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1073_差別されたことがある人は痛みを感じやすい #痛み #経験

「アン・ハッチンソンの友達だったアメリカの詩人アン・ブラッドストリートは『もし冬がなかったら、春の訪れはそれほど喜ばれないだろう。もし私たちが時々逆境を経験しなければ、成功もそれほどうれしく感じないだろう』と言ってます。プラスとマイナス、メリットとデメリット、緊張と緩和、緩急があるからありがたみを感じるのです」


「やっほー、知識は最強である。どうも、世界一の美女サクラです! 今回は『差別されたことがある人は痛みを感じやすい』となります。最後まで楽しんでいってください」


「痛みの感じやすさは個人差があります。ちょっとしことでも強く痛がる人もいれば、強い衝撃でも全然痛みを感じない人もいます」


「なぜ痛みの感じやすさに違いがあるのでしょうか?」


「世間ではアフリカ系アメリカ人は白人に比べて痛みに鈍感なんて言われたりしています。民族や種族が痛みに対する感受性に影響を与えるのでしょうか?」


「それとも、生まれた環境でしょうか? 遺伝子でしょうか? 筋トレでしょうか? 親の収入でしょうか? 教育でしょうか?」


「いいえ、違います」


「実は、痛みの感じやすさの違いは『差別』によって生まれるのです」


「今回は痛みを感じやすい人の特徴についてお話しします」


「参考文献はアメリカのマイアミ大学の研究となります」


「研究者は痛みの個人差を調べるため、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、白人を集めて実験を行いました。参加者は合計88人です」


「参加者に痛みを感じてもらうために、腕に熱を与えました。熱の温度は最大で47℃となります。機械によって制御されているので、全参加者は同じ痛みを経験します」


「熱による痛みを100点満点で評価してもらいました。さらに、fMRIを使って痛みを感じている時の脳の活動を調べました」


「痛みの評価と脳の活動の両方を分析して、痛みを感じやすい人の特徴を探りました」


「さて読者様、痛みを感じやすい人はどんな特徴を持っていたのでしょうか? また、差別はどう関係していたのでしょうか?」


「差別には様々な種類があります。人種、民族、文化、宗教、言語、地域、性別、性的指向、障がい者、病気、階級、学歴、職業、年齢、思想、血液型、容姿、身分など。いずれかの差別と痛みに関わりがあったのでしょうか?」


「また、差別をしている人、差別を受けている人がいます。どちらと関連があったのでしょうか?」


「はたして差別と痛みにどのような関係が見られたのでしょうか?」


「参加者を集めて痛みに関して評価してもらった結果、痛みを感じやすいのはーー」


「アフリカ系アメリカ人でした!」


「参加者に対して行った痛みに関する評価で、アフリカ系アメリカ人の人は平均5ポイント高く痛みを評価していました」


「つまり、アフリカ系アメリカ人は痛みに敏感だったのです」


「しかし、研究はこれで終わりではありません。むしろ、出発点でした」


「研究者は脳の活動を調べたのですが、どの参加者も脳の活動に違いはありませんでした」


「痛みに関連する領域の反応を観察したのですが、何も違いはありませんでした」


「種族や民族の違いで痛みに鈍感になったり敏感になったりしません」


「どういうことでしょうか? 痛みの評価と脳の活動で、明らかな矛盾を確認したのです」


「脳の活動が同じなら、痛みの評価も似たり寄ったりな結果になるはずです。しかし、結果はアフリカ系アメリカ人が痛みを強く主張していました」


「この矛盾はどうして生まれるのでしょうか?」


「研究者は考えました。そして、見つけた答えが差別です」


「参加者には実験前に差別に関するアンケートを行っていました」


「その結果、今までに差別を経験したことがある人は、痛みを強く主張する傾向が確認されたのです」


「同じ痛みでも、今までの人生経験によって痛みを声高に訴えるかどうかが決まるようです」


「研究者によりますと、幼い頃から強いストレスを経験してきた人は、慢性疼痛を発症する可能性が高いです。そのため、差別を経験してきた人の脳が痛みに敏感に反応するように変化した可能性があるようです」


「経験は考え方に大きな影響を与えます。幼少期の成功や失敗は脳裏に刻まれます。その出来事が起点となって、行動が変化することもあるでしょう。なので、差別で脳に変化があってもおかしくありません」


「読者様の身の回りに痛みを声高に主張する人がいたら、その人は差別を経験してきたのかもしれません。寄り添ってあげることが求められるかもしれません」


「ただ、単純に目立ちたいだけ、承認欲求を満たすため、被害者アピールをしているなどの理由も考えられるので、殊更に痛みをう訴えていても差別を経験してきたとは安易に考えることはできません」


「あくまで可能性の一つですよ」


「それでは、今回の、まとめ、です」


「研究者は様々な民族の人を集めて、痛みに関する実験を行ったよ」


「すると、アフリカ系アメリカ人は痛みを強く主張することが判明したよ」


「でも、脳の活動を見てみると、どの民族でも同じだったよ」


「さらに調査を進めると、差別が関係していることが判明したよ」


「差別を受けた経験がある人は痛みを強く主張する傾向があったよ。差別経験によって脳に変化が起こったのかもしれないね」


「ただ今回の研究では一部の民族しか調べていませんし、本当に差別経験が痛みの主張に影響を与えたのかは不明です」


「あくまで可能性の一つであることを忘れないでください。もしかしたら民族の違いが痛みの反応に影響を与えているのかもしれません」


「痛みの感じやすさに個人差があるのは間違いないでしょう。しかし、何が影響しているのかは、まだまだ解明されていません」


「詳細については今後の研究を待ちましょう」


「今回は『差別されたことがある人は痛みを感じやすい』でした。人生を変えたければ知識を集めよう」


「ありがとうございました。次回は『睡眠の質を高めたければ重いブランケットだ』です! バイバイ」

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