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あれからまた少し月日が経ち、遂に私のデビュタントまで残り一週間になった。


今日は、デビュタントに来ていくドレスを決めるため、お父様とお母様、そしてメイドのナナが何度も話し合って絞った三着のドレスを私は試着していた。


私の事は完全に蚊帳の外で始まった口論は、どのドレスがいかに私の可愛さを引き出せるかとの事だった。


最終的に決まったのは白をベースにしたパステルカラーのフリルが沢山着いたメルヘンチックなドレスだ。


一応、目が覚めてからのこの一ヶ月、痩せようと努力はした。まぁ、結果としては私がした努力はすべて失敗に終わったが・・・。


つまり私は現在進行形で太っている。


そんな私を見てメイドのナナはうっとりとした表情で話した。


「まぁ、本当にアイーナ様は何を着ても似合いますわね。うふふ、きっと、殿下のお心を射止めるのはアイーナ様で決まりですわねっ!」


その言葉に私はピクピクと引き攣りそうになった頬を何とか押さえながらニコリと笑った。


(いや、何を着ても似合うんじゃなくて、似合わないんだよ。なんで、膨張色のドレスしか用意されてないのっ!やめてよっ!それに、殿下って、私はソルト侯爵家の一人娘だよっ!私がお嫁に行ってどうするのさっ!お婿さん貰わなきゃっ!)


王妃だなんてありえないと心の中で激しく首を何度も横に振りながら私は言い返す。もちろん、心の中で、だ。


すると、ナナの話を聞いたお父様が腕を組みキリッとした表情で告げる。


「いや、いくら王家と言えどうちのアイーナはそう簡単には譲らないぞ。アイーナを貰うからには私を倒せるくらい強いものでないと。」


(いやいや、騎士団長であるお父様を倒せる人って中々いないと思うよ。うん、少なくとも後数年は現れないだろうね。この前、副団長さんが言っていたけどお父様とはまだまだ凄く差があって適わないって言ってたしっ!)


騎士団長を勤めるお父様はこの国一番の剣士だ。


お父様は最初、文官を目指していたらしいが、お母様のデビュタントの時にお母様に一目惚れをして、結婚を許してもらう為に十年程かけて死ぬ気で強くなったらしい。つまり、お父様の強さの秘密はお母様への愛、なのだ。

お母様はそんなお父様の強さと一途さに惚れたらしい。


その時、妖精と例えられる程可愛らしくモテモテだったお母様と容姿の優れないお父様の結婚は皆の不満を買ったそうだが、お父様は文句を言ってくる輩を全員叩き潰してお母様と結婚した。


そんな過去があるからだろうか。お父様の目はマジだ。


「ふふっ、わたくしはアイーナが好きだと思う人と結婚すればいいと思うわ。アイーナ、好きな殿方が出来たらお母様に教えてね。きっと、アイーナが望む結婚が出来ると思うわ。うふふ。」


私の心情を知ってか知らずかお母様はにこやかにそう言った。


(お母様、結婚する人を選ばせてくれるのはとても嬉しいのだけれど、後半がとても危険な匂いがするのは気の所為だよね?何か権力振り回して相手が嫌がっても無理やり婚約とか進めちゃいそうだよ。)


貴族の闇なんて私はまだ分からないが、お母様はその可愛らしい容姿から一部の令嬢から疎まれていたらしい。


しかし、その時のお母様はその容姿を最大限に生かし相手のスキャンダルや弱みを握り、微笑みながら黙らせたと言う。


「は、はい。分かりましたわお母様。」


私はそう言って何とかニコリと微笑んだ。


私としては、好きでもない人と政略結婚をするより、好きな人と結婚したいので、本当にどうしようもない状況になったらお母様に頼らせてもらおう。


私は鏡に映った残念な容姿の女の子をみては、また一つため息をついたのであった。


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