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YellowCompany/Co.jp  作者: BloodyBishop
孤軍奮闘
8/11

Mohican3BrothersDuel

 ミッションが終わりヒロのラボに集った。

 これから各自のやるべき事を確認しながら僕は反復していた。

 「じゃあ、ミカはモヒカン3兄弟と対戦作戦で武道ホールだね?対戦相手が心配だから僕も同行するよ。 ヒロはここの作戦本部で待機して貰って、ソーリと教授、ユウカは女子寮でヒユリ勧誘作戦。これで僕らの中隊結成のメンバーは揃う。皆、頑張ろう」

 「オー!」皆やる気満々で、中でもミカは戦車でも破壊しそうなテンションで時間が来るのをイライラしながら待っていた。

 「ではミカ中隊長予定者から一言お願いします」

 僕がミカに振ると、椅子に座り、しきりに貧乏揺すりをしていたミカが、思いっきり立ち上がり吼えた。

 「よし!全員ミッション開始!ロックンロール!」

 余りのテンションの高さに皆一瞬、躊躇したが、全員が声を揃えて、「ロックンロール!」と吼えた。

 「ヒロ、頼むね?後で連絡する。先輩達とユウカもお願いします」

 ラボの有る教育ビルの前で別れ、僕とミカは少し離れた武道ホールへ向かった。


 武道ホールに着くと空手や柔道、剣道や体術を鍛える人達が練習していた。

 ホールはかなり広い。

 中央に格闘リングが4ツ並んでおり、その一つに既にモヒカン3兄弟が空手着の下だけ履いて、上半身裸で誰かと戦っていた。

 二人でリングに歩いて行くと練習中の人達が手を止めミカを注目していた。

 カンフー少女の噂は武術を嗜む人達にも知れ渡っているようだ。

 リングに近づくにつれモヒカン達が何をやっているのかが見えて来た。

 中央に有りながら回りには誰も居らず、何をやっているのか伺い知れない環境の場所で、僕が見たのはボコボコに殴られた一人の男子がリングに倒れているのが分かった。

 ミカはそれを見るなり凄い形相で僕に言った。

 「おいユウタ、リングの映像を大型スクリーンに映せ!ここに居る奴ら全員の前であいつらも同じようにボコボコにしてやる!行け!」

 僕は認識プレートでコンソールルームを探しながら走った。

 後ろでミカが「お前等なんて事してやがるんだ!」と怒鳴る声が聞こえた。

 コンソール室に入りながら僕はヒロに連絡を取り機材の操作を教わっていた。

 ヒロは施設のマニュアルを一瞬で探し的確に指示をして来る。

 「これと、これだね。良しオンエア開始!」

 リングの天井に有る巨大スクリーン4枚とホールに有るモニター全てがリング上の出来事を映し出した。

 それに気付いていない奴らの声がコンソール室のスピーカーから流れる。

 「遅いじゃねぇーかミカちゃん。待ちくたびれて外で拾った玩具も飽きて来た所だよ。なぁお前ら」

 ニヤニヤしながら話すモヒカン三人組が映るモニターの隣に、リング横のカメラが捉えた倒れた人が映っていた。

 うつ伏せで体が動かせ無いのか顔を上げ両腕で這い蹲ってリングから逃げようとしている。

 僕は顔を見せ無いように反対側からその現状を映し、ホールのモニターに映し出した。

 「おい、何だこれ?人が倒れている。リングで何かやっているぞ!」

 周りの人が気付きリングに向かって集まり出した。

 ヒロもラボから駆けつけ、リング上で這い蹲り逃げようともがく男子を助け上げようとした時だ。

 「おい、勝手なマネするんじゃねー!」

 黄色いモヒカンがヒロに走り寄り、跳び蹴りを食らわせようとジャンプした。

 ドーンと大きな音を立てリングに飛び上がった黄色いモヒカンが叩き付けられた。

