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YellowCompany/Co.jp  作者: BloodyBishop
ブルーファントム中隊!初陣
11/11

IntrasquadDesertGame

 見渡す限り黄色い砂が海のように広がっている。

 砂の丘陵が大海原の荒れた波のように見える。

 デザート(砂漠)とは良く言ったものだ。

 黄色いスポンジケーキ……いや冷たいジェラートに見えなくも無い。

 旧四国の海岸沿いから内陸に600km以上続く砂漠地帯。

 本州が無くなったせいで中国大陸から季節風で運ばれる中国大陸奥地のオルドス、ゴビ砂漠の砂が、ここに降り積もり砂漠を作っているのだ。

 そして、太平洋の赤道に近くなったスクエア地区は冬でも暑い灼熱の砂漠地帯となっていた。

 だが、夜は地表の熱放射で一気に一桁まで温度を下げる。

 太陽が昇り、冷えたデザートの上にはキラキラと水滴が溜まり、まるでコーヒージェラートにまぶしたアラザンのように銀色に輝いている。

 そこに六個のキャタピラをキャラキャラと音を立て、巨大車両の一団が丘陵地で囲まれた場所に向かい走っていた。

 車体にはそれぞれのシンボルキャラクターが描かれ、その中に胸元が大きく開かれた黒のセーラー服に黒タイツ、長い尻尾と猫耳のマスク、両手で大きな草刈鎌を抱えて前傾ポーズを取るアイドルユウのシンボルキャラクターの指揮車も混じっていた。

 キャラクターの下には新しく貼ったばかりのRED JuliettBattalion。

 ボディーにはBlue Phantom Companyと大きく書かれていた。

 一団の通過した後にはキャタピラの後がワッフルの筋のように残されていた。

 その後から各中隊のカラフルな重戦車や大型迫撃砲を牽引したトラックが続く。

 「停車!これより作戦展開する。 全員一旦フルフェイスを取り整列!」

 指揮車のコックピット上部の指揮者専用ポッドが後方に向きを変え、中隊員が整列する方向を向き、その中に中隊長ミカが立っている。

 その下方の両サイドに僕とソーリが立ち、操縦スペースには教授が立っていた。

 恐らく外はまだ寒いのだろうが、指揮車の中は空調が効いて快適だった。

 「おはよう! 今日が俺達ブルーファントムの初陣だ。 今まで練習して来たフォーメーション通りここで展開してくれ! それ以上は言わない。 やる事はやった!」

 ヒユリの足がガタガタと振るえマユカが横で支えていた。

 「ここで全員、一斉に好きな言葉を大声で叫べ! 良いか? ワンツースリで行くぞ!」

 ミカがゆっくり「ワン…ツー…スリー!」と言った。

 次の瞬間「死にたくないー!」

 マユカの声が一番大きく聞こえ他の叫びがかき消された。

 一瞬沈黙が車内を包んだ。

 するとマユカはさっきまで震えていた震えが嘘のように止まり、見違えるように凛として立ち、周りのメンバーの顔付きも代わっていた。

 「よし。 全員俺が死なせない! 全員俺に続け! 作戦展開! 配置に付け!」

 そう言うとミカはヘルメットを付け、指揮ポッドの椅子に座り元の位置へ向きを変えた。

 「ソーリ! 目標配置時間カウントダウン! 教授! ガルウィング開放 歩兵ユニット降車! 各歩兵小隊、俺に続け。」

 ミカが作戦命令を復唱し各自が「クリア」と結果報告する。

 ここはグリーンゾーン(敵攻撃圏外の安全圏)。

 開戦前の待機地区に居る。

 開戦スタート地点、師団陣形の中央右翼前面に到着し僕らは待機していた。

 「目標時間、後40分、開戦時間まで後60分」

 ソーリが工兵車両を展開しながら残り時間を報告する。

 「マユカ! ペッパープリン中隊はどうなっている。 合流出来たのか?」

 「イエ、まだ来ません」

 「教授、奴らが来ない場合の作戦ダメージ!」

 「はい、補給と砲科ですから来なくても100パーセント行けます。私とマヒロ君で事足りますね。 高々AIドローン15体。 むしろ合流した時の方が80パーセントダウンする計算です」

