幕間
「終わったな」
ミシェルが呟いた。
珠樹龍光対燕。
燕の勝利。
鎌倉さなえ対マルコ・ホーラ。
マルコの勝利。
残るは三人。
うち、候補者は二人。ミシェルと藤原。
「ば、馬鹿な……」
大伴がわなわなと震えていた。
珠樹の勝ちを信じて疑っていなかったようだ。
「残念でしたね」
ミシェルは、それだけ口にした。
「アメリカの犯罪者の分際で……」
「そうですよ。そんな下卑た存在に、伝統が負けたということさ」
表情は怒り。
激情を抑えているのは、流石というべきか。
乱暴に酒杯をあおる姿に、先ほどの余裕はなかった。
これは、あの爺さん、生きてたら八つ裂きだな。
そんなことを思う。
「武芸者たちが形無しだな。あんな、秋葉原にいそうな女に」
藤原が声をかけてきた。
「ああ見えて、実戦経験は豊富でね。戦いは経験だと言ってたのはあんただろう。うちの人斬りメイドを甘く見ない方がいい」
「ふむ。まあ、見てみるとしようじゃないか。この後の結果をね」
「おい、あれは」
阿部がつぶやいた。
マルコ・ホーラを映した画面の中に、カイルス・ガウガルス。
マルコもそれに気づいた。
二人は対峙する。
マルコは両手にマチェットと呼ばれる鉈を持つ。
「ティレ・マチェット。南米に伝わる武術だ」と、藤原が言う。
ミシェルも知らぬものではなかった。
何せ、敵として何度も南米の組織とはぶつかっている。
二、三打ち合った。
そして、そのままマルコが倒れた。
「おい……おいおい!」
藤原が絶望的な声を上げた。
一瞬のことだった。
ミシェルも思わず口をつぐんだ。
正直なところ、戦いというものは経験に勝るものはない、と考えていた。
最後は「人を殺す」という事実をどれだけ軽くみれるのか、それこそが強さだと考えていた。
剣を速く振れようが、笑って銃を撃てることの方が重要だと。
そういう意味で、藤原のつれてきたマルコがもっとも強敵だと考えていた。
それがあっさりと。
「所詮、香久耶さまの戯れだったのだよ。あの方が血の生贄を求めていただけではないのか!」
大伴が叫んだ。
それは、あと少しでわかる。
燕があいつを倒せるか否か、だが。
しかし、画面で見るカイルスは、少しイメージが違った。
ミシェルには、出会ったときの印象よりも、少し華奢に見えたのだ。
それがなぜかはわからなかったし、正直、どうでもよかったので、すぐに忘れることにした。
幕間だけだと、本当に短いですね。
どうしよう。