 ミカが行動を読み、ジャンプしたと同時に高く上げた右足を鎌のようにモヒカンに振り下ろしたのだ。

 背中から落ち、打った場所を擦ろうとモヒカンが自分の腕を背中に回した時、ミカはその腕を素早く捻り上げた。

 そうしながら、グーと上に挙げるとゴリッと言う音と「ぐぎゃー」と言う声が響き渡り、その間にスルリと反対側の腕も同じように、ゴリッと言う音を立てた。

 手を離し、立ち上がったミカは「大丈夫だ、両肩の間接を外しただけだ。だが死ぬほど痛いがな」

 ガクガクと頭を震わすモヒカン頭を、ミカは右足でリングマットに擦り付けながら残りの二人を睨んだ。

 ヒロはボロボロにされた男子を急いでリングから降し、周りに集まった人の用意したマットに下ろした。

 「私、メディツク担当です。後は任せて。救急車を」女の人がそういって駆け寄て来たので、ヒロはその人に任せて僕の居るコンソールルームに走って来た。

 「ミカさん相変わらず凄いけど、大丈夫ですか?」

 不安そうにメディカルセンターに救急車を手配しながらそういった。

 「ミカなら大丈夫。それより、ヒロ、救急車は1台じゃなく4台呼んで措いて」

 「え?」ヒロは聞き返したが、素直に僕の指示通り4台手配してくれた。

 リングの上の映像は黄色いモヒカンが両腕の間接を外されミカに靴の裏で押さえつけられたまま足だけバタつかせ悲鳴を上げていた。

 「おい、お前等!これから試合をしてやる。異種格闘技て奴だ。ギャラリーも沢山出来たゼ?」

 青いモヒカンと赤いモヒカンの二人は突然の事とミカの早業にただ呆然とこちらを見て突っ立っていた。

 「良いか?この試合、俺が勝ったらお前等は、その瞬間から俺の家来になれ。俺が負けたら、俺を好きにして良いぜ?それでどうだ?」

 マイクがミカの声を拾い、ホール中に流れた。

 一斉にリングの周りから「ウォー」と言う歓声が上った。

 ミカが制服とスカートを脱いだのだ。

 黒のタンクトップにホットパンツ、戦闘用ブーツにグローブ。

 アメリカ特殊部隊の戦闘訓練用のスタイルだ。

 「おい、誰かレフェリーを頼む。ルールは何でも有りの、どちらかがギブアップするまでだ。それからこの黄色いチキンをリングから下ろしてくれ。それで良いな?赤いトサカのチキン野郎!」

 二人のモヒカンは何か話会っていたが、赤いモヒカンが「ああ。良いだろう。今日からお前は俺達の夜の玩具になって貰う。今は2対1じゃ俺達も恥ずかしい。これが終わったらたっぷり3対1で可愛がってやるからな。まずはこいつが相手だ」

 そう言うと黄色いモヒカンをリングに残し、赤い方はミカに両腕の間接を外され、リングの下で未だに喚いている仲間に向かった。

 「レフェリーは私が勤めましょう」

 フェンシングスタイルの女子がリングに上がって来た。

 モニターに写るスタイルの良いその人はブルースパイダー中隊長のナミ。

 「ルールは何でも有りで良いのね?ただ大怪我や死人を出してはいけません。もし、そのような行為が予想される場合、ここに居る全員が止めに入りますわよ。それから勝利者の約束は必ず守ってもらいますわ。ギャラリー全員が証人ですわ。両者よろしくって?」

 リング中央でミカと青いモヒカンはコクリと頷いた。

 「ミカちゃん今日から眠れ無いぜ。朝まで3人でぶち込んでヤルぜェ」

青いモヒカンが舌を出してミカを挑発しながら股間に手を当てカクカク腰を振った。

 ミカはニヤリと笑ってモヒカンに背を向けコーナーに歩き始めた。

 「始め!」ナミが掛け声を掛けたとたん黄色い奴がミカの背中目掛けて走り出した。

 「チュエストー!」独特の掛け声で、リングを蹴り後ろを向くミカに跳び蹴りをした時、ミカは後ろに目が有るが如く、ギリギリで右に体を捻り、振り上げた肘を黄色野郎の太ももに振り下ろした。

