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魔法少女アシストあすか  作者: 秋町あいち
7/7

第7話 歓迎遠足突入なんだよ

「あんの腐れパイナップルもぐらハゲがーっ!」


 以上がこのはちゃんの今日のお昼の一言目でした。最近は学校が終わるとすぐに研究所へと向かうので、お昼休みが一番話す機会があります。


「校長先生たちのことののしっても、もう遅いと思うよ…それにもうすでに学校行事とかしてるし」


 私はいちおう先生方のことを少しばかり擁護しますが、このはちゃんはそれにはめげません。


「去年の全校集会で歓迎遠足50kmは廃止の動きで決まっていたのにっ!もう、あれは遠足じゃ断じてないっ!ただの行軍訓練よっ!」


「えー。でも、冬季行軍訓練は訓練が終わったら実質スキー合宿で好きなんだけどなー」


 のどかちゃんも擁護しているような微妙な反応な気がします。それに対してカノンちゃんの反応は、


「…みんなタフなんだね。それにしても50km…帰りはバスだとしてもかなりの距離なんだね。バナナもおやつに入るとか」


 と割と乗り気な感じで、一度経験してみたらどういう歓迎の仕方なのか聞きたいくらいのものだと気づいてくれるはず…。


「むしろ補給物資であるおやつは必需品よっ!前もって備蓄しておくことは当然として、それだけじゃなくって、さらに行く先々で、どこかで補給物資の再調達をするかとかっ!」


「…やるとなったら割とノリノリなんだね。って物資の現地調達ってかなりマズイ展開だと思うんだけれども…」


「うん。私もそう思うんだけれども、まぁそのへんはお目こぼしがあって、まぁ自動販売機で買うのは完全OKとかなってるよ。他にも色々買えるところあるんだけどね」


「そうっ!数ある自動販売機とかで前の人が買いまくって品切れしていない、かつおいしいものが手に入れられるようにと計画をねるのも作戦のうちなのよっ!」


「うんうんー。色々とそのへんのポイントポイントを教えてあげるねー」


「…私が思うにそれが地域経済に影響していてやむにやまれぬ歓迎遠足になっている気がする…」


 と言われて、ふと私は心の中で思う…前もって調達しているおやつが5百ドル分、現地調達が2千5百ドル分…計3千ドル。

私は割と普通の分類だし、たまに5千ドル分以上の用意をしてたりする人もいる。それかけるの生徒数となると…うん。この先は考えないようにしておこう。歓迎遠足廃止目標のために!


「あっ歓迎遠足が終わったら、私たちは開発中の惑星、フロンティア…何番目だったっけ…に行かないといけないんだよ。片道30日くらいかかったっけ」


「んっ?特になにかやらかしたってわけじゃないんでしょっ?」


「えーっとそれはちょっと、研究所のあれやこれやでー…ホログラムで授業にもでるし、電話でもお話したりもできるよ」


「…あすかと私は、研究所と特殊一課に所属ってことになっていて、その関係からだよ。って、あすかまで驚いてどうしたの?この前、言われたばかりなのに」


「そ、そうだったっけ。って、あ、もしかしたらサービスパックの時の話?その時には出来上がってきていたデザインを何枚も同時に見比べていたりして」


「あすか、やらかしてるんじゃないのっ!見比べるのはいいとして、話はきちんと聞いておきなさいよっ!

