第6話 オーダー!自分専用魔法服の発注なんだもん
「あそこまで向かわずともここからアシストの魔法を使って調べるといい。丁度いい訓練になるかもしれない」
コットちゃんに友だちの救出の相談してみると、もっともなことを言われてしまいました。
「そういえばそうだね。アシスト、アクセスオン!…えーっと建物に重大なダメージが入った時にパージして、すぐに液体金属による補強で建物全体がつぶれないようになってるんだね。
あれ?でも、パージするときの火薬が原因で今回の火災が発生しているみたいだし、なんなんだろね?」
「…それはちょっとおかしいと思う。パージするのはどちらかといえば船とかに使われるものだし、建物だと自然に倒壊していくのを、それを上回る速度で液体金属による一時的な支えだから、
火薬を使ってのアグレッシブなパージというのはあまり聞かないのだけれど、最近の超高層ビルの設計というのはそういうものなのかな?」
私たち二人にはさっぱりだったので、自然とコットちゃんへ二人の視線がそそがれる。
「確かに少しおかしいな。最近はそういったことに火薬を使うといったこと自体がめずらしい。火薬の種類はいったい何かわかるのか?」
「ちょっと待ってね。アナライズオン!っとその辺のデータと照合すると…N2爆弾。量が少ないからそんなに被害がでないっぽいのかな?」
「…N2爆弾…パージするどころか、その階層が吹き飛びそうな威力のもののような気がするけれど…」
またもや、私たち二人にはさっぱりだったので、自然とコットちゃんへ二人の視線がそそがれる。
「ある程度予測はつく…ある暗殺の手法に建物を建設中に爆弾をしかけておき、暗殺したい人物がきたら起爆するというものもある。ミツルギ博士の方が詳しいだろう」
すると大体の事情はわかっていたのか、ミツルギ博士は手持ちの情報を話してくれた。
「ふむ。そういったことであれば情報を出さないわけにもいかないな。確かこのビルは近々、レビル議員が訪問することになっている場所だな。
元連邦軍の宇宙艦隊司令長官にして、現在はその軍事知識をかわれての連邦議会上院議員。彼がいなければ、私たちは帝国に強制送還されていたかもしれないくらいの重要人物だ。
なぜ知っているのかタネを明かすと、まさにそのビルで彼と私は会談する予定だったからだよ。
色々と面白く思っていない者たちが何かをしかけてもおかしくはないが…そこまでになるかは疑問が多い。
魔法使い化していれば、無力に近い。具体的にはどのくらいの爆弾が仕掛けてあるのかな?」
「えっと、N2爆弾の総数1024個です。小さな爆弾が連鎖してつながって起きるようなしくみになっていましたけれど、今回の爆発で連鎖爆発は無理っぽくなってます」
「ふむ。連鎖爆発は無理でも爆弾が現に設置されていることの方も問題だな。なぜ発見できなかったのかとね。まぁそこはいいが、現地に行って爆弾の除去をする必要があるだろう。
そうなると二人には直接行ってもらう必要があるな。今まで気づかれない手法で設置されたものだからな。
現在のところ、ビルで爆弾を使ってのパージは認められていないのだからね。見つけましたので、危ないので撤去しましたで通るだろう」
「えぇ!?もしかして爆弾を素手でわしずかみ!?」
「…あすか、その時のために魔法があると思ってもいいんだよ」
と私が魔法使いになれていないような発言をしてしまうとコットちゃんから詳細な指示がだされる。
「うん。そうなると根回しの方は任せてもらうとして、ミツルギ博士、
あすかが爆弾を探し連鎖しないようアナライズで分析しながら、カノンが爆弾を魔法で完全凍結、転移魔法で除去といきたいのですがその方法で魔法は使えるのでしょうか?」
その言葉にミツルギ博士は少しのためらいもなく、
「大丈夫だ、問題ない、一番いいのを頼む。と言われているのでな、色々とサービスパックの中に詰め込んでいるんだよ。容量もまだまだあるのだからね。
そういえば、まだ二人には希望をきいていなかったな。次のサービスパックで何か武器や衣装変更の希望とかはあるかな?」
「少なくとも恥ずかしいのでブレザー服美少女戦士は候補から外しておいてください…」
「…同じく…できれば普通の衣装で」
「うむ。任せておきたまえ。魔法少女ここにあり!といった最適な衣装を用意しておくよ。期待して待っておいてくれたまえ。
私はこれでもデザインセンスにも自信があるのだから!二人の雰囲気に合わせて調整するよ!」
「ってなんだか武器や衣装変更が決定でデザインもミツルギ博士の気分次第な感じになっているんですけれども…」
「…もう、やめられないとまらない状態になっちゃっている気がするね」
そう二人でつぶやき合うと、一つ何かに当てはまりそうなイヤな予感がしてきたので、博士の行動をせめて止めようと意見が一致する。
「せっせめてデザインは外注にしてください!せっかくの博士の作品、質のいいものが求められると思います!」
「…そうです!このままだと博士の品位が問われることにもなりかねません」
博士のデザインセンスを思いっきり疑ってます発言をしましたが、ここはひけません!
