side 少女 新人向け講座のはずだった配信
私は天宮舞。舞姫という名前でダンジョン配信をしており、最近チャンネル登録者数が100万人を突破したばかりだ。ソロでの中層配信がメインだが、一応下層にも行ったことがあり、探索者の視聴者も多い。あとは、レイピアという珍しい武器を使用しているのも人気の理由なのかも知れない。今日は100万人記念企画として、新人探索者さん達へ向けたダンジョン探索講座配信をするために、初心者向けのダンジョンとして知られる渋谷ダンジョンに来ている。
《【100万人記念】新人探索者向け講座》
舞姫/Maihime.ch
チャンネル登録者数 1001563人
30748人が待機中
「こんまい~。舞姫だよ。今日は100万人記念の新人探索者向け講座配信だよ。最近探索者になったという方、ぜひ参考にしてね」
:こんまい~
:こんまい
:いろいろ参考にさせていただきます
:待ってた
「今日来てるのは、初心者向けとして知られてる渋谷ダンジョンの上層だよ。最初はゴブリンとかスライムとかの倒し方から解説していくからね~」
:確かに渋谷ダンジョンは初心者講座には最適やな
:ゴブリンとかでも慣れないと囲まれたときとかに意外と苦戦するからな
:魔物の特徴を知っておくの大事だからね
「おっ、ゴブリンが三匹いるね。こういうときには囲まれないようにむやみに近づき過ぎないくらいで戦うようにするのが大事だよ。魔法だったり弓だったりが使えるなら奇襲して一体倒すともっといいね」
:間合いの取り方がうまいんよ
:新人はまず攻撃されないように間合いを取りながら戦えるようになるべきやな
:近づき過ぎないってむずいよな
その後も視聴者に戦い方を教えながら、ゆっくり魔物を倒していき、3層に到達した。
「3層からは新しい魔物が現れるようになるよ。まずはコボルトとの戦い方を教えるね」
:コボルトって絶対集団でいるから戦いにくいよな
:パーティーならだれかがタンクして他のメンバーが攻撃するのがいいんだっけ
:そうそう
「全然コボルトが見つからないや。草原の方まで探しに行こうかな」
:ぜんぜんいないな
:こんな見つからんのもめずらしいな
しばらく歩き草原に着いたがコボルトが見当たらない。このままだと企画が続けられないのでもう少し奥まで進もうとしたとき右側から殺気を纏った強い魔力を感じた。振り向いてみればそこには上層にいるはずのないミノタウロスがいた。
「えっ、どうしてミノタウロスが…」
:ミノタウロスって下層の魔物だよな
:そう
:なんで上層に
:もしかしてスタンピードか?
:だとしたらやばくね
:ほんとにまずい
「まずいっ」
ミノタウロスはその巨体に見合わぬ速さでこちらに斧を振りかぶってきた。なんとか反応してレイピアで防いだが、かなり後ろまで吹き飛ばされた。
:いくら舞姫でもミノタウロスはきついか
:舞姫が死ぬとこなんて見たくない
:なんとか耐えて
:協会に報告したぞ
:協会急げぇ
一撃でこちらを吹き飛ばしたことで余裕だと感じたのか、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
「今しかない」
『ラピッドスタッブ』
今自分の出せる最大の威力でミノタウロスの足を突いた。足に傷を負わせれば逃げ切れるかも知れない。しかし、そんな考えは甘かった。ミノタウロスに傷一つすら付けれなかったのだ。その上反撃をしてきて、それを受けたらレイピアが折れた。
「傷すら付けれてないし、レイピアも折れちゃった」
:ラピッドスタッブで傷すら付かないのかよ
:下層の魔物の中でもミノタウロスは強い方と言われてるが格が違いすぎる
:ほんとに死んじゃうなんてやだよ…
こちらが絶望しているのが当たり前のことだと言わんばかりにゆっくりと近づいて来てその斧を大きく振りかぶった。折れたレイピアでは防げないし、今から逃げてもよけられない。死が間近に迫る状況で出来ることは悲鳴をあげることだけだった。
「きゃ――!」
死を覚悟したが、何者かが風を纏わせて間に割り込んだことで、斧は弾かれ、ミノタウロスはよろけた。
普通は中層以降はパーティーを組んで探索します。舞姫はソロでの攻略で一気に知名度が上昇したタイプの配信者です。
レイピアは剣術の内の一つといった感じで、天宮舞の適正は剣術です。




