黒き予告
「…気づかないの?」
ああ煩い。
煩い煩い煩い煩い煩い煩い。
「貴方はこの世界に居てはいけない」
体が動かなかった。
能力を使えば殺せる。
…なのに、まるで縛られたように能力が使えない。
それが余計苛立ちを増した。
「貴方は、こんな世界に囚われて良い人間じゃない」
「………………黙れ」
ザワ…と辺りの木々がざわめいた。
俺の声は、自分でも驚くくらい低く、威圧感があった。
だが、それにも関わらず目の前の天使…だろうか。はしっかりと俺を見据えて続けた。
「…太陽装置を起動すれば貴方は戻れる。でしょ?」
天使もどきは目を細めて俺の反応を待っているようだった。
俺は黙る。
何も答える気はない。
「…孤独がそんなに嫌?そんなに愛されたい?貴方は元の世界でも愛されていたでしょう?ただ貴方が怯えすぎただけ、」
「黙れって言ってるだろ!?」
頭に激痛が走る。
それは何かが知っては駄目だと警告するように痛みを増していく。
「……貴方は…っあ!?」
ブシュッと嫌な音が耳に入る。
足元に赤い液体が流れてきて、俺は痛む頭で状況を理解した。
「最近増えてるね…こいつら」
優しい声が耳に入りスッ…と痛みが薄れた。
体も縛りが解けたみたいにガクリと地面に項垂れる。
そしてどっと汗が吹き出した。
相当我慢していたらしい。一気に体に疲れが流れ込んできた。
「大丈夫かい?ギース…疲れてるね……送ってあげるよ」
アレクはクスクスと笑いながら手を差し伸べてきた。
その手には血がついていて。
その足元にはその血の主が頭を貫かれて死んでいた。
「良い。お前と帰ると絶対明日腰が動かない」
「あはは…拒否権は無しだよ☆」
ガシッと腕を強く握られる。
……ギリギリって鳴ってはいけない音が…
「…お手柔らかにな」
「うーん…我慢はできそうにないかな☆」
少しでも期待した俺が馬鹿だった。
そう思いながら俺は足元の死体を適当に埋めておいた。
優しい?
……違う違う。
邪魔だから処理しただけだ。
ほら、肥料になるし邪魔も消えるし、一石二鳥じゃね?
「……でもさ、さっきそいつが言ってたんだ。元の世界でも愛されていたって。…俺、別の世界にいたの、」
「忘れなよ」
辺りが静かになる。
そりゃあもう寒いと思えるくらい。
「……忘れなよ」
振り向きはしない。
アレクはそれ以上知るなと言うように腕を更に強く握った。
俺は痛みに眉を寄せると、僅かに感じる恐怖をよそに、
「…そうだよな。…おう。忘れるわw」
ただ、そう笑った。
―――一瞬見えた黒く染まり、顔に赤い渦ができていた、まるで化け物のようなアレクも、一緒に笑い飛ばそうと、ただただ笑った。