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YellowCompany/Co.jp  作者: BloodyBishop
UADSドローンシステムと戦友
5/11

ClassmateOfIdolYu

 午後はスクエア地区の演習場をドローンを使って片付けるのがミッションだった。

 操縦者の僕らは、デルタ地区、遠距離操縦指揮所のエアコンの利いた管制ルームに操縦用フルフェイス装置を装着し、リクライニングシートに体を預け、五百キロ先のAIドローンを動かしている。

 場所は海岸沿いの廃墟となった街。

 広い道路に乗り上げた、巨大タンカーの解体撤去が、暫く僕等の仕事だった。

 積荷は食用肉だったらし。

 もう何年も経過しているにも係わらず、強烈な悪臭がする事と、人の5倍の力で物を運べるAIドローンを使って、毎年恒例で新人操縦練習で撤去しているらしいのだ。

 ヘルメットから見えるAIドローンの送って来る風景は、4月だと言うのに砂漠のような場所に居るせいなのか、真夏のラスベガスに似た風景だった。

 ゴロリと道路に打ち揚げられ、横倒れになった船体を、甲板に張り付きながら上部まで登った。

 昇りきった、ビルの15階相当の船体上部から、辺りを眺望出来たが、絶景とは程遠い、凄まじい風景が眼下に広がった。

 住居や自動車の瓦礫と砂漠化した地面に黒いアスファルトの道が内陸に伸びている。

 草木は背が低く、西部劇物の映画のように、風で纏まった枯れ草がコロコロこらがって走って行く。

 電柱や街灯が同じ方向にグニャリと曲がって倒れているものも有るが、まだ所どころ立っている物も有り、その上にはカラスが大量に羽を休めているのが見えた。

 ここで生活していた人達は、どうしてしまったんだろうと思うが、スクエア地区で救出された生存者の数を、マニュアルで読み知っていたので、その先を考える事をやめる事にした。