 ドーンと言う音と「がぁー」と言う悲鳴を上げて転がる黄色野郎の背後に回り、そいつの背中に片膝を付け、すばやく両腕を持つと後ろに捻った。

 前のめりに腕を雄鹿の角のような形で固定され、身動き取れない青い奴を、暫く冷めた野獣のような目で見つめてミカは耳元で呟くように言った。

 「お前は今日から俺の子分だ。良いか?」

 「はなせ!おれはお前の子分なんかには……」 ゴリッと1回鈍い音がした。

 「うわー!痛い痛い!お前なんかの子分…」 ゴリッと又音がしてミカは間接を外した両腕を話し、今度は頭に腕を回しながらもう一度呟いた。

 「お前は俺の子分になりたいだろう?」

 首に回る二の腕が見る見る筋肉で膨張し青筋が立った。

 黄色野郎は青ざめ、ガチガチと歯を鳴らしながら「はいぃ、はいぃギブアップです。助けてください。お願いしますミカ様、何でも言ってください」と泣きながら言った。

 「それまで!勝者ミカ!」

 ナミの賭け声と共にリングの周りから「ウオー」と言う歓声が上がった。

 「おい!どこへ行くんだ!?」ミカがリングの外に向かって叫んだ。

 そのとたん入り口に向かって赤いモヒカンが走り出した。

 審判役のミナがサッと手を上げると、同じフェンシングスタイル達が一斉に群がり、赤野郎を取り押さえた。

 すると、その周りを道着姿の金髪GIカットの一段が囲んだ。

 「よう、小娘。こいつは、今そっちへ連れて行く」

 この間、食堂ホールでミカに負けたブルードラゴン中隊のダンゾウ達が、リングの上まで赤野郎を引きずり挙げた。

 「おお、ミナ、オッサン、サンキュウ。助かったぜ。それじゃーミナ。試合再開だ!」

 「ウオー」と言う声援がギャラリーから上がった。

 おろおろしながら赤野郎はリングから逃げようと辺りを見回していた。

 その時、ダンゾウが叫んだ。

「マイカデビルの実力、見せてくれ!」

 どうやらダンゾウはミカがマイカデビルと言うあだ名のマーシャルアーツ使いだと言う事を知っているらしい。

 「始め!」ミナが叫んだ。

 ゆっくりミカは歩きながら赤野郎に話かけた。

 「おい、どうした?さっきまでの威勢は?いたぶられる気分はどうかな?チキン親分?自慢の極真はどうした?え?」

 まったく無防備で距離を詰めながらミカは相手に近づいて行く。

 「お前が壊し屋マイカデビルなのか?ならワシントンのジェイソンは知ってるな?ハイスクールで極真の全米チャンピオンだ。それが俺のボスだ。どうだ?ここで負けないと、お前の家族はボスに頼んで痛い目見るぜ? それでも……」

 ミカの目がカッと見開かれ、ゆっくり両腕を上げた。

 次の瞬間ミカは前方宙返りをした。

 ドッと鈍い音がして、ミカの踵が赤野郎の左肩に食い込んでいた。

 何が起きているか、まだ把握できていない赤野郎は、思考よりも激痛が先に襲って来たのか、膝から崩れて行った。

 ミカはそれを見ながら、スルリと足を除け背後に回り左腕を捻り上げた。

 又、ゴリッと鈍い音が響き関節を外された赤野郎は「ギャー」と悲鳴を上げる。

 反対側の腕にミカは腕を絡ませ、相手の身動きを止めた後、クールな目付きで後ろから呟くように言った。

 「ワシントンの不良ジェイソン兄弟は俺の子分だが? そうか、そうなるとお前はすでに俺の子分て事だな?」

 グキッと肘の関節が外れる音がした。

 「グアー」

 しまったと言う顔をし、悲鳴を上げながらボロボロと涙を流す赤い野郎は「ごめんなさい、すいません、ミカさん許してください」と泣き叫んでいた。

 ギャラリーは、物凄いスピードで技を繰り出し、間接技を決めていくミカに見とれていた。

「これで許してやるが、今日からお前は俺の直属の子分だ。良いな?ジェイソン達には俺から言って置くからな?」

 そう言うとグリッと赤野郎の腕を回すと、ゴキッと言う音と一緒に、「グッ」と行って赤野郎は白目を剥いて気を失った。

 ほんの20分ぐらいの出来事だった。

 メディカルセンターから救急者がやって来て、通報を聞いた教官も飛んで来た。

 教官が事の次第の説明を求めた時、ミナとダンゾウが説明をしてくれた。

 「あくまで、デュエルですわ。 禁止はされて居ないはず。重症者や死人が出なければ、お互いの同意でデュエルする事は認められていますわよね?私がレフェリーで、こちらがアテンダント(立会い人)。問題無く終わりました」