 「俺達と同じ初陣に隊列乱して何処にいるんだ? マユカ通信出来るか? ヒロヒト、スナイプ1体後方に回して探して来い。 サンドバギー使って良いぞ」

 ミカは次々と激を飛ばして行った。

 喧騒の中、僕は1週間前の紅白戦大隊作戦会議を思い出していた。

 

 8月の紅白戦は各地区内で二手に分かれて行われる新人歓迎戦のような物だ。

 各中隊内の新人が役割分担を何処までこなせるかを中隊長が判断する場所でもある。

 大概は後方支援に配属されるが、僕らファントムと最後まで入隊をしなかった新人だけで組まされたペッパープリン中隊は、前線配備をしなくては行けなかった。

 「お忙しい中お集まり頂き恐縮です。 俺はドラゴン中隊所属、レッド師団長のノブナリです」

 「ユウタ、ダンゾウのオッサン。 前列にこっち向いて座ってるけど偉いのか?」

 幹部席に座る大きく厳つい体を小さく畳んで資料を見ているダンゾウがミカに気が付いて小さく手を振った。

 「うわ! キモイ! 可愛く手を振るなオッサン」

 小さな声でミカが呟いた。

 「すいません。 ミカ中隊長、ちゃんと聞いて下さい」

 ソーリが真剣な顔でミカを諭した。

 今日は中隊長、参謀、カーゴ(輸送調達)、会計の中隊4役が召集されて居た。

 「ホワイト師団の師団長はスパイダー中隊のナミ大佐だ。 では師団付き作戦参謀ユリ少尉頼む」

 「はい、コブラ中隊所属の師団付き作戦参謀ユリ少尉です。 これから作戦発表の前に、恐らく敵が取る作戦の概要を説明します。 スパイダー中隊のトリッキーな作戦は……」

 暫く敵戦力と作戦展開を説明し、質疑応答の後、各中隊の割り振りが発表された。

 「アルファ大隊はフラックポイントを防衛します。 本営陣地はシャドー中隊、ワーム中隊、グリフォン中隊、シャルル中隊、大隊長はシャドー中隊長イッセイ大佐。 ここは……」

 巨大スクリーンに展開ポイントと大隊組織図、配備兵器一覧表等が映された。

 「ジュリエット大隊はドラゴン突撃機甲中隊、ビルコナー中隊、ヤード中隊、メイプル第3突撃騎兵中隊、ファントム中隊、ケツアルクワトル突撃工兵中隊、ペッパープリン中隊。 大隊長はドラゴン中隊ダンゾウ筆頭大尉。 前線突破と後方迫撃砲での敵前線部隊に当たって貰います。 くれぐれも、敵の挑発誘導には乗らず、任務遂行を旨として展開して下さい。 次に……」

 「おい、ユウタ。 おっさんが俺等の大隊長だってよ。 最悪だ」

 ミカが小声で言った。

 その後、各大隊に別れミーティングをする事になった。

 「J大隊長のダンゾウです」

 背が高く大きな筋肉質の体をした金髪のダンゾウは軍人のようにシャンとした姿勢で挨拶した。

 「我々コードネーム、ジュリエットブリッツバタリオン、電撃打撃部隊は初期配備箇所が中央右翼前面。 そこから電撃移動して敵よりも先に高台のポイントジュリエットを奪取。 砲科陣地を築き、更に前進します。 各中隊の工兵小隊を護衛しながら進軍します。 移動速度の遅い中戦車と重迫撃砲部隊到着まで、機動力の有るM26パーシング重戦車、M10ウルヴァリン自走砲、M15 GMC自走対空砲トラックが先行し、後方からM7プリースト自走榴弾砲で援護します。 各スナイパードローンは高軌道サンドバイク装着で砲科陣地を超え、点在する崩壊ビル郡を偵察。 敵スナイプを排除しながら廃墟に隠蔽配備される兵器と部隊規模を速やかに報告してください。」

 大きな会議室は大隊長の声以外、何処の集団も無駄口一つ無かった。

 普段、教育棟で見る先輩達とは思えない程、真剣に全員メモを取りながら聞いている。

 「あの-、大隊長さん。 どうでも良いけど俺等は何をすればいいんですか?」

 さっきから面倒臭そうに、小声で喋り会ってはクスクス笑う集団の一人が質問した。

 「ん? お前等は……えー」

 「ああ、俺等ペッパープリン中隊。 俺が中隊長になったショウタロウです」

 「おお、有った。 お前達の中隊はドローン操縦可能数が少ないので……これだけか?