でも、特殊一課?サービスパック?デザイン?何かおもしろそうなことかかえていないっ?さぁさぁしゃべると楽になるわよっ!」


「それは機密です!」


「って、さっきまでしどろもどろだったのに、いきなり強気にー。私も気になるなー」


「…割と最重要機密かもしれないから聞かない方が身のためかもしれないわよ?」


「こわっ!ナチュラルにこちらを試されたっ!」「楽しそうだし、混ぜて欲しかったんだけれどなー」


 と私が言わないと言ったときとはまったく違った反応をされてしまいました。


「なにはともあれ、目標は勧化遠足50kmの踏破だね!わーい。当日が楽しみだよね」


「あっさっきまで、歓迎遠足から逃げ出そうとしてたら、今度は話から逃げ出したー」


 そんなこんなで歓迎遠足50kmの打ち合わせに戻り、色々と計画をねりあげるのでした。


_/_/_/_/_/


 歓迎遠足50km当日、まだこの企画に心を弾ませている一年生たちを横目に、私たちは着々と場所取りなど有利になるように準備をすすめます。

基本的にいい場所は3年生におさえられているのですが、まだまだ入り込む余地はあります。


「それじゃとりあえず、Aルートを通って、おやつの確保が困難になりそうな場合はBルート、さらにはCルートも視野に入れてってことで」


 と私がみんなに確認をとると、


「オッケーっ!足が速い3年生にAルートは確保されまくるだろうから、B、Cルートの順で変更しましょうっ!」


「うんうんーもりあがってきたー!まるでそれは略奪戦のごとくおやつを買いあさるよー」


「…私はみんなについていって、どういう趣旨の歓迎遠足なのか楽しませてもらうね」


 と勢いのいい返事がいっぱいかえってきた。そうこうしているうちに、「開始」の声とパーンという乾いた音が鳴り響いてくる。


「さぁっ!出撃っ!みなみなのしゅう討ち入りでござるっ!フォローミーっ!その他いろいろレッツゴーっ!」


 とこのはちゃんを先頭に私たちも続いて歩き始めます。周りには少し走り気味な人たちもいますが、私たちはそこまで気合をいれていません。

いつもどおりの私たちのマイペースともいうべき速度で一歩一歩、50kmの道のりも一歩からの雰囲気で。

 お昼も終わり、30kmを超えたあたりの森で、歓迎遠足を行っている人全員にメッセージが入りました。

ちょうどここは町と町の中間地点のちょっとした森となっていて、学校側が用意する足止めイベントもだいたいここで行われるとのことでした。

なので、今回のこれも学校側の何かのイベントと思っていました。が…


「歓迎遠足を行っている生徒たちに通達です。現在30km付近にある森で多数のキラービー・巨大蜂が発生。到着次第、生徒会指導の下、迎撃を行い、駆除を行ってください」


 と先生方からの奇妙な通達が入りました。今まであったこととは少し違うような…


「…私はおやつの中に実弾やエネルギーカプセルも含まれるのが気にはなっていたんだけれど、こういうことだったの…」


「あっカノンちゃんそれはちょっと違うよ。確かに今まで足止めイベントで実弾やエネルギーカプセルを使わないといけないのがあったけれど、

生徒会指導の下での迎撃作戦っていうのは一度もなかったと思う。もしかしたら、今回からカリキュラムに取り入れたとかじゃない限り…」


「キラービーもどちらかといったら希少種だし、そういったことには使われないと思うわっ!」


「とりあえず、指示された座標に向かって生徒会指導の下で迎撃作戦とやらに参加しましょうー」


 私たちはすぐにその迎撃作戦の指揮を行っているという本部に向かおうとすると、それには及ばず、先に生徒会から今の位置から近くにある場所、左翼側での迎撃とのことでした。

到着してみるとすでに迎撃を開始しており、Vの字形に近い形で、先行して先に行っていた人たちは右翼側を担当している状態でした。


「うわっなにこの数っ!撃てば当たるって言えるようなほどすごいじゃないのっ!」


「いくらなんでも狙わないと当たらないと思うよー」


「とりあえず、私たちも混ざって迎撃作戦とやらに参加しましょう。そのうち数もきっと少なくなってくるよ」


「…そうだね。数が多すぎるし、いざというときの用意もしておかないといけないし」


 このはちゃんはこんなときのために持ってきていたといわんばかりのガトリングガンで男撃ちに撃ちまくる。のどかちゃんは最初、私たちと同じように普通に迎撃していたけれど、

