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純白姫  作者: こころ
7/8

6話

やっと投稿できました!最終回まであと1話です!この話でラブ要素追加しているつもりです!!後書きには裏話もあるよ!(別に本編関係ないから読み飛ばしても可)

では、どうぞ!!


世界は私から希望を奪っていく。


あと少し、あと少し、あと、もう少し……!


そうやっていつも手を伸ばしては裏切られていく。



お願いです、いもしない神様―――……




「私から鎖を外してください」






どのくらい経ったのだろう。

泣いたせいもあってか、ふわふわとした頭で考える。強く抱きしめられ、優しい手つきで頭を撫でられていることしか感覚はない。

泣くのはいつぶりだろうか。

奴隷になったときじゃない。父が殺されたときじゃない。目の前で人が殺されたときじゃない。母が病で亡くなったときじゃない。あぁ……思い出した。


仲の良かった男の子がいなくなったときだ。


一時期、お城でよく遊んでいた男の子がいた。父も母も認めていたようで何も言ってこなかったため王女という肩書きを捨てて心から楽しんでいた。

でも男の子から、「そろそろ帰らないといけない」と聞いたとき怒りに任せて大泣きした。決してはしたない姿は見せるなと教えられてきたのにそのときばかりは止めることができなかった。

確か、その子の髪の色は―――……



「よし、取れた」

頭上で何かに成功した声が聞こえる。言わずもがな、怪盗だ。いつの間にか抱きしめ撫でていた手が私の手首を持っている。心にすっと冷たい風が吹いた気がした。

「何が取れたの」と言う前にカランカランッと大理石に何かが落ちる。それと同時に手首が軽くなった。驚いて手首を見ると何もなかった。

あるのは私の白い手首だけ。床には傷がついた手錠。

さっきの音はこれだろうと冷静に、しかし動揺しながら考えた。思わずといったふうに見上げる。怪盗の瞳に映された私は目元が腫れていた。


「意外と簡単に外せたなぁ。どうだ、ちょっと寒いか?」


なんでもないことのように言う怪盗。ゆっくり手首をさする。鉄の手錠だったためか死人のように冷たい。すると、温かい手のひらが包み込むように覆い被さってきた。

途端にその熱が身体中に染み渡って冷めた心も溶かしていく。だから、その心の奥にしまった言葉を吐き出すのに時間はかからなかった。


「わたっ…し、じっゆ…うっに……なれたっ?」


ひどく掠れた声に苦笑する。声を上げて泣いたから当然だけど、また泣きそうになってぐっと堪えた。

でも、すぐにそんな我慢は消えた。


「あぁ、パールは自由だよ」


すべてを受け入れてくれるように優しく、それでいて私の言葉を確信のあるものに変えてくれる笑顔。

私は自由なんだ。自由になったんだ。私はもう縛られないんだ。

すっと伸びてきた手が目元を拭ってくれる。そして優しく頬を撫でられた。



『なかないで?僕はここにもどってくるから。パールはここで僕をまってて。やくそくしてくれる?』


『ふぇっ…ひぐっ…やぐぞくっずる。まっでるがら!ぜったい…ぜっだいもどってぎて!!』


記憶の中、幼い私の頬を撫でていた少年の黒髪・・が揺れる。あのときと何も変わっていない笑顔と手の温かさ。




「サファイア!!!!」

呪いにかかったように身体が固まる。実際、この名前は『呪い』だ。


あぁ、またルべライトに縛られるんだ。自由になれたのに、自由になったのに。

枷のなくなった手が自然と自分を抱きしめようとした。

血の滲む手が示すのは自由になろうとした代償。


「誰だ、それ」


すっと伸びてきた手が私を立たせる。腰に手を回され、心臓の音が聞こえるくらい密着させられる。

「ここにいるのはシトリン王国第一王女、パール・ホワイト・シトリン様だ。サファイアとは一体、誰のことだ?」

ニコッと人の良い笑顔を浮かべる怪盗は先程までの態度とはまるで違う。そう、それはまるで罪人を裁く者のような落ち着いた態度。

「お前の罪状はいくつもある。誘拐・人身売買・密売・横領・殺人。さらに罪を犯していない国民を処刑するなど、他にも罪を犯している。

