1027_同じ痛みでも女性の痛みは低く見積もられる #痛み #薬
「ロンドン大学で解剖学と生理学で首席を取っているイギリスの生物学者トマス・ヘンリー・ハクスリーは『苦しみ、犯罪、そして、その他人間のあらゆる悲しみに対する唯一の薬とは、叡智なのである』と言ってます。ネガティブな感情や気持ちは知識があれば、解決するのからもしれません」
「やっほー、好きなものは知識。どうも、世界一の美女サクラです! 今回は『同じ痛みでも女性の痛みは低く見積もられる』となります。最後まで楽しんでください」
「読者様は病院に行きますか?」
「怪我をした時、病気になった時、調子が悪くなったりしたら病院に行くと思います」
「そして、病院に行くと薬が処方されます。これは当然のことだと思います」
「しかし、差があることを知っていますか?」
「実は、男性と女性で薬が処方される確率が違うことを知っていますか?」
「同じ症状を訴えても、片方は薬を処方されて、もう片方は薬が処方されない。そんな不公平があることを知っていますか?」
「病院では、性別の違いで不公平が起きているのです。適切かつ公平にしなければならない病院で不平等が発生しているのです」
「今回は、男女で異なる処方せんについてのお話です」
「参考文献はイスラエルのヘブライ大学などの研究となります」
「研究者は患者の性別によって適切な治療が行われているのか調べるため、痛みを訴えて来院した患者21851人のデータを分析しました」
「データには、痛みのレベル、来院した回数、処方された薬などが含まれていました」
「そして、性別の違いによる薬の差を調べました」
「さて読者様、男性と女性、どちらが薬を処方されやすいと思いますか?」
「男性のほうが薬を処方されやすいのでしょうか?」
「男の子だから我慢しなさい、そんなことを言われて育った人もいるかもしれません」
「男性のほうが痛みを我慢するため、医者が気を利かせて薬を処方してくれるのでしょうか?」
「女性のほうが薬を処方されやすいのでしょうか?」
「生理や出産など女性のほうが体の痛みをよく経験します。女性のほうが痛みに慣れているので薬を処方されやすいのでしょうか?」
「それとも、差はなかったのでしょうか?」
「差があると思っているのが幻想で、実は男女平等に処方されていたのでしょうか?」
「はたして、性別によって薬が処方されやすいのはどっちだったのでしょうか?」
「2万人以上の患者のデータを分析した結果、同じ痛みでも薬が処方されやすいのはーー」
「男性でした!」
「正確にはデータセット全体で女性患者は男性患者に比べて、鎮痛薬を処方される可能性が低いことが判明しました」
「この結果は患者の痛みレベル、医師などの要因を調整した後でも確認されました」
「しかも、医師の性別も関係ありませんでした」
「男性医師でも女性医師でも、女性の患者には鎮痛薬を処方する可能性が低かったのです」
「研究者は追加の実験も行っています。109人の看護師に重度の腰痛の患者が痛みを訴えるシナリオを提示しました」
「そして、患者の痛みがどれくらいか評価してもらいました」
「その結果、患者が女性の場合、痛みが低く評価されることが判明しました」
「女性の痛みは男性の痛みに比べて10%低く評価されていました。不思議なことに同じ痛みを訴えているのに、評価が異なっていたのです」
「そして、救急で外来しても30分長く待たされる可能性が高いことも判明しました」
「読者様、どうやら男性と女性で、同じ痛みを訴えても女性の痛みは軽視される可能性が高いです。気を付けましょう」
「どうして、同じ痛みを訴えても、男性と女性で異なる評価がされるのでしょうか?」
「その理由は、偏見です」
「過去の研究では、女性は痛みを大袈裟に言う、一方で男性は痛みをあまり訴えない、という偏見があることが判明しています」
「他にも、痛みを訴える女性はヒステリックな人と診断される可能性が高かったりします」
「また、男性の訴えより、女性の訴えのほうが信頼性が低い、という認識が蔓延していたりします」
「このような偏見が積み重なって、女性の痛みが軽視されるようになったのです。必要以上に痛みを訴えていると医師に思われるようになったのです」
「嘆かわしいことです」
「適切かつ公平に処置をしなければならない病院に、このような偏見が蔓延していることは」
「読者様は偏見を持たないようにしましょう」
「家族や友達の女性が痛みを訴えていた場合、大袈裟に言っている、ヒステリックになっているなど考えないようにしましょう」
「女性の痛みを軽視してはいけません。男性も女性も同じように痛みを感じているのです」
「その上、痛みを軽視されたという追い討ちをかけないようにしましょう。心への追撃ダメージは必要ありません」
「ということで今回のまとめです」
「研究者は2万人以上の痛みを訴えた患者のデータを分析して、処方される鎮痛薬に違いがないか調べたよ」
「すると、男性に比べて女性は同じ痛みを訴えても鎮痛薬をもらえない可能性が高かったよ」
「どうやら、女性の痛みに対する偏見があるから、女性は鎮痛薬を処方してもらえないみたい」
「平等な治療のためにも偏見を持たないようにしようね」
「痛みに関する偏見は今回の研究以外にも多く存在しています」
「たとえば、黒人は白人に比べて痛みを感じにくいという偏見もあったりします。医学部の学生を対象にしていたのですが、どうやら黒人の皮膚は白人の皮膚より分厚いと誤解していることが原因のようです」
「専門家でも間違った知識を持っていることがあります」
「読者様も自分の知識を疑いましょう。常識だと思っていたことが間違っていたケースの話は枚挙に暇がありません」
「常に知識のアップデートをするようにしましょう」
「そして、新しい知識を忌避することなく受け入れましょう。満遍ない知識が偏見を減らします」
「今回は『同じ痛みでも女性の痛みは低く見積もられる』でした。新しい知識を得ること以上の快楽は存在しない」
「ありがとうございました。次回は『早歩きする奴は老化が遅い』となります! バイバイ」