 作業は4体一組で行うと言う事だったので、僕とミカ、ヒロと組む事にしたのだが、後もう一人は、ヒロと沖縄の同級生を誘うと言う事になった。

 「後で紹介するので、担当ポイントで作業していてください」

 そう言われ、ミカと二人でドローンの左腕をバナーに変えて穴明けをしてヒロと同級生をまちながら、ミカと作業を開始した。

 作業中、音楽を低目に流し、ミカの顔を左隅に小さく表示させながら中隊入隊をどうしようかミカと話そうと思った。

 「ミカ、本当に何処にも入隊しないで、新人中隊を作るの?」

 「うん。多分。俺が中隊長なら文句ないだろう?」

 僕はなんとなくそう来るだろうと思っていた。

 「対戦相手をバキバキこいつで殴り倒して行けば、その内、ここのボスも俺になる。ミドルの時みたいにな」

 そう通信しながら、ミカのAIドローンが右手の拳で船体をガンガン叩きだした。

 「ミカ、壊れる、コンクリートじゃないんだそれは。戦車だってこれと同じぐらい硬いんだよ。まだ始まったばかりだし。もう少し情報収集して考えよう」

 「分かった。じゃあ今日は俺がユウタの寮に行くから。帰りに何か食い物買って晩飯食いながら作戦会議しよう」

 ミカはそう言って適当な今作ったような歌を、鼻歌で歌いながらドローンを動かし始めた。

 「うん。良いよ。シーフードピザが食いたいな。カジキマグロのさ……」 

 取りとめの無い会話をしながら、ミカの事を考えていた。

 ちゃんと人の話も聞くし分別も有るのだが、言葉遣いと行動がミカを凶暴に見せている。 

 そんな事を考えながらも、僕等のAIドローンは指示通り、僕のドローンが穴を開け、その穴をミカのドローンが金属カッターで繋げて切って行く。

 作業を始めて30分した時、ミカの隣にヒロの画像ともう一人メガネをかけた女の子の画像が映った。

 「ユウタゴメン。遅くなりました。今甲板をそちらに向かい登っています。ああ、こちらはユウカ。沖縄の同じ中学だった同級生です」

 そう言うと、隣に映ったユウカが「はじめまして、ユウカですゥ。お友達になってくださいネェ」語尾に特徴が有る声で挨拶した。

 どこかで聞いた声だったが「はじめまして、僕はユウタ。そちらのモニターにも出てると思うけど、それが……男前のミカ」

 突然、僕のドローンがガンガンと言う音を拾って、景色がグラグラ揺れていた。

 「酷いよミカ!僕のドローンを叩かないで!壊れる!」

 ミカのドローンがカッターでガンガン僕のドローンを叩いているのだ。

 「お!初めまして。俺はユウタの姉で、ヒロのボス、ミカ。ユウカ宜しくな!」

 相変わらず声が大きいミカに優しく舌足らずの声でユウカが答えた。

 「ミカさん。初めまして。ヒロから話は聞いてます。これから宜しくお願いします」

 廃船の船底を、AIドローンが3体こちらに向かって来るのが見えた。

 「あれ?ヒロ、もう一人誰か呼んだの?もう一体は誰?」

 僕はAIドローンを見てそう聞いた。

 「ああ、もう一体はユウカのです。こいつ既に5台動かすライセンスを持っているんですよ。今日は2体で来てもらいました」

 「ええー!入社前にライセンス持ってるなんて!凄いねユウカ!何所で習ったの?」

 テキパキとヒロの横でユウカのドローンは穴あけを始め、ヒロのAIはカットを始める。

 もう一体のドローンは、僕等が先に切り出した鉄板を船内にドンドン搬入していく。

 「それはその……家のお爺ちゃんが玩具代りにプレゼントしてくれて、小さい時から遊んでいたので……実家にも沢山居ますよゥ」

 ユウカの声は、何故か僕の理想の女性感のストライクゾーンをゾクゾクさせた。

 「お金持ちなんですねユウカの家は」そう聞いた時、モニターのユウカの表情が少し曇った。

 「よーし!ユウカ!空気読め無いユウタはほっといて、俺の子分三号になれ!大丈夫!おれが守ってやる!好いな?」

 突然ミカがそう咆えた。フルフェイスヘルメットで掻かるアメリカンロックよりシャウトした声で耳がキーンとなった。

  「え、良いんですかミカさん!良かった。なっユウカ」

 ヒロが安堵したようにユウカにそう言うと、「有難うございます。さっき社員ホールで見てました。カンフーをなさるミカさんに一発であこがれちゃったんですゥ。嬉しいですゥ。有難うございますゥ」

 (なんか僕一人悪者なんですけど……ミカも酷いよ)そう思ったが3人は僕を無視してドンドン話をして行く。

 「あれはカンフーじゃない。マーシャルアーツだ!まあ良いか。ヒロ良くやった。ところで 今日さ、ユウタの部屋でこの後作戦会議をしたいのだが。二人も来るか?」

 「もちろんです!」ヒロとユウカは同時に即答した。

 (僕の部屋で遣るんだけど、二人とも僕には何も聞かないのだね……)僕はそう思ったが、さっきのユウカの表情に、金持ちと言う単語は禁句なのだと思いながら、

 「ユウカさん、さっきはごめんなさい。気にしてる事を聞いたみたいで」

 そう言うと、ヒロが答えた。

 「ユウタ、気にしないで。ユウカは気にしてません。いつもの事です。ね?ユウカ」

 「ええ、大丈夫です。ユウタさん。今日はお邪魔します。まず、今日のノルマを片付けちゃいましょう」そう言うユウカはニコニコ笑っていた。

 (良かった。後でフォローしないと。)そう思いながら、AIドローンの操縦に専念した。

 ユウカのおかげで、他のチームが4体で廃船タンカーを解体しているのに対して、5体で作業が出来た僕らは、その日のノルマ以上に成果を挙げ、他チームの注目の的と成った。

 それだけでは無くミカの昼時の立ち回りが既に同期の噂になっており、既存中隊に入隊済みの同期生は、多分、僕等をマークするよう指示されているのだろう、好奇の視線と警戒の視線が僕等に注がれている事を僕は悟った。