「ふむ。確かにナウなヤングにバカ受けできるようなセーラー服という注文はなかなかに難しいな。
よし、そのへんは予算の都合がつくようだし、好きなデザイナーを選んでもらって、その方々にデザインを頼もうじゃないか」
もしかしなくても、やっぱり危うく博士の謹製セーラー服美少女戦士にされるところだったっとそれよりも、
「えっまさかのひょうたんから駒!?それだったら、キャゼルヌさんデザインのオーダーメイドを一着でもお願いします!」
「…それでしたら、私はフレデリカさんデザインのものをお願いします」
「わかった。それならば二人の身体データをそれらの方々に送るがかまわないね?」
と軽い感じで返される。おぉ、なんという事でしょう。劇的なアフターが訪れようとしています。
「もっもちろんです!一着は欲しくってお金を貯めていたのがこんなに簡単にっ」
「…だ、だめだよ。あすか、これはきっとなにかの巧妙な罠なんだよきっと…でもあの有名デザイナーさんに自分専用魔法服を用意してもらえるなんて」
「ははは。おしゃれに気になるお年頃だろうし、何着か案を出してもらってその中から何着か選ぶといい。その日の気分次第でその時々の衣装を変えるのもいいだろう。
二人とも乗り気のようだし、罠ということでもないが、専用魔法服もちとして恥ずかしくないような振る舞いをしないとな」
そうやって完全に別路線に話が向かっていると、そこにコットちゃんの冷静なツッコミが入ってきました。
「自分専用魔法服に憧れるのは確かにわかるが、そんなふうに憧れている衣装などが今頃どんどん灰になっていってるんだろうけどな。ちなみにもう根回しの方は終わったぞ」
としっかりクギをさされ、わくわく感でいっぱい。完全に有頂天になってしまいましたが、失敗したら逆に話がお流れになってしまいそうな勢いです。
「了解!アナライズで連鎖起動しないように分析を行いながら情報を送信、マーカーを付け終わり次第、私も凍結、転送を行います!」
「…了解!マーカー順に目標爆弾を凍結、順次転送をおこなっていきます」
二人で敬礼を行うとすぐさまその場から飛び上がり、建物の外に転移すると目標の超高層ビルに向かっていく。
到着してみると、そこには鏡面仕上げなどが色々とほどこされた超高層ビル。さすがに最新の超高層ビルはだてではなく。
たいまつのように燃え盛っていたりはせず、他の爆弾も起動するような燃え方もせず、スプリンクラーなどでほとんど消し止められています。
「それじゃ始めるね。アナライズオン!…第一マーカー情報送信。それじゃ手分けして終わらせてしまおう!」
「…了解。第一マーカー情報受信完了。爆弾の場所に早くついたからといって、マーカー順位を忘れて先に爆弾を凍結、転送しないようにね」
「うっうん。危なかった、やらかしちゃうかもしれなかった…そこは気をつけてお互い連絡を密にってことで!」
「…それじゃ爆弾処理機もきたことだし始めましょう。火事のことは気にせずとも大丈夫だろうし爆弾に専念」
二人で手分けをして爆弾の解除を始めたのですが、53階にあるものの次は2階部分にあるものを解除となかなかに骨がおれる作業でした。
作業を繰り返しているうち、超高層ビルの火事は止まり、あとは私たちがビルの周りを飛び回っている風景しか残りませんでした。
爆弾の除去が終わるころには、もう日が暮れようとしていました。そして、終わったころにふと思ったことがあり…
「ねぇカノンちゃん、もしかして爆弾がしかけてあるのってこのビルだけじゃなかったりするのかな?」
「…うん。充分に考えられる可能性だね。建物が建てられたあとに設置しても気づかれないということもあるだろうし」
「了解!アクセスオン!ってほんとだ…あと3棟ほど同じように仕掛けられているところがあるよ…」
「…そっか、じゃそちらのほうの除去もしてしまわないといけないだろうけれど、連絡を入れたあと、少し休憩を入れて、それからどうするのかを聞きましょう?」
