1024_エビングハウスの忘却曲線の追試結果 #記憶
「14歳でギリシア語とラテン語を習得したイギリスの詩人ロバート・ブラウニングは『許すはよし、忘れるはなおよし』と言ってます。忘れることを過度に恐れる必要はありません」
「やっほー、人生の悩みが減っているに違いない読者様。知ってて損のない知識をデリバリーする世界一の美女サクラです! 今回は『エビングハウスの忘却曲線の追試結果』のお話をしまーす」
「では、よろしくお願いします」
「読者様はエビングハウスの忘却曲線という言葉をご存じでしょうか?」
「これはドイツのヘルマン・エビングハウスが発見した記憶に関する理論です。1885年に出版された『記憶について』に登場する考えです。100年以上前の考えだったりするのです」
「エビングハウスは子供たちに、無意味な音節の文字を覚えさせました。その後、記憶しているかテストを行って、どれだけ覚えているのか確認しました」
「そして、覚え直しにどれくらいの時間がかかるのか調べて、「節約率」を導きだした訳です」
「節約率とは、忘れた知識を覚え直すのに、どのくらい時間を節約できるのか、です」
「最初は覚えるのに10分かかったのに、次に覚え直すのに5分しかかからなかった。そうなると節約率は50%です」
「つまりエビングハウスの忘却曲線の肝は、時間経過によってどのくらいの記憶が失われるのか、ではなく、覚え直すのにどのくらい時間を節約できるのか、ということです」
「ちなみに、忘却曲線によりますと、覚えてから一日が経過すると情報の70%以上は忘れるみたいです」
「そんな一部では誤解されているエビングハウスの忘却曲線ですが、正しいのでしょうか?」
「提唱されたのは19世紀の後半です。実に100年以上も前の考え方になります」
「昔は実験の精度も制度も甘かったでしょうし、バイアスがかかっていた可能性も考えられます」
「昔の考えを今も後生大事にしていいのでしょうか? 正しい保証は誰がしてくれるのでしょうか?」
「そこで、今回はエビングハウスの忘却曲線を再現した研究を紹介したいと思います」
「参考文献はオランダのアムステルダム大学などの研究となります」
「はたしてく、昔の考えは今でも正しいのでしょうか?」
「研究者はエビングハウスの忘却曲線を再現するために、70個の意味のない音節を用意しました」
「そして、被験者に時間をかけて覚えてもらい、20分後、1時間後、9時間後、1日後、2日後、6日後、31日後に、それぞれの節約率を調べました」
「一連の流れを何度か繰り返して、平均値を算出しました」
「さて読者様、エビングハウスの忘却曲線は現代でも有効なのでしょうか?」
「ヘルマン先生が提唱した考えは正しかったのでしょうか? それとも、間違っていたのでしょうか?」
「間違っているとして、どれほど間違っていたのでしょうか?」
「人間は思っている以上に忘れる生き物なのでしょうか?」
「反対に、思っている以上に忘れない生き物だったのでしょうか?」
「はたして、エビングハウスの忘却曲線の追試調査の結果はどうなったのでしょうか?」
「現代でエビングハウスの忘却曲線の再現をした結果、エビングハウスの忘却曲線はーー」
「正しかったです!」
「ヘルマン・エビングハウスが発見したのと大きな差はありませんでした」
「初回学習時の平均反復回数、リストあたりの平均反復回数、節約率などを調べたのですが、どれも大きな違いはありませんでした」
「現代でもエビングハウスの忘却曲線は健在のようです」
「今回の研究では、それぞれの節約率も判明しています」
「20分で47.1%、1時間で37.2%、9時間で27.6%、1日後で31.6%、2日後で23%、6日後で16.8%、31日後で4.1%でした」
「9時間後から1日後で節約率が増加しているのは、睡眠を挟んでいるからと考えられます」
「睡眠は、記憶の定着を後押しします。眠ったことで記憶に留まった可能性が高いです」
「とにもかくにも、最初の20分で半分近くの情報を忘れて、そこからはゆっくり忘れていくようです。時間経過によって節約率が落ちていくのは仕方のないことでしょう」
「読者様も、新しいことを覚えたら定期的に復習するようにしましょう」
「最初は一日後、次は三日後、その次は一週間後などのように時間をかけて覚えていくようにしましょう」
「忘れるのは仕方ないですが、早めに覚え直しをすれば、時間を節約できます。完全に忘れてしまう前に、覚える時間を確保しましょう」
「ちなみに、エビングハウスの忘却曲線を再現した実験は他にも行われており、今回の研究でも他の研究データをまとめています」
「その結果、概ねエビングハウスの実験と同じ結果を得られました。エビングハウスの忘却曲線は間違っていなかったようです」
「いやはや、今回の結果はとても面白くなりました。昔の実験を再現すると、全然違う結果になることは当たり前のように起こります」
「それなのに、同じような結果が得られるとは、ヘルマン・エビングハウスの実験デザインがいかに素晴らしいかよくわかります」
「それでは今回のまとめです」
「研究者は1885年に発見されたエビングハウスの忘却曲線の再現を行ったよ」
「すると、エビングハウスの忘却曲線は現代でも正しいことは判明したよ」
「忘れたものを覚え直すのに必要は時間は時間の経過によって増えていくよ」
「最初の20分で半分忘れて、そこからゆっくりと忘れていくよ」
「記憶に定着させるには、定期的な復習が大事っぽいよ」
「ただ、エビングハウスの忘却曲線では無意味な音節を覚えています」
「これが意味のある単語になると、また話は変わってくるかもしれません」
「特に、ストーリーがあると記憶への定着率は大きく変わります」
「とはいえ、覚えたことを忘れることに違いはありません。定期的に復習する必要はあるのでしょう」
「今回のお話は、100年以上前の考えであるエビングハウスの忘却曲線は間違っていなかった、それだけのことです」
「ということで、今回は『エビングハウスの忘却曲線の追試結果』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」
「最後まで、ありがとうございます。高評価、コメント、お願いします」
「読者様が『あれが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」
「次回の『自信が欲しければオシャレをしよう』で、会いましょう!」
「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」