 ワシントンでも、ミドルではミカと僕を見る視線は同じだった。

 入学時は登校する度に、ミカの傷が増え、僕も何度か不良達に拉致されたが、2年に上がる前にはミカは他校も含めて僕等が住む地区をミカがボスとして制圧したので、それ以降は平和になったが、スクエアのワームハウスでは始まったばかりなのだ。

 僕は自分の事より、ヒロとユウカが心配だった。

 多分確実に巻き込まれる事と、ミカと僕を嫌いに成らないだろうか?それが気になった。

 季節外れの猛暑だった瓦礫の砂漠地帯は嘘のように、空調が調度良いデルタ地区の遠距離操縦指揮所のエアコンの利いた管制ルーム内で操縦用のフルフェイスヘルメットを脱ぎ、リクライニングシートで体を起こすと、直ぐ側にヒロが僕を待っていてくれた。

 「ユウタ。お疲れ様。ミカとユウカが待っています。行きましょう」

 だだっ広い官製ルームをラバラと、その日の研修を終わり同期達が向かう入り口に、ミカともう一人、長い黒髪を三編みのお下げにした眼鏡の少女が立っていた。

 ヒロと二人でそちらに向かいながら、近づくにつれ、操縦用ボディースーツが、ピッタリと張り付く、見事なボディーラインの少女を僕は何所かで見たような感覚を覚えた。

 ヒロが「ミカさん、ユウカお待たせしました」と言ったのに合わせて、振り向いたユウカの見事なバストを見て、思い出し思わず言葉をもらした。

 「ユウ……ちゃん?」僕の声に、ユウカはビクリと体を震わせ、ミカとの会話を中断し固まってしまったが、すぐにササッと隣に立ったヒロの影に、見事なプロポーションの体を隠した。

 「お兄ちゃん……」ユウカはヒロに助けを求めるように呟くと、モジモジと体を動かしている。

 「あ、ユウタ。シー!その名前は大きな声で言わないで!こいつとても恥ずかしがりやで。詳しい事は後で!」そう言ってヒロは辺りをキョロキョロ見渡し始めた。

 その時、ミカのキックが僕の尻を直撃した。

 「ユウタ!何でお前はデリカシーが無いんだ!女の子は繊細なんだぞ!ジロジロ嘗め回すように見るな。すまんユウカ、お姉さんがちゃんと言い聞かせるから」

 尻を思いっきり蹴られてムッとしてミカに「痛いよミカ、そうならそうと言ってよ!ヒロも酷いよ先に言ってよ!お尻割れちゃったじゃないか。暴君ミカ!」

 「なにー?ユウタの癖に生意気だぞ。もう一発……」僕はヒョイとそれをかわした。

 「へへェ。奇襲じゃないとミカの攻撃は全部かわせるもんね」

 勿論、ミカが本気になれば、僕にはかわす術は無いがミカも手加減してくれている。

ドタバタと兄弟喧嘩のようにじゃれる僕等を見てヒロとユウカはいつの間にか笑っていた。

 僕はとうとう、ミカのヘッドロックに捕まり、拳をグリグリされながら、「ユウカさん、重ね重ねごめんよ、よろしく……痛い痛いやめてミカ、分かったから……」

それから、ミカと僕はユウカと握手して、四人で寮に戻った。

 途中でピザのラージサイズを買い、征服を着替えてから僕の部屋へ集合し、今後の事について作戦会議をする事になった。


*********************


 男子寮の手前で、ミカとユウカと分かれて、新人ホールの長い廊下で僕の部屋の手前に在るヒロの部屋の前で別れた。

 部屋の前に行くと、僕の認識プレートに反応して、自動的にドアのロックが開き、ノブを廻して入ると、空調が作動し、プレートを操作してバスタブにお湯を溜、壁面の大きなモニターにメタバンド、ヘルゲートのアルバム”ヘルアンドファイア“を表示させた。

