探索者試験2
3話目です!
感想に気づいて興奮してしまい、書いてしまいました(笑)
とても励みになりました。ありがとうございました!
僕の探索者になるための試験が開始した。
試験監督は30人くらいいると思う。
今回、探索者試験を受けた人数は全国13カ所で合計84000人程度らしい。(試験者全員が一斉に受ける説明で聞いた。)
だいたい毎回80000〜100000人くらいが試験を受けていて、そのうち受かるのは3分の1くらいだと言っていた。
みんながその言葉を聞いてその3分の1に入るぞ!と気合を入れているなか、倖は(思っていたよりも受かる確率は高いんだ。よかったぁ)と心が緩みまくっていたのは秘密である。
最初の試験は筆記だ。
ダンジョン内では英語や社会などは使わないので、筆記試験の項目としてあるのは国語だけだ。
国語では文章の内容を正確に理解できたのかということと、物語に出てくる人物の心情を読み取るということが主な試験内容となっている。
ダンジョン内では戦闘が発生するため、いかに簡潔に言葉を伝え、その意図を読み取れるか、ということが大切になってくるため、言葉の意味を理解する力が必要になってくるのだ。
しかし、前回も言った通り中学校を卒業するまでの一般教養を身につけているかというのが試験の範囲となっているため、この筆記で落とされるということはほとんど無い...と倖は思っているが、実は戦闘中の会話はかなり重要なので、ここで落とされる人数は試験者の約3分の1にも登る。
〜〜〜〜〜〜〜
「ん〜〜!疲れたぁ...」
と筆記試験が終わり、倖が珍しく、周りの目線を気にせずに立ち上がって大きく背伸びをしていると
「はぁ...かなり難しかったわね...」
そんな声が隣から聞こえ、つい倖は声が聞こえた方を向いて、その声を発した人から目を離せなくなってしまった。
そこには綺麗という言葉を体現したかのようなとてつもなく美人な女性がいた。
黒い髪を長く伸ばし、目は少しつり目気味、姿勢が良く、服があっても美しいと分かるそのプロポーションはモデルと同等かそれ以上と分かるほどであった。
まさに大和美人ここに極まれりと言うような感じである。
倖は家から出たことが少なかったので綺麗な人を自分の目で見るのもほとんど皆無に近かったが、そんな倖でもこんな綺麗な人は滅多にいない、と思えるほど綺麗な女性が隣にいた。
すると、その視線に女性は気づいたのか倖に話しかけてきた。
「僕、どうかした?私の顔に何かついてるかしら?」
倖はその女性突然話しかけられて言葉が出ずに、首を左右に大きく振ることしか出来なかった。
「そう?なら何か私に用があるのかしら?」
問いかけられて焦った倖は「き、綺麗な人だなって思って...」と心で思っていたことを言ってしまった。
それを聞いた女性は一瞬キョトンとし、クスクスと笑いながら「子供にまでそんなことを言われる日がくるとは思わなかったわ」と言ってしばらく笑っていた。
一方で心の声をそのまま出してしまった倖は耳まで真っ赤なった顔を隠すため、俯いた。
すると、女性から声がかかる。
「君のお名前を聞かせてもらえるかしら?」
「倖...です...七瀬 倖です」
倖はまた少し焦ったが答えることができた。
「私の名前は舞。白沢 舞って言うの。もしどちらも探索者試験に合格することが出来たならまた会いましょう?」
すると女性はそれだけ言うと去っていってしまった。
その場に残された倖は「舞...さん...」と呟き、(また会うために実技試験を頑張ろう!)と密かに気合を入れるのだった。
まぁその後に大多数の人の視線に気がついた倖はそんな気合を上回る恥ずかしさに見舞われることになったのだが。
部活動が始まるので更新頻度が遅くなると思います。ご了承ください。