表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女騎士  作者: 比嘉呉瑠
2/5

魔女、彼らと出会う。


彼ら、即ち複数。



痛い。頭がじんじんする。

でも、この布団は最高に柔らかくて素晴らしい。いつから祖母はこんな布団を買ったのか。…ん?

どケチ…いや、倹約家の祖母がこんないい布団を買ってくれる訳がない。

異常さに気づいて、意識が戻ってくる。


「―――が本当に?」

「はい、―――魔女――である者かと」

「ならば、―――の」


…魔女。うっすら聞こえてきた単語に、背筋が冷えていく。私を「魔女」と知っていて彼らは連れてきたのだ。"何か"の為に。

魔女狩りするのなら、こんな柔らかい布団に寝かせる以前に意識が無い時に…殺る。ならば、他に目的があっての事であろう。非合法な遣り方には納得いかないが。

…もう少し耳を澄ましてみよう。


「俺はお前を誇りに思っている。力は使うべきものだ」

「…有り難き御言葉ですが……、」


声は両方とも男のものだ。且つ、何と無く若い気がする。って、あれ?どうして話し声が止まったんだ?


「クロード様、起きています」

「何?本当か」

「はい、呼吸の感覚が変わりました。覚醒は間違いないかと」


沈黙が部屋を支配した。

…暫く我慢したが耐えきれなくなった為、身を起こす。

目を開けて見れば、キングサイズの素晴らしい布団がある。そして、私を静かに見つめる二対の瞳にも気付いた。

一人は草原のような青々とした緑眼、もう一人は溶岩のような紅の瞳。尊大なしゃべり方と畏まった方、どっちがどっちだろうかとぼんやり考えて、気づく。


「…此所は何処?」


普通の民家には有り得ない間取りの広さと、キングサイズベッドが物語る。

お偉いさんの厄介事に巻き込まれた、と。

私の問いに緑眼の人の方が答えようと口を開いた瞬間、


「シュトビネー領の領主の館です」


言わせるまでも無い、と紅の瞳の方が淡々と告げた。

彼はすらっとした長身に、サラサラな銀髪を首の後ろに結っている。そして、重そうな鎧をつけた騎士風の男。…こちらが、畏まってる方のようだ。

しっかしさー、(多分)主の発言を遮るってのは不味いんじゃない?と思って、尊大なしゃべり方の方を見れば、…八の字眉毛をしている。視線に気づいてか、彼は表情を正して私に向き直った。


「俺はクロード・シュトビネー。シュトビネー領の次期領主だ。こっちは護衛騎士のゲオルグ」


騎士風の男――ゲオルグさんが騎士の礼をとった。

礼が終わったのを見計らってクロードさんが、ここからが本題とばかりに…口の端を上げる。


「魔女グレタ。手荒に連れてきた無作法を許してほしい。…願いがあるのだ」


まるで「出来るだろう?いや、出来るよな。魔女なんだから」と言いたげな挑戦的な表情に、カチンと来る。

勝手に拐ってきた挙げ句、願いを叶えろ?…ふざけんな!お偉いさんは自己中な連中が多いんだねー。

シュトビネー領は私の家から馬で半日かかる距離だったと記憶している。一度行ったら町の子供に苛められた嫌な思い出もある場所。

色々言いたい事はあるけど、取り敢えず重要な事を一つだけ。


「魔女を万能な存在と勘違いしないで。私達は…私は、特別な事は出来ない」


謝って無いような失礼過ぎる次期領主を、睨み付ける。

魔女だからって、それがどうしたっ!つか、グレタって私のばあ様よ。

呆然とする二人を横目に、布団から起き上がって扉へと向かう。…いや、向かいたかった。生命の危機を感じ、恐る恐る振り返る。

今は頭を垂れた騎士と、苦笑いする次期領主しか頼れない。


「すみません、廁何処ですか」

一瞬の間が空いた。


「…ゲオルグ」

「はい」


クロードさんに静かに命じられたゲオルグさんが、案内してくれた。

道中は無言だった。

…緊張感が無くてすみません。



クロードとゲオルグ、同時に出てきたのに容姿の説明がゲオルグしか出なかった…。しかも雰囲気だけ。


…。

クロードはそれこそ金髪のボンボンです。少しだけ前髪を下ろしてますが、他は後ろにいってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