今まで何をやっていたんだ?」

 ダンゾウが呆れ顔で聞いた。

 「いや、そんな聞き方無いでしょう。 大体何も教えてくれない会社がおかしいし、あんたらも聞いちゃいけない雰囲気作って俺等を寄せ付け無いじゃ無いですかそれに……」

 「おい、うるさいお前黙ってろ」

 ミカがショウタロウを睨んだ。

 「おい、あいつ同期のカンフー女だぜ、殴られるからやめろ」

 ペッパープリンの連中がヒソヒソ話をした後ショウタロウが納得の行かない顔をして続けた。

 「んで? 何したら良いので?」

 挑発的な態度でダンゾウを小馬鹿にした態度で聞いた。

 「まあ、良い。 ブルーファントム中隊ミカ少尉、ショウタロウ少尉以下ペッパープリン中隊は貴下の中隊に編入。 カーゴ部隊と迫撃砲部隊として使ってくれ。 これは師団長からの指示だ。 両少尉。 良いな?」

 「え? カンフーギャルの下ですか?」

 又4人でヒソヒソと話、クスクスと笑っていた。

 「殴らないでくれよ、ミカちゃん」

 さすがのミカも怒るよりも呆れていた。

 「ああ、お前等も足引っ張るなよな」

 「あー、ではこれから1週間の大隊合同練習に尽いて話します」

 紅白戦までの残りの日程は大隊単位でフォーメーション演習を行う事になった。

 その話の最中もペッパープリンの連中はヒソヒソと話をしてはクスクス笑らっていた。

 

 紅白戦までの毎日は、ダンゾウ大隊長率いるコードネーム、ジュリエットブリッツバタリオンのフォーメーション演習が続いた。

 だが、ペッパープリン中隊は最初の二日間だけ参加していたが、残りは中隊のドローンの操作数を増やすと言う名目で、とうとう最終日の大隊ミィーティングに中隊長のショウタロウが参加しただけだった。

 「まあ、あいつらは当てにしていない。 ブルーファントム中隊が新人部隊以上の働きをしてくれそうだから良しとしよう」

 ダンゾウはそういっていた。

 「ただ、馬鹿な事をして大隊に迷惑をかけなければそれで良い。 ミカ中隊長、そこだけ頼む」

 結局ミカが新人2部隊を総括する事になった。


 「すいません、ミカ中隊長、残り30秒で開戦です。 25秒…20秒…」

 ソーリが開戦開始カウントを読み上げ始めた

 「全員所定位置にスタンバイOKだな? ユウタ参謀」

 「全員スタンバイOK。 いつでも行けるよミカ」

 次々とスタンバイOKと言う各小隊からの報告を受け、ミカに結果を伝えた。

 「ファントムカンパニー全小隊オールグリーン、スタンバイOK。 作戦行動開始指令受諾。 開戦! ミッションコンプリート! 中隊長、ミッションスタート」

 ソーリが静かに言った。

 「全小隊! 行くぜー! ロックンロール!」

 ミカが作戦開始命令を下した。

 フルフェイスの操縦用ヘルメットにメタバンド、ブラックエンジェルのヘルファイアキックアスをガンガンに流し、15体のスナイプドローンにサンドバイク(砂漠用2輪バイク)ユニットを装着し、時速120Kmで目的地に爆走する。

 各中隊のサンドバイクの先行隊が一斉に砂塵を巻き上げ目的地目指してスタートした。

 ポンと音がしてミッションが表示される。

 [開戦開始□□ミッション□□開戦開始∩各隊進軍開始□ □メッセージ□□チーム勝利の為健闘を祈る。 レッド師団長ノブナリ□]

