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YellowCompany/Co.jp  作者: BloodyBishop
ルーキー
2/11

YellowCompany/Co.jp

 僕の名前はユウタ。

 ミカと僕はワシントンDCで生まれ育った。

 年も一緒で日本人。

 家も隣同士の幼馴染と言う事で兄弟のように育った。

 両親が日本から避難する飛行機で、たまたま隣合わせた母親同士が妊婦だった。

すぐに意気投合して仲良くなり、家まで隣同士でわざわざ購入したらしい。

 暫くして、ミカが街の病院で朝早くに生まれた。

 付き添いで付いて行った僕の母さんも、その場で産気付いて、六時間後に僕が生まれた。

 だから双子の兄弟のように仲が良く、ミカは時間が早く生まれたので、

「お姉さんと呼べ」

と言っているが、お互い隠し事なしに何でも話す兄弟以上の存在だと思ってる。

 ミドルに入学した頃、僕が毛が生えてチクチクすると言うと、ミカは見せてみろと、お互い見せこしたんだけど、その時、ミカはツルツルだった。

 お姉さんとしては何でも先じゃないと気がすまないミカは、次の日、油性マジックで黒く塗って来たのにはビックリしたけど、それから何度も見せろと自分の毛が生えるまでしつこく言って来た。

 今でもよく二人でシャワーを浴びたりすると、僕より少し濃くなった事で、威張りたいのか、自慢気に見せびらかしてくる。

 ともかく負けん気で男勝り、運動が得意な上に、アメリカの軍隊格闘術マーシャルアーツを子供の頃から習っているので喧嘩も強い。

 ミカの趣味は家来を百人作る事。

 地元では喧嘩が強い奴らを、喧嘩でねじ伏せ、百人は家来がいる。

 女のくせに地元のボスなのだ。

 そんなミカが、生まれた時から何時も僕の側に居るので、おかげで僕の理想の女性はミカの母さんと僕の母さんのようなグラマーボディーで、おしとやかな日本なでしこが好きになった。

 だから最近、チョット胸が腫れた程度の暴君ミカは、僕の理想の女性からは程遠く、姉と言うよりも、強い兄貴として尊敬さえしている。

 僕はと言うと、ボーとしてる事が多いらしく、周りでもミカの弟で通っていた。

 でも僕にも得意な事は有る。

 戦略ゲームの大会で、去年、ミドルクラス全米2位になった。

 イエローフラック社で運営するゲームで、戦争シュミレーション。

 一般の部では5位だったけれど、ミカはそんな僕の事が自慢らしい。

 他の事は、歴史と理科が得意な他は人並みだ。

 運動は嫌いで、日本語も少し苦手だったが、これから入社する会社は日本語が日常会話なので、何故か日本語が得意なミカからみっちり教わった。

 そんな僕らがミドル(中学校)を卒業した後、親元を離れ日本人が皆そうするように、イエローカンパニーの新入社員となった。


*********


 今年の春、僕らはワシントンDCから黄色いジャンボジェット機に乗り、7年間の新人研修が行なわれるイエローカンパニースクエア支社に向かっていた。

 ミドルスクール(中学校)を卒業すれば、日本人で九龍地区、ヌシュナイ地区に住む子達は、それぞれの管轄地区に有る教育機関に入社する。

 でも僕らアメリカ組みと中国、ロシア(日本人自治区含む)以外に住む、”逃れた者”の子は世界中から旧四国に有るスクエア支社に集められる。

 旅費は全て会社で出してくれ、親元や友人と離れる事は辛いがドローンを操る事が出来ると思うと我慢できると思っていた。

 でも、やっぱり海の上を飛んでいると、生まれ故郷のワシントンを離れるのは辛い。

 いつもそばに居るミカも一緒に行くので少しは気がまぎれるけど。

 そのミカは、機内食を食べてグーグー寝ている。

 (ハワイで降りたらとりあえずミカを誘って外の空気を吸おう)