今頃、お前の犯罪に関係してきた者は捕まった頃だろうな。証拠も軽く叩いただけでほいほい出てきたから。さぁ…どうする?」


顔を青白くさせたルべライトは何かに気付くと笑った。

「はっ!その犯罪、この国ではすべて許されておるわ。我が法律を変えたからの。

すべては我のため…すべてはサファイアのため!!」

血走った瞳が私に向けられた。いろんな感情が混ざり合う赤黒い瞳に恐怖を感じる。

「法律を変えた?じゃあそれは偽りの法律だな」

「偽りだと!?何を抜かしておるのだ、小僧め!」

落ち着いている怪盗とは裏腹に、憤怒を宿したルべライト。


「お前も知っているだろう。この王国は何年か前、ある帝国に負けた。この王国が不戦敗を申し込んだからな。

国民想いの王に皇帝がある条件付きで承諾、帝国の不戦勝となった。

その条件が『法律を帝国が管理すること。法律を変える場合は帝国に許可を得ること。勝手に変えた場合は責任者を処刑すること。』とざっとこんな感じだ。

さぁ、話に戻るぞ」

先程より顔色の悪いルべライトはこのことを知っていたようだ。怪盗を見るとニタァと人の悪い笑みを浮かべている。

「お前は先ほど、『我が法律を変えた』と言ったな?お前は帝国に許可を取っていない。帝国側にも確認しておいた」

怪盗がふっと笑うと、ルべライトは顔面蒼白。今にも倒れそうだ。

「責任者、ルべライト・レッド・トルマリンを法の名のもとに処刑する。まぁ、法律を変えていなくても犯罪を犯したお前に生きる、という選択肢はないが」

白目を剥いて倒れたルべライトはしばらくは起きないだろう。



いつの間にか誰もいないホールに静寂が訪れる。と思っていたら、「あっ」と怪盗が何か思い出したようだ。

そそくさと上着から取り出したのは銀で出来た短剣。「ほらよ」と渡され、首を傾げる。

「私に死ね、と?」


「護身用に決まってんだろ。本当に自分を刺すなよ」


少し心配げな顔に「そんなことしませんよ」と返しておく。マリアベールを短剣で裂き、血が滲んだ両手に巻き付ける。

「そろそろ行くぞ」

巻き終わったと同時に、怪盗が手を差し出してきた。

この手を取れば自由になれるのだろうか。

今更、そんなことが頭をよぎる。そんな私に痺れを切らしたのか、強引に手を取ってきた。そのせいでよろめいた私を「っと、あぶねぇな」と軽く抱き止める。

なんだか心臓のあたりが痛いな。泣きすぎたせいだろうか。


「どこに行くんですか?」

動揺を悟られないよう、歩きながら話す。

「城の入口だ。そこで、こどもたちとパールを保護してもらう。ルべライトはそのあとだ。逃げようとしても帝国の軍力ですぐに捕まる。時間の問題ってわけだ」

やけに楽しそうな怪盗に、ほんの少しだけルべライトに同情した。


「怪盗さん、よくこの国と帝国が戦争したことを知っていましたね。あまり公にしていなかった戦争でしたのに」

疑うような私の目線に、「なんでだろうなぁ」と言っている。確信まであと少し。確か、怪盗の名前は―――……


「トルマリン帝国第三皇子、ショール・ブラック・トルマリン様…でいらっしゃいますか?」


ショールの瞳が驚きに見開かれたと思うと、ニヤッとした笑みに変わる。

「やっと、か。パールに名前を言ったとき気付かれるんじゃないかってひやひやしたんだぞ」

「すっかり忘れておりました。ショールも、ショールとの約束も」



トルマリン帝国。オニキス大陸の東の海岸に位置する国。貿易や軍事などあらゆる面で特化し、「オニキス随一の国」と謳われている。

そんなトルマリン帝国の皇帝は戦争好きでも知られていた。その標的となった国は圧倒的な軍事力になす術もなく叩きのめされる。

ただ、この皇帝の変わったところは領地を取らないこと。本当にただの戦争好きであった。

そしてシトリン王国も例外でなく標的となった。私の父の代だ。父はこの国を愛し、何より国民を愛していた。だから父は懇願した。


『お願いです、トルマリン様。私はこの国の民を望んでもいない戦争で失いたくはないのです。家族を失う民の傷つく姿を見たくないのです。

どうか…どうか…私の首だけを取ってください。私の屍をどんなふうに扱っても構いません。もちろん領地もあなた様に差し上げます。ですから、この国の民だけはどうか見逃してください』