「オッケー。それじゃその情報を付けて連絡と…「こちらあすか准尉です。対象の爆発物は除去の完了を確認。ですがその他のビル3棟にも同等の仕掛けをされている模様です。
こちらに添付している資料に詳細をのせています。以上報告を終わります」…って感じかな?」
と連絡を入れると、すぐに返答があった。
「こちらコット。それ以上の爆弾の解除は必要ない。終わり次第、帰還するように」
「「了解。爆弾の解除は完了しておりますので、これから帰還いたします」」
と答えたものの、ほうっておいていいのかな…?と思ってしまいました。
「大丈夫なのかな?他のも危険には違いないと思うんだけれど…」
「…うん。たぶん倒壊しないように固定した状態で、どのような感じで爆弾が設置されているのかをも調べるのかもしれない」
「わかったよ。それじゃ私たちはもどろっか」
その言葉にカノンちゃんは軽くうなずくと二人そろって夕暮れの街に消えるかのように研究所へと向かいました。
そのあと聞いた話では、第一師団のみなさんが色々と終わらせたそうです。
ですが、重要ビルの4棟に爆弾が設置されていたことに変わりはなく、またもやあちこちが大騒動となってしまいました。
そして、まだ先のことではありますが、私たちが除去したビルは安全ですとのアピールのためか、そのビルでレビル議員とミツルギ博士の会談の模様が映し出されることとなりました。
それから、爆弾を設置したのは誰かというのは、警察の方々がどうやら尻尾をつかんだらしいのですが、詳しく知ることはできませんでした。
なんだか最近、連邦が揺れている感じがしています。
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プライベートチャンネルでティオとカードバトルを楽しんでいると、急にドクターから呼び出しがかかる…
「お呼びでしょうかドクター…。今日のところは何も入っていなかったものと思っていましたが…」
「アテナ、それだけ重要なことがおきたってことじゃないの?それで、どんなことがわかったのでしょうか、ドクター」
私の言葉はおろかティオの言葉にも何も反応せず、ドクターは一人語りを始める…。今日はいつにも増して勢いがある…。
「あぁ。レビル議員に今いなくなっては困るから、今後のために下見をかねて二人をあの超高層ビルに行くことを許可したのだが心配はいらなかったわけだ。
しかし、今回、手に入れられた情報はすばらしい!今までの情報から向こう側にある最新型試作魔法使い化結晶はアタックとクリエイトかと思っていたがそうではなかった。
どうやらアタックとアシストのようなのだよ!見たまえこの映像を!アシストでなければ短時間での情報を収集し連鎖爆発は止められなかっただろう!」
とそこにうつっている映像を見て衝撃を受けた…。そこには数時間前に一緒に楽しく遊んでいたあの二人だった…。
「あぁ。二人とも相手がまだ幼い子供だったようだから驚いているのかい?でも気にすることはないさ。クーデターが成功すればそのようなことは取り払って味方となるのだから。
そう…クーデターを行い対機械生命体戦の準備を早急に進めないことには人類の平和は保たれない…。
現に、連邦も帝国も機械生命体と戦っておきながら、相手を海賊と見誤っている。特に連邦の議員どものほとんどがその情報を得ておきながら、その危険すら何も感じていない!
まぁその危機管理意識の薄さから我々のクーデターの成功率が上がるのだからかまわないか…クーデター後にそのような些事は投げ捨てればよかろう…」
!今まで何も教えてはもらえなかったが、クーデターまでも行おうとしているとは思わなかった…しかし、最新型試作魔法使い化結晶を奪う事といい色々わかってくることがある…
今日は、しばらくは今日ので最後のおでかけということになったのかもしれない…