 機内TVでは、昔日本で大人気のアニメをやっていたが、日本語のスラングが多いせいか、ちっとも面白くない。

 スラングに詳しいミカは隣で寝ている。

 つまらないので、僕は会社から送られて来たマニュアルを開きながら、機内放送で、会社の入社の手引きが有るのを知ったが、その中に、ドローンシステムの解説も有る事を知った。

 僕の得意な戦略ゲームの実写版みたいな物らしいので、それを見る事にしたのだが、もう一つ、番組表のモデルが、僕の好きな黒髪の大和撫子で、何よりミカと違って胸が大きいと言う理想の彼女にも興味が有ったのだ。

 前の座席の後部に取り付けられた液晶パネルをタッチして、ヘッドホンを付け、スタートした。

 「皆さんようこそ、イエローカンパニーキャンペーンガールのユウです。

これから皆さんに当社の入社に当たってのナビゲーションを勤めさせて貰います。

よろしくネ」

 無駄に水着を着たユウと名乗る少女は、ミカと違って出る所が出ていてとてもカワイイ子だった。

 (フフ、ナイス!)

 そう思いながらユウに見とれた。

 YellowCompany/Co.jpと社名が出た後テロップで文字が流れた。

 会社理念

 失った日本国をもう一度取り戻す事

 基本方針

 旧日本国の残った領土の九州、北海道、四国を買い戻す事

 大きな文字で表示された後、ユウがナレーターをしながら次々画像が流れた。

 「設立は当時世界中に散らばった日本企業が、震災後に合併し設立されましたぁ

 元日本で扱った商品の殆どをイエローカンパニーブランドで世界中で扱っていますゥ

 世界の最先端技術の4割はイエローカンパニーで開発され、武器製造やAUDの傭兵派遣 も扱っているいますぅ」

 語尾がとても気になるナレーションだが、相変わらず意味の無いブルーのビキニが眩しい。

 動く度に大きめの胸が揺れる事に新鮮実を感じ、揺れる事の無い隣でぬいぐるみのバックを抱えて寝ているミカを眺めた。

 ミカがこの水着を着ている事を想像して思わず小さく吹き出した。

 多分、ハンバーガーショップのラージサイズジュースの紙コップを逆さにして、水着を付ける雰囲気と表現すれば解りやすい。

 またモニターに目をやると、ユウにとても癒された気分になった。

 (歳は同じ位だから、会社で会えたりして)そう思いながらタッチパネルで先に進んだ。

UADシステムと文字が表示され解説が続いた。

 「UAD”Unmanned Aerial Drone (無人操縦ドローン)”通称ドローンシステム。

 日本民族だけが扱う事を許された特別なシステムで、製造、販売、操縦、メンテナンス、技術指導も含め、全てのライセンスは日本民族、なおかつイエローカンパニー社員にのみ発行されますゥ。

 UADシステムは、通信システムと稼動システムに分かれ、通常二足走行ロボット(AIドローンと呼んでいる)を遠隔操作しますゥ。」

 ここから何故かナレーションが男の人に替わった。

 癖が有りすぎて、ビジュアルオンリーのユウを使う製作会社の事情が手に取るように分かった。

 とても聞きやすい声に変わった事とAIドローンの映像が出て来たので、改めてこれからエンジニアの卵に成る事にワクワクしながら画面を見た。

 「何台ものAIドローンを、操縦者一人が操縦できるシステムで、熟練者は50台のAIドローンを同時に操作出来る者もいるが、一般に15台以上を操縦する事がライセンス発行の基準である。

 通信可能であれば、自宅操作も可能で訓練次第で20ヶ所の別々な場所でのAIドローン操作が可能、年齢、性別、健康、不健康に関係無く扱える」

 ユウが登場し、体にフィトしたスーツを着てフルフェイスヘルメットを抱えている。

 全身スーツの胸と腰から下がはち切れそうな映像に目眩を覚えた。 

 「操縦者はフルフェィスの操縦用ヘルメットと全身スーツを着用。

 操作中は動けないため注意が必要で、操縦時は操縦用シートの上で仰向けの状態となる。

 紛争地区、対テロ行動のミッションでは、指揮所を狙われ易いため通信可能な距離の装甲指揮車両から操作し[操縦者が生存する限り予備のAIドローンを補充可能で有れば何度でも行動可能なため、あたかも無敵の軍隊や対テロ部隊となり、現在では諜報活動にも頻繁に使われている」

 ユウの映像が変わり、画面は戦闘シーンになった。

 最新の戦車や、戦闘機が砂漠や何処かの国の街をバックに作戦行動している中に、AIドローンの映像も混じっていた。

 デザート(砂漠迷彩)やウッドランド(森林迷彩)塗装されたロボットが小銃や砲火気で、人間のように動き回っている。

 (うわーカッコいい!!)

