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第12話『火』

「じゃぁ、やってみる・・・」

と僕がいいながら息を大きく吸う。


そう、これからやることには少し覚悟が必要だ。


「え?ケンゴ何をするつもりなの?」

と、アスカが僕に聞く。

そう、なにか普通じゃないことをやろうとしているのは、その動きから分かったらしい。


「こうするんだ!」

と、言いながら僕はスキルを発動させた。


-


そして僕は、火の中に手を突っ込んだ!!


「え!?何してるのケンゴ!!」

と驚くアスカこと『アスカ・ロイヤード・アルテミスタ』。


「あちちちち」

と僕は言う。

しかし、ここで手を離すともう一度同じことをやらなくてはいけなくなる。

なので、我慢してスキルを発動させる!!


『カード化 - カードライズ』


と僕は、スキルを発動した。


そう炎の中で!


「うそ・・・!」

と、アスカは驚いている。


そう、彼女が見ている前で炎が消えた!


「ふふ、やっぱり出来たね!」

と僕が呟く。


そう、『炎をカードにする』ことに成功したのだ。


「うわぁ!熱かったぁ!!」

と、我に返った僕が叫ぶ。


うん、めちゃくちゃアツい。

もう二度とやりたくない。

頭がバチバチした。


「なにやってるのよ!もう!アブナイことはやめてよね!」

と、アスカが怒る。


「君が言うか・・・!」

と僕が笑う。そう、アブナイことはやめてよね、といった彼女は城を抜けだして、モンスターと戦闘するような、お姫さまなのだった。


「それもそうね!」

とアスカは笑った。

常に危険な事をしているという自覚はあるようだった。

自覚なしでやるよりはいくらかましだろう。


「で、なにができたの??」

とアスカが僕に聞く。


「じゃじゃーん!」

と、自分の口でSEを鳴らして、自慢気にアスカにカードを見せる。


そう、『火』のカードだ!


「すごい!火もカードに出来るのね!あ、それを知るために先に水を試したのね?水なら触ってもやけどしないし!」

とアスカは気がついたようだった。


「え、すごいね?そこまでわかった?」

と僕は驚く。


そう、火に躊躇なく手を突っ込んだのは、水ができたら火も出来るだろう、と予測していたからだ。

とはいえ、熱いのは嫌だなぁ、とは思っていたけど。


「アスカはめちゃくちゃ頭がいいんだな・・・」

と僕は呟いた。

彼女は、かなりカンがいい。


さすがに姫、しかもおてんば姫。

与えられた情報だけでなく、自分で色んな物をみて自分で考えているだけはある。

こんな不思議なことの連続でも思考をやめずに法則性を見出そうとしている。


「ふふ、私の頭がいいのは確かだけど、ほめても何もでないわよ!」

と、満面の笑みで、アスカは言った。

認めるところがアスカらしい。


「で、次が『あれ』でしょ?『あれ』をやるために、火のカードが欲しかったのよね?」

と、アスカが聞く。

そう、彼女はなんのために火のカードを欲しがったのかを思い出した。


「そう!それは外に出て『あれ』をためそう!」

そう、『あれ』を試すのにここは危険なのだった。

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