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鬼人伝〜神を一発ぶん殴る〜  作者: ta*86
学園生活編
27/27

基礎と反復

お久しぶり以下略

基本、第二学園は平民などの身分の低い者達が通う学園だ。貴族などもいるにはいるが、それも三男や四男などのみそっかすが多い。


つまり、それは払う学費が少なくなることを意味し、更に言うなら有能な教師はほぼ全て俸給のいい第一学園に行ってしまうことを意味する。


ならば第二学園はただの第一学園の劣化品なのか?と言われれば、それは違う、と答えるものが第二学園学徒のほとんどだろう。


第二学園には、第一学園よりも圧倒的に勝っているものが一つだけ、ある。


「はい剣を構えたか?全員綺麗に構えてるな?じゃあそのまま二十分だ」

「嘘だろ!?勘弁してくれ先生!」

「はいゲイン・シガーが口答えしたので十分延長、三十分な」

「ぎゃああああ」

「はいリラが弱音を吐いたから十分延長、四十分な」

「………………」

「今お前ら不満そうな顔したな?十分延長、五十分な」

『嘘だろ!?』


そう、基礎だ。


この学園では応用授業なんてほとんど無い。ひたすら基礎練習となけなしの応用の反復練習。これ以外をやりたければそういう授業を選択するか、金を貯めて第一学園に行くしかない。


「じゃあ攻撃していくぞー、体勢崩したら罰な」


先生が適当なやつに木剣を叩き込む。その相手は瞬時にそれを受け止めなければならない。


「っく!」

「うん、いいね。次ー」

「くぁっ!」

「ちょっとふらついたね。一分延長」

「……っ!」

「……へぇ、レイド・ライド、先月と違って完璧な受け方だ。体勢も全く崩れていない。誰に教わった?」

「……キルヨです」

「へぇ、やっぱりか……」


そう言って俺の前まで歩いてきた先生が、そのまま思いっきり俺に切り込んできた。


木刀が木刀とは思えない音を立てる。


「身じろぎもしないのかよ!流石だな!」

「生憎、この程度の剣も受けられないほど落ちぶれちゃいないな!」


四発、五発と蓄積されるダメージに木刀が軋みを上げる。それに嫌な予感がした俺は咄嗟に受ける構えから流す構えにそれを変えた。


「上手いね!洗練されすぎて鳥肌が立つよ!マジで教師にならねぇか!?」

「文字くらいしか覚えてねーけど、それでもよければ!」


軽口を叩き合いながらも既に攻めはフェイント足技目潰しありの実践訓練になっていた。


周りは構えながらも完全にこちらの遣り取りに目を奪われているようだ。


そんな風に周りに目を向けていると、先生が俺の隣の生徒…まあヘレナだが、ヘレナから木刀を借りていた。


何簡単に貸してんだよ…ヘレナ…


「ほいっと、二本目追加だぜ。捌けるか?」

「まだまだ余裕だよ〜?なんなら黒茶でも飲みたい気分だ」


一層激しさを増す剣戟を剣一本で防ぎ続ける。


「お前……本気ですげえ!【断頭台:挟撃】!」

「こいつ遂にスキル使ってきやがった!【岩剥(いわはぎ)】!」


左右両側から首筋を噛み切ろうとする木刀を見つつ、俺は木刀を振り下ろし、その衝撃波で地面を剥がす。


がっ!と音がして、その岩塊を木刀が十センチほど両側から削り、そこで止まった。


「………キルヨ」

「何?まさか、過度の防衛で二十分延長とか言わねぇよな?」

「誰が言うか!そうじゃなくてだな…キルヨ、お前の力を貸してくれ!」

「はぁ?」






結局やはり二十分延長はされず、その後少しして生徒には休憩が言い渡された。ほとんどの生徒は先ほど見せた俺と先生の剣に興奮冷めやらぬ様子だった。


「で?俺の力を借りたいって何だよ」


先生は暫く逡巡した後、意を決したように言葉を発した。


「あー…処刑…じゃなくて学園対抗戦って知ってるか?」

「今処刑大会って言いかけたな…で?知ってるけどそれがどうした?」

「実はな…それの出場基準に満ちている教師が思った以上に少なくてよ。このままだと俺たちは人員不足で不戦敗だ。今は一人でも多くの人員が欲しい。なんせ負けた時のバカにされ方は半端じゃないからな!」


なるほど、助っ人か。前世でも良く頼まれたな…


「いや、俺には荷が重い。他を当たってくれ」

「…………そうか。残念だ」


割とあっさり引いてくれた先生は立ち上がって、


「ああ!本当に残念だなぁ!優勝者は毎年女の子たちのラブレターが殺到したりするのになぁ!」


「何……だと…」


「ああ、本当に残念だ!なんと今年は特別に絶世の美女、傾国の美女と有名な王女様が優勝者に直々にお言葉を下さるらしいのになぁ!」


「ま……待って…」


「ああ、でも無理ならば仕方ない。他のやつに頼むしか無いな!ギドとかな!」


そこでちらっ、と俺を見る先生。



こいつ……はめやがった!





しかし欲望には抗えず、俺は先生に向かって最敬礼をした。


「是非とも俺にその役目を任せて下さい」

「期待してるよ?キルヨ君」

「ははっ!」



俺と先生は固い握手を交わした。



「それでわざわざ勇者に見つかる確率を高くしたの?」

「おう。何か質問は?」

「あんた馬鹿でしょ」

「性に関して素直なだけだ」

「その性が歪なのが問題でしょうが!なんなのあんた!?やっぱ馬鹿なの!?馬鹿だったわね!ごめん!」

「リリアよ、そんなにも馬鹿馬鹿と連呼するな。お前までますます馬鹿に見えるぞ」

「う…ごめん。って、ますます?」



言葉の真意を悟ったリリアが暴れ出すのを見ながら、俺は息を吐いた。そして覚悟を新たにした。



「……絶対に優勝する。絶対だ!」

「はぁ…キルヨさん、いつか悪い女の人に騙されそうで怖いです…」

「大丈夫だリリア。キルヨは騙されたところで確実に平気な顔して切り抜ける…多分」


まあそうですね〜あははと乾いた笑いを浮かべるリラとヘレナを後ろから抱きしめる。


「うぎゃあっ!?」

「きゃんっ!?何してるんですか!?」

「うん?いや、何と無く?」



二人に同時にアッパーカットを決められた。



「はぶふっ!?」

「皆が見てる前でそういうことするのは本当に止めて下さい!」

「キルヨ…お前は見境がなさ過ぎる…これからこの調子で何人の女に手を出すつもりだ…?」

「……ごめんなさい」



……そうだよな。俺は色んな女の子を好きになるが、二人にとってそれは普通に嫌なことだ。


「……ってことは二人はもう俺のものってことでいいよな?そして皆が見ていないとこでならしても良いんだな?」

「あ………」

「……くっ、失言か」


途端に元気を無くした二人を再び抱きしめる。


「大丈夫だ………たとえ俺が二人以外を好きになっても、二人とその誰かを全力で愛するから…だから安心…じゃないけど、二人を今より少しでも嫌いになったり、好きじゃなくなったりは絶対にしない。それで納得してくれとは言えないけど、そこだけは分かっていて欲しい」

「わ、わわわ分かった」

「分かりました!分かりましたから離し〜〜ッ!」

「ああ本当に可愛いなぁ二人とも!」


たまらなくなった俺は腕の中にいる二人を弄り回す。




再び二人同時にアッパーカットを決められた。


本当に投稿が遅れてごめんなさい。さらに文字数が少なくてごめんなさい!

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