国想い…いや、国民想いの父に皇帝は条件を付け帝国の不戦勝となった。

その際に、王国に出向いた帝国の一行の中に皇子であるショールがいた。



「国外視察だ、なんて言われて連れていかれたんだよなぁ。堅っ苦しい終戦の儀式は無駄に長かったからな。

そのときパールを初めて見た。見たことねぇ髪の色に帝国側の全員が目を疑った」

「王妃であった母がこの国の血を受け継いでいましたから。父は婿養子です。この国の血もだいぶ薄れてきて薄い色が多いですが確かに父の水色の髪を見て白なんて想像つきませんよね。

それに母はあの時、体調が悪くなり儀式に出なかったものですから私は異質だったでしょう」


シトリン王国は昔、白い髪が当たり前の国だった。けれど、白い髪は遺伝性が低く白い髪に生まれる率は低くなった。王族もその白さを失っていき幻の色として伝説のようになっている。

そんなときに私と母は白い髪を宿した。ただ、母は私を産んでからだんだん体調が悪くなり、ある日この世を去った。

すべての国民が悲しみに沈み、父は心が病んでいった。きっと、そこに付け込まれたのだ。


「父は義弟であるルべライトによって殺されました。ルべライトは新しい王になり、前王は王妃の死によって心の病にかかり死んだ、と国中に伝えました」

正気の沙汰ではない、と多くの貴族が声を上げた。しかし、その声は処刑によってかき消されていった。残ったのはルべライトを支持する貴族だけ。

「それから国は変わりました。非力な私は何もすることが出来なかったんです。できるのはルべライトに契約書を作らせることだけ。目の前の小さな命を繋ぐことだけ。

私はすべてを守ることができませんでした。そのせいで父や衛兵、国民…多く人の血を流してしまいました。私は最後にその身体に触れることしかできなかったんです」

目の前で処刑され続ける人々に自分の心に色が無くなっていくのが分かった。

「そして自由になってはいけないと戒めるんです。そうしなければ、このルべライトは人々を殺し続けると。それなのに……」

たった2日で私の心に色が戻ってきた。そこに涙が落とされて拡がっていった。


「まさか、ただの盗人にかき乱されるなんて誰も予想してなかったでしょうね」


ショールがこれでもかと目を見開いている。まるで初めて見たような顔だ。

「やっと…笑った」

呟かれた言葉に「私だって笑えます」と笑みを深くする。ちょうど月が出てきて歩いていた廊下もショールの顔もはっきりと見えた。

「真っ赤になってますが」

はっと気付いて顔を隠しても見てしまったものはしょうがない。



「んんっ…パールに少し頼みごとがある。受けなくても別に構わない。これは俺のわがままな頼みごとだからな」

真剣な顔のショールに微笑みかける。握った手が自然と強くなる。

「パールにこの国を任せたい。他の者に任せたらまたこの国は廃れていく。この国の王女であり、かの賢王の娘であるパールなら皇帝も心置きなく隠居できる」

何が頼み事だろうか。そんなの―――


「ショールに言われなくてもこの国も国民も私が栄えさせてみせます」


それまで不安そうだったショールの顔が嬉しそうに笑う。その顔を見て、心が満たされていく。

「何をそんなに不安がっていたのかは知りませんが私はもう自由です。私を縛っていた鎖を外したのはショールでしょう?この国を大陸中に知らしめますよ。それにしても…ふふっ、あの覇王が隠居…ですか?」

