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好きな人から告白されたので、罰ゲームだと知っていますが受けてみます  作者: 海瑠トワ


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5/10

5,プレゼント

 昼食を終えた私たちは、「少し歩いてみて回ろう」という遥斗の提案で、ショッピングモールの中を歩いていた。


 遥斗は意外にも可愛らしい雑貨などを見て回り、そのたびに私に似合うと言ってくれる。


 こんな可愛らしい物は穂乃果の方が似合うと思う。そんな気持ちを押し込めて、彼の言葉に曖昧に笑った。


 彼と隣合って話していた時、ふと目に付いたイヤリングに触れ、足を止めた。


「どうしたの?……それ、可愛いね」


 私の手元にある小さな星が揺れるイヤリングを見て、遥斗はニコッと笑った。私の手からイヤリングをそっと取ると、彼はそれを私の耳元に持っていく。


 彼の熱い手が私の耳たぶを掠めて、背中がゾワッと粟立ち震える。


「ん、可愛い」

「ぁ……」


 彼の甘い視線に、焦げてしまいそうなほど顔が熱い。分かりやすく顔を赤く染めた私を、彼は手を掴んで引き寄せた。

 ふわり、と石鹸の香りと、ほのかに爽やかな柑橘の香りがして胸が詰まった。


 遥斗が私の後ろに小さく「すいません」と言ったことで、私が後ろの人の邪魔していたことに気づく。

 私も慌てて謝って遥斗を見上げると、彼はそのままイヤリングを手にレジに向かう。


「え、待って待って」

「ん?なに?」

「え、いや、それ……」


 首を傾げた遥斗に手に持っているものを指させば、


「気に入ったんでしょ?」


 と聞かれる。

 確かにそうだ。けれど買うと決めた訳じゃないし……と迷っていると、遥斗は私の耳をするりと撫でた。


「んっ」


 ピクリ、と反応してしまえば、彼はそのまま楽しげに目を細める。


「俺からのプレゼント。今度でいいから、つけてよ」


 そう言ってスマートにお会計を済ませてしまった。


 どうして、こうも女の子の扱いが慣れているんだろう。少しだけモヤッとしたけど、彼がくれた物が嬉しくて、渡された包みを大事にしまった。


「じゃ、他のとこ見に行こう」


 歩き出した遥斗の袖を小さく掴んでくんっ、と引っ張ると、彼が不思議そうに振り返る。


 “好き”


 溢れそうな言葉をギリギリで飲み込んで、ただ「ありがとう」と伝えた。


 それから、二人で映画を見た感想や面白かった出来事などを話しながら、色々なものを見て回った。

 彼と過ごす時間は、ドキドキして緊張して苦しいのに、楽しくて幸せですごく短く感じた。


 帰りも送ってくれるという遥斗に甘えて、静かな住宅街を二人で並んで歩いた。


 秋の風が頬を冷ましてくれ、気持ちがいい。


「凛、今日はありがとうね。すごく楽しかった」

「うん、私も」


 楽しかったのは本当だ。

 だからだろうか。意識せずに口から素直に感想が出てきた。


 そんな私に遥斗は笑いかけて「良かった」と零す。


「また誘ったら一緒に行ってくれる?」


 彼の言葉に小さく「うん」と返して、またがあるのか、と嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになった。


「約束だよ」


 少し真剣な顔で言われて息を呑む。

 “約束”……それは本当だろうか。


 この関係はいつまでのものなんだろう。


 少しだけ視界が潤みそうになって、下を向くふりをして「うん、約束」と返事をした。


 家の前につき、遥斗の背中を見送って家に入る。


「おかえり〜今日遅かったね。穂乃果ちゃん?」


 母親のいつもの様子になんだか少しほっとする。


「ただいま。まぁ、そんなとこ」

「ふぅん。もうすぐご飯にするからね」

「はぁい」


 いつもと変わらない会話をして二階に上がった。自分の部屋に入ると、カバンから取り出したイヤリングの包みをはぎ取る。


 揺れる星を、そっと目の前に掲げた。


 次……なんて、いつなんだろう。

 彼の彼女でいられるのは、いつまでなんだろう。


 いつ別れを告げられるか分からない状況に、チクリとトゲが刺さったような気持ちになった。

 彼との関係は、吹けば崩れるような砂のお城のような脆いものだ。


 本物にしたいのに自分から告げる勇気もなく、ただ彼からの拒絶を恐れている。


 私ってこんなに弱かったんだ。


 そんなことを考える自分が嫌で、何より分かっているのに行動しない自分がもっと嫌いだった。

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