 ラージサイズのチョリソミックスピザをテーブルに置き、ガンガン鳴るギターソロに合わせて、服を脱ぎ、エアギターをしながらバスルームへ向かう。

 熱いお湯の張ったバスタブに浸かると、ミカに蹴られた尻が少しヒリヒリした。

 暫く浸かってシャワーを浴び、バスルームを出てTシャツにジーンズを履いた時、認識プレートの呼び出し音が鳴った。

 「ユウタ、ヒロです。開けて下さい」

 プレートでドアを開けると、見た事の無い服装のヒロが部屋に入って来た。

 「ヒロ、その服ユニークだね。涼しそうだ」ブルー?の柔道着だが軽そうな生地だった。

 「ああ、これはジンベイて言う日本の作業着みたいな物です。これはゾーリ」そう言って 足にはビーチサンダルのような、これも柔道の畳みたいな色のサンダルだった。

 「へー、さすが沖縄っ子は違うね。昔の日本を大事にしてるね」

 そう言いながら冷蔵庫からコーラを持って来てヒロに進めた。

 「さっきはすいません。ユウカ、実はばれちゃったんで言っちゃいますが、中2の時にアイドルをやっていたんです」冷たいコーラの缶を開けながらヒロは一口飲んだ。

 「うん、僕もビックリしたよ。ここに来る時に見た会社の新人用動画に出てるよね。僕一発でファンに成っちゃったよ。あの胸とお尻。ゴージャスで凄いのに、さっきの仕草はヤマト撫子のハジライて言うんでしょ。ミカとは全然違うよ。うん。良いもの見た」

 「いやーミカさんの方が何十倍も良いですよスレンダーで強くて。あ、いや……」

 そう言いながらヒロは少し顔を赤らめ頭を斯いた。

 (ほほう。ヒロはミカにぞっこんだ……)僕はヒロの気持ちを見抜いていた。

 「ゴホン、それは良いとして、あの動画が元でアイドルにスカウトされたんですが、彼女、イエローカンパニー小沢総一郎社長の孫なんです」そう言ってヒロは眼鏡を上げた。

 「エー!!それで小さい時からドローン、弄ってる訳だよ。ウホー。じゃあ僕は将来イエローカンパニー社長か!まいったなーヒロお兄ちゃん……。あれ?でも同い年で何でヒロはお兄ちゃんなの?」そう聞くと、ヒロはマジ顔になった。

 「僕等は小さい時から一緒に遊んでいたんです。僕の父と母は沖縄で小沢社長が前会長だった四菱の社員でした。社員と言うか小沢社長の身の回りをお世話するメイド長とボディーガードでした。震災後、四菱社長を隠居された後、沖縄で暮らしてたんですが社長の一人娘が旦那さんを震災で無くして、社長と暮らし始めたんですが、そのときユウカが御腹にいたようで、僕が生まれた次の年に早生まれでユウカが生まれました。それからずっと一緒なので、いつの間にかお兄ちゃんと。でも最初はかわいくて、しかた無かったんですがドンドン太っちゃって本人も気にするぐらい胸と尻が出っ張っちゃって……どうすればあんな風になってしまったのか……」

 「ちょっとまって、ヒロ、ユウカこそが大人の女性だよ!間違ってる!ミカなんか胸がペッちゃんこで、お尻は大きい癖に、あれこそ病気……」その時、背後に殺気を感じた。

 ヒロが閉め忘れたドアを閉めようと、ヒロの抱くおかしな女性観に夢中になって反論していたので気が付かなかったが、どうやら僕はミカザウルスの尻尾を踏んでしまったようだ。