 ギャラリー達も同様の回答をした。

 教官は優等生で中隊長のナミの言う事に納得をし、戻って行った。

 「ナミ、ダンゾウ。本当に有難う」ミカはそう言うと頭を下げた。

 「ふん。お前がクラッシャー、マイカデビルだと分かっていたら、もっと別の手で勧誘したのにな。あの時は済まなかった」

 ダンゾウはミカと握手を交わしていた。

 僕とヒロはミカの後ろでそれを眺めていた。

 「ユウタ、ヒロ。俺は病院に行く。あいつらの外れた関節を戻してやらないとな。後は先輩達とユウカの方は二人に任せる。明日の講義の後、全員又ラボに集合だ」

 そう言うと足早にメディカルセンターに向かった。


僕とヒロはミナとダンゾウに礼を言って別れた。

女子寮に向かいながら、僕とヒロは認識プレートでユウカと連絡を取っていた。

 「どうだい?ユウカ。 上手く行けそうか?」

 「お兄ちゃん、それがね、お部屋には入れて貰えたんだけど……」

 ユウカがそう言っている声に被さり、甲高い声でヒステリツクに喚く声が聞こえた。

 「今ユウタと女子寮の前にいるから、直ぐに行く」

 僕らはヒユリの部屋へ向かった。

 部屋の前で認識プレートを使い訪問者申請ボタンを押すと、ドアが開いてユウカが顔を出した。

 「入って二人とも。静かにね」

 言われた通り、静かに部屋へ入ると、ソーリと教授が正座して、その前を背の小さな、ヒユリが腕を組みながら仁王立ちしていた。

 「先輩方、分かりました? ビショップが崩壊した事は入社式で聞きました。インドから来た同期は、お二人がインド在住の伝統有るビショップ中隊を復活させると半月待ちました。 ところが、待てど暮らせど連絡は無い、他の同期はもう別の中隊に加入を決めてしまいましたよ? それで、別の新規部隊に入ったので、お前もどうぞって!根性無しにも程が有ります」

 ヒステリックに上から目線で先輩を叱る後輩ヒユリは、燐とした目をしており、言う事は理路整然としていて、先輩達は弁解の余地が無いのか黙って聞いていた」

 「それに、午後に貰ったメールにですね、なんとユウがスクエアの制服来て写っている写真が着ました。 私、どんな手を使ってもユウと同じ部隊に入ります。だから先輩方の部隊には入りませんよ」

