の勉強がよくないのは脳のリソースを使い果たしてしまうからなのかもしれません。理解する前にどんどん詰め込むので、覚えられるものも覚えられなくなるのかもしれませんね」
「勉強は余裕を持って行うのが大事みたいです」
「ということで今回のまとめです」
「研究者は声に出して勉強する方法の効果を調べたよ」
「新しい単語を聞かせて覚えてもらったよ。その際、声に出して覚えてもらったよ」
「すると、声に出して覚えた場合、記憶力が悪くなっていたよ」
「声に出して覚えるのはよくないみたい。でも、4秒待ってから声に出した場合は、問題なかったよ」
「脳に余裕を持たせると大丈夫みたい」
「今回の研究では声に出すことが学習の妨げになることが判明しました。ですが、今までの研究の多くで、声に出すことで記憶力が上がることが報告されています」
「また、集中力が上がったり、理解力も上がるとされています」
「今回の研究だけで、声に出す勉強法が意味がない、とは言えません。むしろ、今回の研究結果のほうが珍しいです」
「もしかしたら、声に出す勉強法に一石を投じることになるかもしれません」
「読者様も声に出して勉強するのと、黙って勉強するのを両方行って、どっちが記憶の定着に向いているのか試してみましょう」
「……個人的には、声に出して勉強するほうがいいと思っています」
「ということで今回は『新しいことを覚えるとき、声に出すのはよくないかもしれない』でした。知識は素晴らしいですね」
「ありがとうございました。次回は『ショート動画をよく見る子供は学校の成績が悪い』となります! バイバイ」