先程から笑いを堪えるのに必死だったが、とうとう吹き出してしまう。

「もう戦争をする気はないみたいだし、何より皇后との時間を増やしたいそうだからな。次期皇帝は戦争なんて以ての外、他国との関係を良好にしていくそうだし」

「これでシトリン王国も安泰だな」とにっと笑う彼にまた笑みが零れる。今なら言えるかもしれない。


「では次に、私のわがままな頼みごとを聞いてくださいますか?ショールだけなんてずるいです」

「構わないさ。パールの頼みごとなら何でも叶えてやりたい」

優しい微笑みに見惚れてしまう。すぐに深呼吸して頭を切り替える。

「怪盗の仕事…何年かかっても構いません。生きてこの国に帰って来てください。そして……」

本当にわがままなことを言っていると苦笑する。それでも、昔の約束を守ってくれたショールとここで別れたらきっと後悔する。


「また、私を盗んでくださいませんか?」


ショールの両手を強く握る。聞こえるのは冷たい風の音だけ。俯いた先には冷たい床。

すると、布で巻かれた両手をショールの頬を包むように添えられる。顔を上げれば悪戯っ子の笑みを浮かべるショール。


「そんなの、盗むに決まってんだろ?」




「ほら、機嫌直せって。悪かったよ」

「悪かったっていう人ほどあまり悪いと思ってないことが多いって知ってましたか?」

「あはは~、そうなのかぁ。あっ、もう入口まで来たみたいだぜ」

わざとらしく話題を変えるこの人は本当にあの皇帝の息子なんだろうか。あの人はもっと、ことを進めるのがうまかった気がするが。


「あっ!やっべぇ…キャッツアイのことすっかり忘れてた」

「しまったぁ」と頭を抱えるショールに深い溜息が出る。彼は忘れやすい人だったのを忘れていた。

耳にぶら下げていたイヤリングを外す。目の前にあったのに気づかないなんてこの人は案外、抜けているのかもしれない。

「どうぞ、これがキャッツアイです」

手のひらに乗せて見せると、彼は私とキャッツアイを交互に見て「なんで持ってんの?」と呟いた。

「私の着替えを手伝った侍女が『このドレスにはキャッツアイが似合います!』って言って付けてくれたんです。きっとショールの仕事を軽くしたかったんでしょう」


入口まで来てまじまじと扉を見る。毎日見ていたけれど、自分で開けて出たことのない扉。

「しっかし、なんでルべライトはお前を殺さなかったんだろうな?殺したって髪はそのままなのに。逆に切っちまえばよかったのに」

本人の目の前でよくそんなことが言えるなぁと思ったけど、悪気はないようだ。


「それはルべライトが私を好きだったからですよ」


ふふっと笑うと、ショールの顔が驚きと疑問でいっぱいになった。

「もともとは母のことが好きだったんです。でも義兄である父と結婚し、私を産んで死んでしまったことで『愛』が『憎しみ』へと変わっていきました。

父を殺したことでその『憎しみ』と『愛』が混ざり合って『歪んだ愛』を私が一身に受けることになったんです」

「なんで、そんなこと分かんだよ」

「彼が『本当は王妃は自分のことが好きだ』と子どもの私に妄想を訴えてくれば分かります。それに彼の目はとても分かりやすくて、ときどき情欲の混じった目だったのでそうかなぁと思ったんです」

「よくそんな奴の近くで過ごせたな、お前」

「……私が奴隷だったからですよ」

空っぽな人ほど何かにすがろうとする。それがどんなものでも最後に残るのはいつも空っぽな自分だけ。



「…ッサファイアッ!!」

あぁ…あのままずっと倒れているものだと思っていたのに。

ショールが掴みかかろうとするのを手で制する。1度、彼に微笑んでから握っていた手を離した。

「お前はっ…我の物だ!!お前は我の手の中に…おればいいのだっ!さぁ…こっちにおいでっ?そして…その髪に触らせておくれ?」

走ってきたのか、息を荒げている。瞳には疲れと強欲と情欲が混じり、綺麗だなんて言葉が不釣り合い。


あぁ…本当に空っぽだ。


ゆっくりと近づいていた足をルべライトの手の届かない距離で止める。そうして出てきた言葉は感情のこもった声だった。

「ルべライト、あなたは大罪を犯しました。その罪を死でもって思い知りなさい」

最初は落ち着いて。次に静かに怒気を含ませて。

「お前が我に盾突こうなどあってはならんっ!!」

「今まではそうだったのでしょう。しかし、盾突かなかったのは大切な人たちを守るため。その方たちは今、あなたの手の中にはいません。私があなたに仕えることはもうありません。私は自由になりました」

