表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きな人から告白されたので、罰ゲームだと知っていますが受けてみます  作者: 海瑠トワ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/10

6,周囲のざわめき

 週明けの月曜。

 はぁ、とため息をついたのは、目の前の穂乃果だった。


「凛。辛気臭いんだけど。何があった?」


 週末、遥斗と出かけたことを知っている穂乃果は、私をじろりと睨んでいる。


「……優しく扱われて、少し落ち込んだだけ」

「優しいならいいことじゃん。何が問題?」

「いや、私、嘘の彼女だし」


 私がそう言うと、穂乃果は呆れたように頬杖をつく。

 そこまで呆れなくてもいいじゃない。


「あのさ、言っちゃうけど、あんた、しんどいならやめなよ。それにさ、何でもかんでも嘘って決めつけるのはよくないと思うわ。だって、本当に楽しそうに見えたんでしょ?」

「うん……」

「遥斗くんって、器用に嘘をつけるタイプに見えないのよね。楽しいって言われたなら本当にそうなんじゃないの?あんたに可愛いって言ったなら、そう思ってるんでしょ。少しくらい信じてあげたら?」

「いや、でも、私、可愛いとは程遠い……」

「……あんた、本気で言ってんの?」


 少し怒ったような穂乃果は、私を見てその可愛らしい顔を顰めた。


「ええ……自己評価低いと思ってたけど、ここまでなんて……」


 頭が痛いというように額を押えた穂乃果に、どういうことか聞こうと口を開けた時、教室の入り口から大きな声があがってビクリと飛び上がった。


「おいっ!遥斗!お前、週末、神木さんといたろ!?」

「え!?まじ?付き合ってんの!?」


 登校したばかりでカバンを抱えたまま遥斗はキョトンとしている。


「あれ?言ってないっけ?」


 そんなケロッとした様子の遥斗に周囲は更に騒ぎ出す。


「聞いてねぇよ!」

「教えろよっ!?」

「あー……ごめんごめん」


 困ったように頬をかく彼は何を考えているんだろう。あんな風に言ってしまえば、すぐに別れるなんて難しくならない?


 そんなことを考えて彼を見ていると、パチッ、と目が合って、遥斗は嬉しそうに破顔した。

 その彼の様子に気づいたクラスメイトたちは、一斉に私を見て驚いている。


 私、なにかしたのだろうか……。


 よく分からずに穂乃果に目線で助けを求めると、ため息をついて、


「気にしない方がいいんじゃない?どうせ今からもっと注目されるから」


 と言われる。


「え?もっと?」

「クラスだけじゃなくて、学校中に広まったらそうなるでしょ?」


 穂乃果の言葉にさぁっと手が冷えた。


「……確かに、遥斗は目立つから……」


 私がそう言うと、穂乃果は諦めたように「……あんたもね」と小さく呟いて前を向いた。


 その日、穂乃果の言っていたように学校中に知れ渡ったのか、遥斗の友人たちに通りすがりに話しかけられた。


「遥斗と付き合ったってほんと?」

「遥斗が告ったの!?」


 そんな事を聞かれても、これ以上広めていいのか分からずに言葉を濁した。


「遥斗のどこが良かったの!?」

「なんでオッケーしたの?」


 戸惑う私に理由を聞いてきて、「遥斗だったから……」と小さく答えると、みんなして何故か肩を落として去っていく。


 不思議に思って、分かっていそうな穂乃果に聞くけど、「気にしなくていいことよ」と言われて「そうなんだ」、と頷いた。


 その日、遥斗は友人と帰るから私を送れないと、ごめん、と申し訳なさそうに謝りながら帰っていった。


 夜、スマホの通知音がピコンと鳴って、お風呂上がりに髪を乾かしていた私は手を止めた。


『今日はごめんね。俺らが付き合ってるってバレちゃって、凛にも迷惑かけたよね』


 遥斗からのチャットにフッと笑いが零れた。

 彼の方が色々と騒がれているのに、私に気を使うなんて優しい。


 ……だから、こんなに好きになるのがとめられない。


 複雑な気持ちでスマホを操作する。


『大丈夫』


 短く返した私のチャットに、すぐに返信がくる。


『デート、次は水族館とかどう?』


 水族館……。

 長いこと行ってないし、なんだか少しワクワクする。いつかデートで恋人と行ってみたかったんだ。


 ……もう少しだけ、恋人でいてもいいだろうか。


 そんな浅ましいことを思いながら『いいよ』と素っ気なく返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