 「すません。ヒユリ君、そこは私達も悪い事をした。 反省はしているが、ユウがスクエアに居るのは分かっているけれども、そこを何とか同郷のよしみで頼みますよ」

 ソーリが頭を下げてもヒユリは腕を組んだまま、子供のように頬っぺたを膨らまして天井を見ていたが、こちらに気が付き、今度は僕らに噛み付いて来た。

 「あなた達が先輩達をたぶらかした張本人ね? そうなんでしょ? ユウカちゃん?」

 「うん、たぶらかしてなんかいないけど、こっちがユウカのお兄ちゃんヒロ、こちらがユウタさんで、後ネ、とっても喧嘩の強いミカさんが私達の中隊だよ」

 「ふん、ユウカちゃんは私の好みだから良いとしても、ゴメン、私は明日の昼にメールをくれた人と会って、ユウの中隊を突き止めるわ。そこに入るの」

 「あの、僕はユウタて言うんだけど。 そのメールは僕が送った物じゃないかな? 差出人を確認して見て」

 「え?」ヒユリは自分の認識プレートを確認した。

 「ユウタ……。 本当だわ。」

 すると凄い勢いでヒユリは僕に走り寄り、僕の胸倉を掴んでグイグイ揺さぶり始めた。

 「あなた、ユウの中隊を知っているのね? さあ教えなさい、今すぐよ、何処で取ったの?この写真は?キー」

 ヒステリックでマシンガンのように口が回る女の子だ。

 「待って、待って、もっと写真有るから離して」

 「良いわよ、別に写真が見たい訳じゃ無いけど、見せて御覧なさいよ」

 ヒユリは手を離し腕を組んだ。

 僕はユウカとヒロの顔を見回した。

 二人とも一度コクリと首を動かして、見せても良いとサインを送って来た。

 認識プレートをヒロに渡すと、それを操作しながら「良いですか、モニターに映しますよ」と操作した。

 ユウカが自分の画像が恥ずかしいのか「キャッ」と可愛い声を上げた。

 今日の午後、海岸沿いで取ったセクシーポーズのユウカの写真が壁いっぱいに写し出された。

 突然、ヒユリとソーリ、教授がその前に一列に並び、「ユウーちゃーん」と掛け声を上げ、左手を腰に右手を高く振りながら、ユウの応援歌を歌い出した。

 僕らはスライドショウで次々映し出される画像より三人の行動に唖然としながらそれを眺めた。

 画像表示が終わり、2回繰り返された応援歌も終わった。

 ヒユリは壁に一例して僕らに向き直った。

 「良い物を見せて頂きました。 でもインド支部、ユウファンクラブ会長の私としては、是ヶ否でもユウの中隊へ行きます。 先輩達も練習しているようですネ、ユウの応援歌。 でもそれとこれとは別。 まぁ、ここにユウを連れて来て、私の望みを適えてくれると言うなら考えますけどね。 ユウタさん。 ふん、出来る訳ないですけどね」

 ヒユリは腕を組み右足をパタパタと動かして、出来る訳が無いと言いながらも、僕がもしかしたらユウをここに呼び出してくれる事を期待してソワソワしているようだった。

 「あのー?ユウがここに来たら何が望みなの?ヒユリちゃん」

 ユウカは少し思いつめた面持ちでヒユリに聞いた。

 「え……?」

 ヒユリはピクリとそれに反応して見る間に顔を赤らめながら天井を向いて答えた。

 「笑わない?笑わないわね?」

 「うん、言ってみて?」ユウカが真剣な顔で聞いた。

 「あのねぇ。ユウを裸にして、あの大きな胸に顔を埋めてウリウリして見たいって……何よ? 女の子同士なんだから良いでしょ! 変態じゃないんだからネ。 言ったわよ。 言ったからね? だからどうだって言うの?」

 ユウカは少し考え僕とヒロを見て「ここは、ユウカが何とかする。お兄ちゃん行って来るね」そう言うと少し強張った顔でヒユリに近づき腕を取った。

 「ヒユリちゃん来て!」

 ヒユリはユウカの真剣さに思わず言われるままにした。

 ユウカはバスルームにヒユリを連れて行くとドアにカチャッと鍵を掛けた。

 暫くすると、「えー?」と驚愕したような声が聞こえシュルシュルと服を脱ぐ音の後「ウヒョー、デカイ! フワフワ、ウグウグ」と声が聞こえた。

 「ヒユリちゃん、止めてくすぐったいですゥ」

 僕はバスルームの曇りガラスのシルエットを見ながら、フラフラとそちらに引き寄せられていた。

 気が付くとソーリと教授も同じ考えのようで、3人でドアに耳を当てて盗み聞きしようとした時「はい、ここまでです」ヒロが僕等を追い払いドアの前に立ったまま睨んでいた。

 暫くするとバスルームから風呂上りのように上気した二人が出て来た。

 「先輩、私、ユウカちゃんの居るこの部隊で頑張ります。ユウカちゃんどこまでも着いて行く!私!」

 どうやら、ユウカに事の真相を打ち明け、体を張って勧誘に成功したらしかった。

 ユウカはいつもミカが大丈夫と言う時に出す右手の親指を立てる真似をして僕らの前に突き出した。

 事情を知らないのはソーリと教授だけだが、知られるとヒヨリより半狂乱になりかね無いので、どうやらユウカは秘密にして置きたいらしい。

 「では今から、インド支部ユウ親衛隊幹部3名はユウカちゃんの所属する新規部隊へ入隊。 依存は無いなソーリ氏、教授氏。 ほほほほ……」

 腰に両手を沿え、思いきり仰け反り高笑いするユウカに僕らは何も言えず、ただその場に立っていた。

 僕らの中隊は、おかしなメンバーしか居ない、まるで遊園地のゴーストハウスだなと思った。


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