 何処までも続く砂漠の映像がヘルメットの各ドローンが伝えて来る画面に映しだされる。

 15体全てが黒いセーラー服に黒の猫マスクを付けたアイドルユウで二つの車輪が腕と足に直接設置され砂塵を上げて爆走している。

 左右には真っ赤なサソリのドローンバイクや黒い皮ジャンを着たロックスター等、仮装パーティーのチキンレースのような風景だ。

 後ろの映像を確認すると、砂嵐のように砂塵を巻き上げ、まるで荒野を群れで走る野生のバッファローのように、巨大なうねりを作り、戦車や補給車、各種砲科を牽引するトラックが移動していた。

 二時間後「それじゃーハルカ大尉、このへんで!」

 ケツアルクワトル突撃工兵中隊の黄色と赤で派手にペイントされたアステカの戦士の一団に別れを告げ、ポイントジュリエット(ポイントJ)の丘陵地を越え、仮想フロントライン(敵と対峙するで有ろう予測の前線)に向かう。

 ケツアルクワトル突撃工兵中隊は丘陵地の前面に地雷を設置するのが任務だ。

 「じゃーねー! 気を付けてネ。 オナボナルーチャ(良い戦いを)」

 メキシコ出身のハルカ大尉の一団と別れた。

 それから1時間後。

 「後方支援小隊、砲科小隊、ポイントジュリエット到着。 作戦行動に移ります」

 「ソーリ守備ポイントに工兵展開、塹壕及び障害物設置、予想進入経路に対戦車地雷原展開」

 次々とポイントジュリエットに到着し、作戦展開を始めた報告と指示がヘルメットに流れ込んで来る。

 「ユウタ、前衛スナイプ配置完了か? こっちは30分後に待機ポイントに到着」

 「ああ、ミカ。 見えて来たよポイントの廃墟。 マーカーで出しますよ。 それから偽装明細始めます」

 僕らのAIドローンマスコット、アイドルユウ表示を透過モードに切り替えた。

 スナイパーと言う仕事は、敵に見つから無いように高い所に隠れ、敵の位置を伝えたり、迫撃砲の操縦ドローンや輸送トラック等を狙撃銃で破壊したりする。

 実戦では、敵の司令官や要人を狙撃したり、行軍中の部隊を足止めしたり。

 集団で行動はせず単独で何日も同じ場所で待機しなければいけない孤独な仕事だ。

 「ヒロ、ヒロヒト! プーリスト小隊は配置に付いたか?」

 「クリア。 配置完了」ヒロの回答とすぐにヒロヒトがそれに続いた。

 「周辺クリーニング(偵察)完了。 オールグリーン(安全確認)」

 ヒロ達も配置に付いたようだ。

 「ユウタ、これから打撃遊撃隊がそちらに向かう。 砲科陣地が整い次第、見かけた車両はヒロで駆除だ。 ヒロ、ヒロヒト、10分撃ったら即平行移動だからな! 忘れるな!」

 どれだけ最新技術が発展しても、戦車とキャノン砲(迫撃砲、山砲とも言う)は無くならない。

 相手が移動している場合、それを狙ってミサイルを遠距離から発射し、命中させるのは困難なのだ。

 止まった状態のターゲットを的確に駆逐するためには、近距離でなければいけないので、未だ戦車が存在したし、近距離ではロケット推進弾はターゲットを破壊する速度に達するまで不安定で使い物にならなかった。

 火薬で砲弾を飛ばすのが最も効率が良く、コストも安く大量に生産出来るのは大砲が発明された時から変わらない法則だった。

 そう言った理由で、迫撃砲も未だには存在しているのだが、同じ場所で打ち続けると、敵に発射地点が予測、露見され、飛距離の長い大型迫撃砲の逆襲が有るため迫撃戦術の常識として撃ったら移動する、の繰り返しとなる。

