表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きな人から告白されたので、罰ゲームだと知っていますが受けてみます  作者: 海瑠トワ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/10

8,すれ違い

「あっ、凛。今いい?」


 遥斗に後ろからよびとめられて「あ、ごめん、用事があって」と答える。遥斗は肩を落として、


「そっか」


 と背を向けた。


 このやり取りも何回目だろう。

 そろそろ彼を私という鎖から断ち切ろうと思っているのに、いざ話をしようと思っても言葉が出てこない。


 そうしてグダグダ悩んでいるうちに、今度は遥斗からゆっくり話がしたいと言われ、何を言われるのだろうと怖くてこうして避けている。


「矛盾してる……」


 小さく呟いた言葉に返ってくるのは、呆れたような穂乃果の視線だけ。


「凛、あんた何がしたいの?」

「う……そうだよね」


 屋上に続く鍵のかかった扉の前、階段の踊り場。

 死角になっているそこに腰を下ろした穂乃果は、聞き飽きたというように飴玉を舐める。


「というか遥斗くん可哀想だよ。凛が何を考えてるか聞かなくてもわかるけどさ、それってほんとか確かめた訳じゃないんでしょ?」


 確かに本人に聞いてはいないし、罰ゲームだって言っているのを、陰から聞いていただけだ。でも、あの場でそんな嘘をつく必要があるとは、私には思えない。

 黙り込んだ私に穂乃果は続ける。


「大体、罰ゲームだったとして、何が問題なわけ?遥斗くんが今、凛を好きならそれで問題ないじゃん」


 遥斗が私を好き……?

 そんな夢みたいなこと、あるだろうか。でも、少しだけ期待したい気持ちになってしまう。

 そう考えて首を振る。


「それは無いでしょ」

「はぁ、いい加減にして。暗い顔のあんたといる私の身にもなってよ。分からないならはっきりさせればいい」


 コロコロと口の中で飴を転がす穂乃果は、私をじっと見てため息を零す。


「はっきり?」

「そう。ちゃんと話して、聞いて。それで嫌々付き合ってました、って言われたら別れたらいいし、そうじゃないなら凛が告ってやり直せばいい」


 穂乃果の言葉に心が揺れる。

 確かに穂乃果の言う通りだ。


「でも、遥斗は優しいから嫌でも言わないと思う」

「だったらそれでいいじゃん。告ってオッケーされたら、凛が遥斗くんに好きになって貰えるように努力したらいい話」

「うぅ……そんなことできるかな……」

「出来る、出来ないじゃない。凛が遥斗くんといたいならやるしかないの」


 弱音を吐く私に穂乃果はイチゴ味の飴を渡した。


「好きなんでしょ?遥斗くんのこと」

「うん……」


 俯いていた顔を上げて穂乃果を見ると、仕方ないなぁというようにため息をついた。


「凛。スマホ」

「え?」


 差し出された手を見て首を傾げた。


「スマホ、今日忘れたから貸して?」

「え、まぁ、いいけど」


 穂乃果の親にでも連絡を入れるのかと、ポケットから取りだして穂乃果に渡す。

 そのまま慣れたようにスイスイと操作し、何やら文字を打ち込んでいる。


「はい」


 満足気な穂乃果に不思議に思い、手渡されたまま画面に視線を落とすと、そこは遥斗とのチャット画面で……。


『次の週末は二人になれる場所がいい』


 送ってないはずのメッセージに驚いていると、既に遥斗は見たようで、既読の文字がついている。


「えっ……え?」

「ちゃんと話しておいで」


 私の混乱をよそに、穂乃果はヒラヒラと手を振ってそのまま階段を下りていった。


 スマホのチャット画面には、


『俺の家でもいい?』


 と既に返信が来ており、一拍おいてグッと汗ばんだ手で、貰ったイチゴの飴を握った。


 彼と関われなくなることが怖かった。

 けれど、もうこんな中途半端な関係を続けるがしんどかったのも事実で。


 震える指で『うん』と返事をした私は、それから数日、何から話せばいいのかという緊張と不安でなんだか肩が重かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