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純白姫  作者: こころ
3/8

2話

1話を分けました。内容は変わっていません。それではどうぞ!!

「ガキどもを起こせ」

それだけ言うと牢屋をあとにしたあの方。少し経ってから頭を上げ、「兵隊さん」と声をかける。

怒った顔の兵隊さんは「あっ」と何かを思い出したようだ。

「それでさっきの『闇が闇を暴く』ってなんだ?そりゃ、怪盗が貴族を暴くっていう意味でさっきは思いついたけど」

あの方が来ていたときにそんなことを考えているなんて…とても無礼だ。まぁ、話を中断されたので気になるのも分かる。


「怪盗の名前、たしか『ノワール』でしたよね」


頷く兵隊さんにそれだけでは分からないかと考え、話を進める。

「『サファイア語』が世界の共通語ではありますが、国によっては独自の言葉があります。『ノワール』という言葉から察するに『パール語』ではないかと思われます」

そこまで聞いていた兵隊さんがはっと何かに気付き、私を見る。

「どうしたんですか」

「いっいや…別に何も。続けて」

「はい。確信はありませんがおそらく、怪盗は『パール語』が公用語の国の生まれでしょう。『ノワール』とは『黒』という意味を表します。黒=闇と判断し『闇が闇を暴く』と考えたのです。ご理解いただけましたか」

こんな事聞かなくても兵隊さんの「なるほど」という顔でなんとなく分かる。というより、こんな話をしている場合ではない。

「兵隊さん、こどもたちを起こしたいのですが」

「ペリドットだ。今開けるから待ってろ」

兵隊さんが腰の鍵束を取り、牢屋を開ける。そのときに足枷も外してもらい、かわりに鎖の付いた手錠をはめられる。本当に……。こんなことしなくても逃げるわけないのに。あの方は何を恐れているんだか。


「みんな、起きて。朝食を食べましょう」

牢屋はこの部屋に複数ある。私が使っている牢屋、あとはこどもたちが使っている牢屋だ。他にもここ以外に牢屋はある。あの方の法律を破った人達の牢屋だ。少し前まではすぐに死刑だったが今はある事情で死刑は行っていない。

「おにいちゃん!ほらはやくおきなきゃ!」

「わかってるけどぉ…もぅちょっとぉ」

「あさごはん、たべるよ!ほら、おきて!」

「うぅ……わかったからぁ」

このこたちを見ていると心が和む。でも、それを表に出してはいけない。


私は奴隷なんだから。

言い聞かせ続ける。この先もずっと、一生―――――。


30人ほどのこどもたちを連れて食堂に連れて行く。食堂といっても兵隊さんや召使いさんとは違う場所で食べる。綺麗とまではいかないものの大きなテーブルとイスがあるだけの部屋。

部屋の中に通路があり厨房と繋がっている。小さなこどもは先に座らせ、他のこどもは食事を持ってくるのを手伝ってもらう。


「きょうのあさごはんは、なにかなぁ?」

「きっとパンよ!」

「だっていつもそうだもんな」


こどもたちの冗談と笑い声が通路に響く。こんなに笑っているこのこたちはあの方に誘拐された。いや、兵隊さんたちを使って誘拐させた、が合っているか。一応、誘拐したところの家族には定期的にこどもの無事を報告していると耳にしたことがある。もちろん、あの方には秘密だ。


「みんな、席に着いて。朝ご飯よ」

「「「「「は~い!!」」」」」

「こらこら、あんまり大きい声を出すと」


「またペリドットのおせっきょうだよ」

「ペリドットのおせっきょう、ながいからやだぁ」

「はやくあさごはん、たべたい…」


「お前ら……覚えてろよ」

こどもたちから嫌味を言われ、怒った兵隊さん。でも本当に怒ってはいないのは見れば分かる。こんなことで怒るのは器の小さい人だけだ。こどもたちも冗談で「ペリドットがおこったぁ」と呑気に言っている。