最後に笑顔を浮かべる。それに驚くルべライトに「そういえば見せていなかったな」と考えた。

「私はあなたの手の中へは戻りません。私はもう、あなたの鎖に縛られません。それにあなたが欲しいのは私の髪でしょう?それなら……」

短剣を取り出し、自分の髪を持つ。もう何年も切っていない髪に別れを告げた。


「この髪、差し上げますわ」


よく切れる短剣だったのだろう。白い髪が簡単に切れ、少し驚いた。その髪をルべライトに投げれば月夜に照らされ儚く散った。



すぐにショールのもとに戻って一息つく。「豪快だな」なんて上から聞こえてもまるっと無視だ。目の端で毛先が揺れているので肩辺りまで切れたのだろう。

「もっと綺麗に切ればよかったのに」

「いいんです。これで『呪い』は全部、なくなりました。あとはショールを待つだけです」

ニコッと笑うと、髪をぐしゃぐしゃと掻き回される。ぐわんぐわんする中で「手を出せ」なんて言われてもすぐには無理だ。


手を出すと冷たいものを手に乗せられた。キャッツアイを返してくれるんだろうか、と考えているとすっと手をかざされる。

「お守りだ」

そう言って手を離されると黒い宝石だけがついたネックレスだった。「ブラックトルマリン」、別名―――……

「ショール、なぜこれを私に?」

さっそくつけてみながら、問いただす。少し照れくさそうにしながらも首元から何かを抜き出した。そこには光沢のある白い宝石だけがついたネックレス。

「パールが昔、別れ際にこれをくれてな。『これでいつでも私を思い出して』って言ったの覚えてるか?」

どうしよう。確か、そんなこと言ってたわ。すごい泣きながら言った気がするけど。

「だから、お前もそれを持ってろ。俺のこと、忘れないようにな」

額同士をくっつけ、2人して笑う。


でも、その時はやってくる。



「それじゃ、俺はもう行く」

「い…いってらっしゃい」

行かないで、と言いそうになり少し困惑した。引き留めたい気持ちをぐっと堪える自分にも。

俯いた私にショールが優しく頭を撫でる。温かい気持ちになったと思うと、ふっとその手の感触がなくなった。思わず顔を上げる。


そこには誰もいなかった。見えるのは開けられた扉だけ。


扉の外に出て誰もいない街を見渡す。そこに彼がいないと分かっていても言いたい。


「助けてくれてありがとうございました!!!!」

あなたが戻ってくるころにはきっと良い国にしてみせます。



満ち足りた気分なのに、ちりっと胸が痛んだのは寒さのせいだろう。





裏話だよ!

その1:パールのお母さんは「純白の女神」って言われるほどめちゃくちゃ美人だったよ。お母さんの名前はサファイア・ホワイト・シトリン。読者はどういうことか分かったかな?

その2:東の覇王と呼ばれたトルマリン皇帝。皇帝と国王は戦争のあと、意気投合したよ!国王が「戦争すんな」って説得して戦争をする頻度が少なくなったよ!大陸中の王が万歳して、皇帝を言葉で負かしたシトリン国王を西の賢王と呼んだよ!本人はすごい恥ずかしがってたのは王たちには内緒だね!

その3:ショールは忘れん坊さんだよ。何でもすぐに忘れちゃうからパール以外にも頭を抱える人が多かったよ。そんなショールなのにパールとの約束を覚えているなんて奇跡だね。それとも……?

その4:入口で2人がイチャイチャしてる時にルべライトがどうしてたか気になるよね?ルべライトは落ちた髪を拾い集めてたよ。集め終わって、さぁ逃げようって時に衛兵に捕まっちゃったんだ。滑稽だよね!髪は手放さなかったから死刑執行の時も肌身離さず持ってたよ。すごい執着だね!


と、フラグ回収は終わったと思います。不明な点があればコメントに書いてください。だいたい答えられます。


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