 僕はとっさに、「と言うような事を僕の家で飼ってる、犬のボブが言ってる感じで吼えるんだよね。ヒロ」と言ってみたが既に遅く、その瞬間、ミカの平手打ちが来るのが分った。

 サッと腰を落としかわした時に突き出した、僕の尻にミカの膝がめり込んだ。

 「ぐっつつつ」又、尻が割れたと思った。

 「くくく、甘いぞユウタ、基本は合わせ業だよ?俺の技は。廊下までガンガン人の尻や胸の話を、男子寮で宣伝してんじゃネー!ユウカの事も聞こえてたぞー!」

 ヘッドロックでミカは、小さな硬い胸に僕の顔を押し付け耳を引っ張り息が出来ないのと、耳の痛さで思わず気を失い掛けた。

 「反省は?」ミカがそう聞いたので、「うごむぐぐぐ」と声に成らない声で誤った。

 「よーし」そう言ってミカがヘッドロックを解いた。

 「ゲホゲホ、酷いよ暴君ミカ、死ぬかと思った。それに又お尻割れたよこれ」

 「うるさい!だいたい犬のボブがあんな事考える訳ないだろう」

 又ギャーギャー兄弟喧嘩のようになったが、ヒロとユウカは笑いながらそれを見つめていた。

 「仲が良いですね。私達もこんな風に兄弟喧嘩をしてみたいな。ネお兄ちゃん」

 ヒロはミカの前でバツが悪いのか「あ、うん」と言って下を向いた。

 僕とミカはそれを見て、大笑いした。

 「ぎゃははは、見ろユウタ、ヒロは妹に弱いらしいぞ。うはは」

 それから4人僕のベットでピザを広げてお互いの事を話してた。

 既に、ミカもユウカの事は本人から聞いたらしく余りアイドルや僕等の両親の話はしなかった。

 お互いの事が判り、僕は本題に入った。

 「ところで、中隊選びの件だけど。ヒロとユウカはどうする?」

 ヒロはユウカを見ながら、「私はミカさんの弟子ですから、ミカさんと一緒の中隊を選びます。ただ一緒に入れればの話ですが。ユウカは私と一緒で良いのだね?」

そう言うとユウカは無言でコクリと頷いた。

 「僕もミカと一緒の中隊へ入りたいんだけど……」

 そこでミカがピザの2箱目の蓋を開けながら言った。

 「昼にナミとダンゾウが言ってたが、ユウタとヒロは要らないから俺だけ中隊に入れって言って来やがった。そこでだ、ユウタと話したが、ルーキー中隊を立ち上げるつもりだ。勿論俺が中隊長、ユウタはこう見えて、戦略、戦術は全米5位の実力だ。こいつが参謀。後は、ヒロとユウカが俺の右手左手でどうだ?ヒロはAIドローンを改造出来そうだし、ユウカはもう5体動かせるベテランだ。だがな、一つ厄介な事が有る。どうやら新参中隊はすぐ潰れて、演習であの世行きだそうだ。そこでだ、もう少し情報が欲しいんだが。二人はそれでも良いかな?と言うより、俺に付いて来ててくれないか?」

 「ミカさんが良いなら、私とユウカはOKです。そうだねユウカ?」

 ユウカは又、無言で頷く。

 「実は、私もそんな事だろうと思い、ユウカを誘ったのと、さっき部屋で中隊の新規立ち上げの方法と、ルーキー中隊を調べて有ります」

 ヒロはそう言うと壁の大型モニターに自分の認識プレートをかざした。

 「ポン、ヒロカサナ認識しました」音声が流れ、壁一面に文章や写真が表示され、部屋の明かりが暗くなった。

 プレートを壁の前に有るチェストに置くとヒロはその表示された情報を手で整理しながら、僕等に説明を始めた。

 「まず、中隊は10名以上で編成可能です。編成が許可されると、中隊長、中隊長付き参謀長、中隊メディク(医療責任者)中隊カーゴ(補給責任者)中隊会計責任者を選任します。後は、中隊に必要な小隊編成をすればOKです。今現存する中隊は殆ど戦車、AIドローン、キャノン砲戦車等を小隊単位で併用して操縦しているようです。

