俺は説明を受けるはずでした。
「それじゃあ……式神……式神君。まずは貴方の名前を教えなさい」
名前を聞くとき普通命令口調か!?普通!!
と、つっこみたくはなるが再び地面ごっつんこ、はゴメンなのでその事については受け流しておく。
「俺の名前は蔦凪、蔦凪 真輝だ。……で、アンタは?」
「蔦凪真輝…ね。なるほど…………わかったわ。で、私のことはアンタと呼ばないでくれる?」
よくぞまぁさっきまで奴隷奴隷と言ってた口がそんなことを言えますな。
でもつっこまない。
地面に突っ込まれたくないからだ。
「……まぁ、いい。私の名前は、エウレカ・凜・タラストイ。主と呼んで頂戴」
「ああ、よろしくなりnグフォオッ!」
つい凜と呼びそうになった俺の顎を彼女のつま先が襲った。クッソいてぇ……。絶対鉄板入ってるぞ。絶対。
「次言ったらめり込むよ。真輝クーン」
声そのものが冷酷だった。
「まぁまぁ主、昨日会ったばかりの女性にいきなり支配下に置かれて主と呼べと言われてもそりゃあうんとはいかないでしょ」
ありがとう。猫耳の少女。
あとでお魚をあげグフォッ!
思考を巡らませているといきなり猫娘が俺を蹴り飛ばした。
なんで!?うそ、俺なんかした!?
「あー、新米君どーせ、お魚をあげようとか思ってたんでしょ」
「どうしてそれを!?」
まさか禁止ワードだったとは……
「知らなかったとはいえ……思っちゃったんだ。しょうがないねー。一度死のうか?(笑)」
猫娘が不敵な笑みを浮かべて尻尾を左右に揺らしながら近づいてくる。
それに付け加えるように凜も言葉を発する。
「コイツ、お魚ワードに関しては敏感で……自分に関する形で相手がお魚を妄想したりすると直ぐに反応するのよね」
彼女はあきれ顔で頭を掻きこれを止めようとはせずただじっとこれを眺めていた。
「どどどどどうして敏感なのさ!」
「ん?そりゃあ勿論魚は大好きらしいんだけど、魚を食うと全身に蕁麻疹が出るんだよ」
「え」
というとこは……魚アレルギーということか。
「んー?新米クーンまた何かあったら考えちゃったでしょー?フフフ、覚悟しなさーい」
一歩。また一歩と近づいてくる。
「あ、そうそう。そうなってしまったが最後無類の強さを発揮するから、彼女が収まるまで私手出しできないから」
「え」
あんな硬い靴を履いていながら手出しができない?!?
うそだろ!
などと思っていたうちに彼女は既に俺の目の前に仁王立ちで笑みを浮かべていた。
「さ、良い景色見せてあげるからね」
「や、やばっ、た、たす、たす、助け、てぇぅわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
ビルに囲まれたこの土地で俺の悲鳴と彼女の炸裂音が響きわたった。