不思議な弓
今から約50年前に地球にダンジョンが出来た。ダンジョンの中にはゴブリンやスライムといった魔物がいて、人が近づけば襲ってくる。そんな中、人々はダンジョン内に存在する未知のエネルギー”魔力”に適応していき、魔物と戦うようになっていった。魔物を倒したときに落とす魔石が魔力で構成されており、エネルギーとして活用出来ると分かってからは、すぐに探索者協会なるものが出来、ダンジョンは産業として発展していった。
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「これだけ魔石があれば今週分の食費は足りるかな」
僕、姫野空は訳あって1つ年下の妹の海と2人で暮らしている。そのため、生活費を稼ぐためにダンジョンでモンスターを狩っているのだ。残念ながら、僕は風魔法に少し適正があるだけの探索者なのでちまちまと1層でゴブリンなどを狩ることしか出来ないのだが。まあ適正はどうしようもないことなので、深く考えずに帰るとしよう。
「ん?なんだあれ」
帰る最中に草むらの奥の方が光っているのが見えた。1層ではレアな物など手に入るはずもないので大したものではないだろうと思いながら近づいてみるとそれは弓だった。少なくとも1層では見たことのない、魔力の籠った弓であることは分かった。
「そこそこいい値段で売れるかもしれないし、持って帰るか」
手に取ると突然弓が輝きだした。
「うわあぁぁぁぁ」
なんとも情けない悲鳴をあげることとなってしまったが、とりあえず回収はできたので帰ろうとして体の違和感に気づいた。髪が少し長くなっているし、胸が僅かに出ている。そしてなにより、男として大切なものの感覚が無い。そういえばさっき叫んだときの声も少し高くなってたかも。つまり、今身体に起こった変化をまとめると女子になったということだ。もともと男の娘とか言われていたので、あまり変化は無いのかも知れないが。
「海になんて説明すればいいかな」
そんなことを考えながら、再び帰路を歩み始めた。
作者の初雪白です。初めての作品のため、読みにくい点も多いと思いますが、ぜひ続きも読んで頂けると嬉しいです。