 戦車も同様で、命中精度を上げる為には、走行を停止し相手を狙い撃つ。

 逆に撃ったら移動しないと残った戦闘兵器から砲撃されるので直ぐ移動する。

 迫撃砲も戦車も同じなのだ。

 廃墟群の入り口に有った高いビルの屋上へ駆け上がり、丁度見晴らしの良い場所へ移動した時だ。

 「キン」と言う音がした。

 ドローン脇を15mm弾が掠ったようだ。

 急いでドローンを伏せて、恐らく狙撃して来た敵スナイプドローンの方向を確認した。

 「早いな、もう敵のスナイプドローンが展開している。 相手がへたくそで良かった」

 大隊に報告文を送信しながら、ヒロとソーリ、教授が改良してくれた超望遠カールツアイズレンズと赤外線スコープを作動させて、残りのシステムはダウンさせた。

 こちらと同じように敵も工学迷彩で透明になって居るので、間接等の駆動モータや電源ユニットの熱で赤く見える赤外線スコープが頼りに成るが。

 (思った以上に、太陽の熱で地面が真っ赤だ。 どうしよう)

 スナイプ演習でも経験はしていたが、思った以上に赤外線スコープは役に立たなかった。

 だが、ラッキーな事に敵も同じで、目視してこちらを撃って来た事に成る。

 (この方向で、目視出来たと言う事は1000m以内。 で、同じ高さの廃墟は……)

 ゆっくり敵が居るであろう場所を見た時だ。

 突然爆裂音と共に、狙撃された6号機の通信が途絶えた。

 周囲に展開している別のドローンの映像を見ると、高いビルの屋上に前方から迫撃弾が雨のように降って来て、ビル毎破壊されていた。

 「ぐっ…。 ミカ、1体やられた。 敵が近くで迫撃砲陣地を作ってる。 まだ接触したばかりで位置が掴めない。 ヒロ、この地点に迫撃要請! 良い?」

 「了解! 射角OK。 行きます!」

 こちらも15km先から、ヒロのM7プリースト6台が連続射撃で105ミリ瑠弾の雨を廃ビルに降らせる。

 2分後砲弾がヒューと言う音と共に6発づつ1分措きに6回ビルの屋上に炸裂した。

 粉塵を撒き散らしビルは崩壊したが、ここから1歩も動けない。

 恐らく敵のスナイプドローンが展開しているはずだ。

 (でも、超望遠レンズで相手を見つけられるはず)

 高いビルを片っ端から破壊して行く手も有るが、廃墟群の数が多い事とこちらの展望ポイントも失う。

 (ともかく隠蔽移動しないと)

 ヒロが迫撃弾を撃ち続ける間に音と砂塵に紛れて残りのドローンを10体高い廃ビルに紛れこませた。

 教習の通りに瓦礫の中から熱を反射できそうな物を被り回りを監視すると、1000m先の高いビルに何体か空間が変にゆがんで居る場所を見つけた。

 今の所、僕のスナイプドローンのように1200m先を見る事が出来るドローンは無い。

 (流石、ドローンお宅の師弟トリオ。 バッチリ見える)

 1500mまで狙撃可能な重スナイパー銃を構え狙撃ポイントを指定。

 「行け!」

 ヒロが徹夜で入力調整してくれたスナイプドローンは次々と空間のゆがみの有る場所に15mmDDM弾をぶち込む。

 5箇所同時にバチバチと火花が飛び散り、頭が吹き飛び駆動用の重要機能を破壊された敵のドローンが光学偽装を解き本来の銀色ボディーを晒して転がっている事を確認。

 「よし、5体駆除。 エリアクリーニングに入る。 前進。」

 後はミカ達の電撃打撃部隊が到着すれば、歩兵ドローンでここを入り口に奥まで歩哨行動を取れば、砂漠の廃墟の小島は占拠出来る。

 後方に待機させたスナイプドローン4体を更に前方に展開させながら、その先を注意深く偵察させた。

 午後3時を回って、ビルの影が長くなっているのが解った。

 遠くから単発のスナイパー銃と105mm迫撃砲の炸裂するドーンと言う音が聞こえて来る。

 どうやら、本格的な敵との遭遇は無いようだ。

 紅白戦は始まったばかりだった。

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