 「最近では、AI(Artificial Intelligence人工知能)機能が内臓されているため、操縦者無しで、単純作業が可能な自立稼動ロボットでも有るAIドローンは、世界中の病院、駅や空港等の運送関係の現場で見る事が出来る。だが未だ高価なため一般家庭では余り使用されない。 特に、消防、救急、危険な場所や工場での組み立て作業,海底,火山調査、宇宙探索用も開発中であり、必ず日本人技術者、操縦者とが必要とされ、イエローカンパニーの社員がライセンス発行の条件の為、現在、世界中で日本人が活躍し、会社に利益もたらしている」

 凄いと思った。

 僕とミカのお父さんは、AUDシステムの開発者だ。

 父さん達の仕事がこんな凄い物を開発している事に、改めて誇りを感じた。

 画面は偉い人がインタビューされているシーンになった。

 「現在、各地区の日本人自治区内は、社用地として殆ど買取りが終了し社用地は支社社屋と工場、元難民キャンプには社員寮として巨大なマンションが建設され、社員と家族が生活している。 

ただ各地区にはそれぞれの国の駐留基地が有り残り自治区以外は瓦礫のゴーストタウンで有り、一刻も早い諸君のUADシステムの習得を待ち望む。

 そうして、残りの放置された国土を手に入れるために、会社に貢献し勉学に勤しんでほしい」

 会社代表の小沢総一郎社長が、水着のユウからインタビューされる絵は、素人の僕が見ても…痛い(こう言う時はそう言うとミカから教わった)と思った。

 「では皆さーン、ライセンス取得のために7年間勉強してェ、3年間は、最も会社が利益を上げる紛争地への傭兵依頼をこなせるように軍隊経験を積んで頂きまーす」

 何か気の抜けたコークを出された気分になるユウの棒読みナレーションに苦笑したが次のシーンに思わず顔が緩んだ。

「ハイクラス(高校)、カレッヂクラス(大学)で勉強しながら、オフィスライフをエンジョイしましょう!ユウも来年、入社しますゥ」

 (製作は去年か……やったーユウちゃんとエンジョイ!オフィスライフ!)

 そう思うとドローンシステムを操る楽しみと、たった今ファンになってしまったユウに会えるかもしれない事がとても楽しみになった。

 最後には液晶画面のテロップに、これから行く”スクエア地区の海岸で撮影”と文字流れ、ユウが青いビキニで白い浜辺の打ち寄せる波ぎわを走る映像が出た。

 黒く長い髪がサラサラとなびき、駆ける度に揺れるビキニトップを見ながら(これだ!)と何かを確信しながらワクワクしていると機内放送が流れた。

 「ただいまから、ホノルル国際空港へ着陸準備に入ります。引き続き二時間後にスクエア地区米軍基地へ向かい……」

 「ユウタ、お前、又誰かを、あ添乗員をジロジロ見てエロな事考えてたろ。顔が緩みすぎ……」いつの間にかミカが起きていた。

 「フフ……、良いもの見た……。とても満足」

そう言うと、ミカが液晶画面に映る、ミカには出来ない、揺らしながら走るユウを見て、

「あ、ユウタ、この女の乳にムラムラしてるな!俺だってな、その内こうボーンとなるんだよ、ボーンと、そうなったら穴が開くほどユウタに見せてやるから……」

 ミカは相変わらず自分に無い物に対抗心を燃やしているようだ。

 (僕の青春はここから弾けるかも)そう思いながらミカの話を適当に聞いていた。

 飛行機の窓の外を眺めると快晴で海は青く、ハワイの砂浜はキラキラしていた。

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