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Another World

 パラレルワールド(多元的宇宙)というアイデアは、単なる空想の産物とは言い切れない。いくつかの科学理論に基づけば、当然視できる部分もあり、検討に値するものだ」

 粒子物理学者 オレリアン・バロー

 

 「我々が説明するのは、量子論において、この宇宙は唯一の存在または歴史なのではなく、存在しうるあらゆる歴史が同時に存在するのは何故かという点だ。」

 理論物理学者 スティーヴン・ホーキング


 私達が住む世界と同じ世界がもう一つ何処かに存在する。

 同じ宇宙の同じ惑星、地球。

 時間さえも同じ時を刻むのだが、歴史は何かのきっかけで,鉄道の線路のように分岐し、景色の違う別の路線へ走り始めるのだ。

 この世界は私達と別の世界、だが極めて近い沿線を走るパラレルワールド。


2043年2月

 この世界の日本は、連続プレート崩壊による大地震によって、本州は海に沈み、国民と国土の6割を失った。

 残った国土も津波によって半壊。

 国は崩壊した。

 残った九州、北海道には隣国の2大国ロシア、中国が救援と称して軍隊が派兵され、九州は中国人民軍、北海道にはロシア軍が駐留し,そのまま居座った。

 この時期、台湾返還を巡って,アメリカと中国は対立していた。

 中国は制空兵器や中国初の空母、大型戦略潜水艦を多数竣工させ、今年になって、先延ばしされ続けて来た、台湾返還を中華民国政府(台湾)に迫ったので有る。

 この状況に世界は、同盟国のアメリカと韓国、日本の出方を見守っていた。

 どちらかが強行すれば、アジアの火種が世界を巻き込み、大戦になり得る事を恐れているのだ。

 それだけでは無く、ロシアも旧ソビエト連邦解体後、独立した近隣諸国を、もう一度属国化するために、外交圧力と従わない隣国には軍事介入を繰り返していた。

 そのタイミングで起きた日本国崩壊のニュースは、全世界を震撼させた。

 その中で、中国、ロシアの軍隊派遣は、日本本土が沈んだ大海原の領海権と豊富な海洋資源を狙っての行動だと誰もが思った。

 しかし、両国は被災者に対して、世界与論が絶賛賛美する程の人道支援を行い、九州、北海道は日本人自治区として開放され、短期間で復興されて行ったので有る。

 無傷の沖縄と太平洋側に大きく移動し、地上の全てが壊滅した四国には、かなり遅れて、アメリカ、韓国軍が上陸しだが、生存者は千人程しか発見出来ず、ライフラインを経たれた生存者は全て沖縄に搬送された。

 世界メディアは一斉に友好国の遅い救援とアメリカを酷評した。

 その後、無人化した四国はアメリカ軍がそのまま駐留し、中国、ロシアを牽制、監視するため基地が建設された。

 そんな中、世界では有る噂が広まった。

 この地震は何者かによって人口的に起こされたものでは無いかと。

 余りに早い二国の行動と、政治家、経済人を含めた日本の要人達が、日本から多数出国していたとタブロイド誌が報じると、噂は世界を駆け巡り、当時、伊豆小笠原海溝付近を航行中の多数の艦船が海中が盛り上がりキノコ雲を見たと言う話まで出て来た。

 しかし、それを証明する手立ては無く、暫くすると、ただの噂として人々から忘れ去られて行った。

 日本本土の有った大海原は、こうして三大大国がそれぞれの思惑と利権を巡って対峙する場所となった。

 数年後、国連では中国、ロシアが九州、北海道の領有権と領海権を主張した。

 だがアメリカ、韓国外相は真向から対立、日本復興が本筋だと唱え、最近ロシア隣国のEU加盟国に武力侵攻を頻繁に行なうロシアに、危機感を抱くヨーロッパ各国もそれに賛同し、決議では反対多数で却下されたが、国連決議には何の効力も無い。

 両国は軍の駐留を続け、独自の主張で領海を確保、三つ巴の牽制状態が続いた。

 それから、全ての事態は硬直したまま数年が過ぎて行った。

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