今は、このはちゃんの弾薬供給係りに大忙しとなっている。右翼側でもガトリングガンを持ち出してくるようなおかしな…じゃなくって危機管理意識に長けた人がいたようで、

左翼側、右翼側からの強力なクロスファイアによってどんどんと数を減らしていく。

少しやりすぎたんじゃないのかな?とも思い、ちょっと身体が一息ふぅっと力を抜いていると…


「注意して!第2波がもうすぐ到着します!」


 との生徒会からの連絡が入ってきました。まさか第2波があるとは思っていませんでしたが、再び迎撃体制に入りました。

そしてキラービーの勢いも衰えず、実弾、エネルギーカプセルの手持ちが半分にまで減ってくると、少し心配になってきました。いくらなんでも多すぎるようなと…

私たちよりも撃ちまくっている、このはちゃんですが、みんなからの実弾の持ち寄りによりまだまだ元気に男撃ちを行っています。

それは右翼側でも同じ状況なのか、このクロスファイアが大丈夫なうちは安全かとも思われましたが、魔法使い化も視野にいれるべきじゃないのかなと思い始めました。そう思っていると…


「…あすか、この数はあまりにも異常すぎるから、生徒会側に連絡を入れて魔法使い化しましょう。アシストでまわりの状況がどうなっているのかの確認もあるけれど、

最悪の場合、キラービーもキラービーの巣もまるごと破壊、ということもありえるから。とりあえずのところコットちゃんに許可を取って、生徒会側に魔法使い化の許可を申請してみよう」


 と二人してコットちゃんに今回のいきさつを話したら、その話はすでに入っているようで、「ついでにコアアプリケーションを回収してくるように」とも言われました。


「うん。普通だったら魔法使い化してから戦闘に入るところなんだけれど、それじゃ生徒会側に魔法使い化の許可を申請と。でも魔法使い化するときは周りには気づかれないように…」


「…了解。こちらも生徒会側に魔法使い化の許可を申請。現在、二人固まっていて、魔法使い化するときは周りに気づかれないように少し戦線をはなれることも入れておいたよ」


 そうすると、すぐに生徒会側からの連絡がありました。それによると、一度生徒会側の本部に顔を出して、そこで魔法使い化を行ってほしいとのことでした。

その連絡を受け、二人で周りに少し生徒会側からの招集により、今、生徒会の本部があるところに向かうことを伝え、いそいで本部にあったテントに入る。

すると、そこには生徒会長、副会長、会計…色々な方々がそろい踏みでした。そこから生徒会長から、


「良くきてくれた。それでは実際にやってもらうことだが、今回危なくなるまで先生方の協力は得られない。そこで二人には一気にキラービーの巣ごとの全滅を任せたい。

これについては生徒側が行う事なので了承は得られている。あとは巣の場所なのだが、地図のこのあたりにあるであろう辺りまでしか見当がついていない」


 とその情報を送ってもらう。実際にわからなかったら、この情報をもとに探すことになるだろうけれど、アシストの魔法次第で必要なくなるかもしれない。


「それでは任せる。今回の歓迎遠足のこれ以上の遅延はまずい。そして我々は指揮するためにここから動くことができない。なので、できるだけ迅速に事に当たっていただきたい」


「了解。アシストオン!」「…了解。アタックオン!」


 とその場ですぐに魔法使い化するとびっくりされたけれど、「任せる」の一言があっただけで、

そのまま空高く上空から見下ろすとどれだけの数のキラービーを撃ち落としたのかが一目瞭然となり、ぞっとするほどすごいものでした。


「…あすか、アクセスをお願い。それだけで全部の情報がでてくるといいのだけれど」


「あっうん。了解!場合によってはアナライズまで使わないといけないだろうけれど、アクセスオン!」


 と索敵を行うと生徒会側から示された地図の丁度中央に不自然なキラービーがいました。不自然どころではなく、そのキラービーは分裂で個体を増殖させていたのでした。


「み、みつけたけれど、これはあまりにも不気味すぎるから…ちょっと情報を送るね。情報送信と」


「…情報受信完了。確かにこれはおかしすぎる…キラービーも蜂の一種なのだからこの増え方はおかしいと思う」


「りょ、了解…気が進まないけれど、アナライズオン!うわlっとこれは…」


 そこではキラービーが自分に埋め込まれたコアアプリケーションを使い自分の分身を次々と作り出し、戦場へと送り出しているところでした。

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