「はい、遊びはおしまい。朝ご飯、食べるよ」

手を打ち、騒いでいた室内を静まらせる。みんな、さっと手を組んで目をつむる。



「「「「「我が神に祈りを、自然の恵みに感謝を、すべての宝石に輝きを」」」」」

――――こどもたちに自由を。



「きょうはパンとめだまやきだ!」

「サラダもついてる!」

「ごちそうだね!」

祈りが終わると一斉に食べ始める。

「本当ね。今日はごちそうだわ。みんな、残さず食べてね」

「「「「「は~い!」」」」」

こどもたちが夢中で食べていると兵隊さんが近くに寄ってきた。

「兵隊さんもこどもたちと一緒に食べますか」

「ペリドットだ。あいにく、もう朝食はとっている。すまないな」

口では淡々と言っていても、しょんぼりした顔が隠せていない。案外、兵隊さんはこども好きなのかもしれない。


食べ終わると自分たちのお皿を厨房に持っていく。お皿運びだけはこどもたちに自分でさせている。甘やかしてばかりではいけない。


「きょうのばんごはんは、なにかなぁ?」

「きっとパンよ!」

「だっていつもそうだもんな」


「さっきもその話をしていたけれど、何か意味はあるの」

ふと疑問に思ったことを聞いてみる。


「「「べつに~」」」


3人とも揃いもそろって首を傾げる。

「そう、分かったわ。ありがとう」

ただのこどもの遊びだろう。そこに深い意味はない。

でも…こどもたちの身体を見ればどういうことなのかよくわかる。

服の上からでもわかるぐらいの痩せ細った身体。

さらに、体中にあざや斬りつけられた跡がある。


このこたちは朝と夜しか食事を摂らせてもらえない。

王がそう決めた。いや、違う。

私が言うまでこのこたちは食事を摂らせてもらえなかった。


今にも飢え死にしそうなこどもたちは城の掃除をさせられていた。

それをあの方は蔑み、暴力を振るった。

時には、重傷にさせることもあり死んだこどももいる。


私はその惨状を見て懇願するほかなかった。

何でもします。私が犠牲になります。


「どうかこどもたちに危害を加えないでください」



―――もう、あのときのような思いはしたくない―――……。



『わしの命令を聞くならいいだろう。最も…お前に拒否権などないがな』

『分かっております、ルべライト陛下。ご承諾いただき、ご好意に感謝いたします』

『はっ!好意だと?わしがガキに同情したとでも思ったか?ガキなんざ、この国にいくらでもおるわい!1匹死んだところで替えなど腐るほどおるわ!!ふっはっはっはっ!!!』


私の懇願など、あの方にとってはただの暇つぶし・・・・

それでもいい。それでもいいから……


「はいどうぞ!」

「あら、ありがとう」

こどもたちが厨房の召使いさんにお皿を渡しているところで考え込んでいたことに気付く。

駄目だ。卑屈なままではいけない。

「おさらあらい、てつだう~!」

「それじゃあ、椅子を持ってきて手伝ってくれるかしら?」

「うん!」

今は忙しい時間も終わり、余裕があるようでこどもと談笑する姿が見られる。

「いつもすみません。本当は私がするべきなのですが……」

「何言ってんの!これは私たち、召使いの仕事です。あなた様になど、あっ」

私がじっと見つめるとようやく気付いた召使いさん。

「もっ…ごめんさいね、つい……」

「いいんです。こんな奴隷を様付けなんておかしいなと思っただけですから」

悲しそうな表情を浮かべる召使いさん。


それからお城の掃除をこどもたちとする。

最も、白髪はくはつの私が掃除をすれば目立つのでフードを被る。

城の中にいるだけで誘拐されそうになったことがあるからだ。

城に出入りする人たちに1回1回、礼をしていく。


彼らは知らない。

このこたちに深いキズがあることを

このこたちが奴隷のような扱いを受けていたことを


この城にいる者しか知ることはない。



だけど…誰も知りもしないところで何かが動き始める。


「やっぱり、誘拐もしてたか……。チッ…また仕事が増える」


気付いたときには――――



時すでに遅し。


えぇ。まず、「サファイア語」などの言語について。

皆さま、「国石」をご存知でしょうか。「国鳥」「国花」と同じようにその国家を代表または象徴するものです。日本で言えば「水晶」が国石です。

では「サファイア」はどこの国の国石でしょう!答えは「アメリカ」です。

そう!「アメリカ」=「英語」みたいな感じにならないでしょうか!

本当は「イギリス」の「ダイヤモンド」にしようかと悩んだのですが、「サファイア」にしました。なぜなら、主人公の名前だからです。関係させようと奮闘中です。

また、「パール」または「真珠」は「フランス」の国石です。

「ノワール」は「フランス語」だとお分かりいただけましたか?

また国石はほかの国と被っている場合が多いです。


気になる方はぜひ、調べてみてください。

また、分からない点などありましたら気軽にコメントしてください。

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