幕間
ミシェルは、メルセデスのトランクから、銃器を取り出す。
コルトM4。
「何人いる」
「十名います」
但馬が答える。
そこに、藤原。
背後には迷彩服の兵士。いや、公式には警備員だ。
「迷彩服にオレンジのスカーフは、うちの人間だ。撃つなよ。ついでに、そっちも、これをつけろ」
そう言って、オレンジのスカーフを山程手渡してきた。
ミシェルは、構成員たちにそれを配る。
「阿部が自衛隊を動かしている。じきに、航空管制が引かれる」
「ヤツの、大伴の根城はどこだ」
藤原が、背後の兵士に、タブレットを持ってこさせた。
それをメルセデスのボンネットに置く。
「出雲の沖、20キロの場所に、ヤツの船がいる。貨物船に見えるが、おそらくは軍艦だ。ヘリも、そこから飛んできている」
「てえと、船かヘリがいるな」
「俺は、今から港へ向かう。うちの警備船が一隻待機している。ヘリも一機積んでいる。一緒に行くか」
「ありがたい。世話になる」
「ならば、港へ迎え。三番埠頭だ。遅ければ、置いていく」
「合点承知だ」
「但馬はここに残れ。燕が来たら、船へ連れてこい。もしくは、そう伝えろ。いいな」
「はい」
「残りは、俺と行くぞ」
「「「はい!」」」
但馬は、九頭山を見上げた。
ヘリが二機、海へ向かって飛んでいる。
もう一機は、山の中腹をうろうろし、時折銃撃している。
但馬は理解した。
あそこに燕がいる、と。
「迎えに行くか」
どうやって?
エンジンのついた乗り物は、乗り入れ禁止だと聞いていた。
そして、それは「絶対」とミシェルに言われていた。
あたりを見回すと、一台のバイクが横転していた。
ライダーは、と言えば銃弾を浴びて、事切れている。
但馬はそのバイクに近寄った。
ニヤリ、と笑みが漏れた。
ハーレー・ライブワイヤーは数少ない市販の「電動」バイクだった。
大型のスポーツバイク。
元暴走族の但馬にとっては、理想的な足だった。
「今、お迎えに行きます。燕さん」