ブルースパイダーだけが、小隊で兵器を統一して操縦し……あれ?ここは去年新設された新人中隊で、ドイツ出身者ばかりいますね」

 中隊長のナミが何かの記念の縦を持ち、中隊員と、SMを思い浮かべるペイントのドローンが移っている写真が拡大された。

 「ふーんナミは凄い奴だったんだな。ブルースパイダーか。それでダンゾウのドラゴンはどうなんだろ?ヒロ分るか?」

 「ええ、今出しますね……これですね」そう言って、ブルードラゴンの記事が載った新聞が拡大された。

 「この記事は4年前のですが、ヌシュナイ戦で2回ブルードラゴンの指揮車がロケットランチャーの餌食になっています。 ヌシュナイは容赦ないようで年に8回は指揮車を直接狙って、うわ、九龍も合わせて98人が亡くなっています。これは酷い。そのうち20人がブルードラゴンですね。ブルードラゴンは大型戦車ばかり配備してます。猪突猛進型の戦略が中隊方針のようです」

 僕らは、紙くずのように吹き飛んだ指揮車の画像を見て押し黙ってしまった。

 「ユウタ。お前の戦略で部隊編成しよう。どうだ出来そうか?俺らの命が掛かってるが、全米8位のフォーメーションで行けそうか?」ミカはいつに無く、真剣に聞いた。

 「ミカ、大丈夫、僕のヒットエンドランとサーチアンドデストロイを実現出来れば、安全に敵を殲滅出来るよ。任せて」そう言いながら、僕はユウカを見た。

 ユウカは小刻みに肩を震わせていた。僕は僕等の部隊を守ると心の中で誓った。

 「ユウカ大丈夫、ミカさんが守ってくれるって」ヒロはそう言って、ユウカの頭をなでていた。

 「うん。お兄ちゃん大丈夫」さすがお兄ちゃんのヒロだと思ったが心無しか、ヒロの手も、少し震えていた。

 「よし、じゃあ明日からは俺が守ってやるから全員俺に付いて来い!それで明日から何をしようか?」不思議とミカが言うと、皆、根拠は無いが安心出来た。

 「まずは、AIドローンを沢山動かせるように、私が教えますゥ。一人15台を目標に特訓しましょう」ユウカがタンクトップの大きなバストを前に突き出し、腰に手を当て自分を鼓舞するようにベットに立ち上がって言った。

 「おお、凄いユウカ」僕はユウカの張り出した胸と意気込みを褒めて言った。

ミカが「でもユウカのそれ良いな、おれも早く欲しいなァ」と言いながら人差し指で張り出した胸の下から突いた。

 「きゃー、ミカさん止めてください」ユウカがベットにうずくまると「げへへ、おじさんに見せなさいユウカ、おじさんのも見せてあげるから」と言ってユウカのタンクトップに手を滑り込ませながら、自分のタックトップをズリ上げだした。

 それを見たヒロが突然呻いた。「うう……」鼻から血を出してヒロはトイレに駆け込んだ。

 「ミカ、ヒロが鼻血出したからストープ」ミカはキャッキャとはしゃいでる。ユウカも笑っていた。

 トイレから声がして、「ユウカにドローンの操縦を教えて貰いながら、人も集めましょう」

鼻を摘んだような声にミカとユウカは僕のベットでゴロゴロ転がりながら大笑いしていた。

 笑いながらミカが「ヒロ人集めは任せろ、明日から勝手に集まるから」そう言って又、ユウカとジャレ始めた。

 (明日から又、ミカの武勇伝説が始まるのか)僕は笑いながら二人を眺めた。


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