第13話『あれ』
「で、次が『あれ』でしょ?『あれ』をやるために、火のカードが欲しかったのよね?」
と、アスカが聞く。
そう、彼女はなんのために火のカードを欲しがったのかを思い出した。
「そう!それは外に出て『あれ』をためそう!」
そう、『あれ』を試すのにここは危険なのだった。
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僕たちは誰もいない広場に出てきた。
それには、近くに人や物がいないほうが壊さなくてすむ、ということと、スキルを見られないで済むという2つの効果があった。
「で、『あれ』ってんのことだったの?」
とアルテミスタ国の第一王女『アスカ・ロイヤード・アルテミスタ』ことアスカが僕に聞いた。
そう、『あれ』とはこのスキルの新しい使い方。
『あれ』を確認するために炎のカードを用意したり、いろいろな準備をしていたのだった。
この世界が、箱庭系ブロックRPGの世界観なのであれば『あれ』が出来るはずと僕は考えたのだ。
「まぁ、実は、出来るかはわからないんだけど・・・」
と、言ってカードを一枚取り出した。
そう、また別の準備が必要なのだった。
そう、あくまで出来るはず・・・という過程の元にいろいろな準備をしていく。
そして、『あれ』ができれば無双間違いなしなのだ。
『現実化 - リアライズ』
とスキルを発動して、ポンッと、その中身を取り出した。
「あ、剣なんて持ってたんだ!」
とアスカが聞く。
そう、この剣は、この世界に来た最初から持っていたカードのうちの一枚だった。
そして、だいたいこういうものはチュートリアル的に用意されているだろう、と思っていたのだ。
「重っ!」
と僕は言いいながら、出てきた剣をしっかり、と掴む。
ぐぐっと、重さで地面に向かって引っ張られる。
それに対し、力を入れて、持ちこたえる。
「鉄の剣だ!」
と、僕が言う。
「ちょっと、僕が扱うにはおもすぎるな・・・」
と言う。
そう、元いた世界でも、運動系の事は特にやらずに過ごしてきた僕に、剣がいきなり使いこなせるわけがない。
これは僕が使うべきではない・・・。
この世界で僕に与えられた力はこのカード化のスキルだけ。
すごい魔法や、すごい力などは与えられていなかった。
なので、剣を扱う能力などは、普通の現代人そのままだ。
だが、僕につかいこなせなくとも、実験はできる!
「一回戻します!」
と言って、僕は『カード化 - カードライズ』を発動させて、鉄の剣を元のカードに戻した。
「もどすんだ!」
と、アスカが笑った。
「うん、わかった。たぶん出来るはずだ!」
と、言いながら、鉄の剣のカードを右手に、炎のカードを左手に持った。その二枚のカードを一回、アスカに見せて、また戻して、両方のカードを見ながら集中する。
「え?何をするつもりなの??」
と、アスカが僕に聞いた。
「こうするんだ!」
と僕は、持っているはずの新たなスキルを発動させた。




