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0.プロローグ

はじめまして、夕日影と申します!

初めての長編小説です。

拙い文章な上に、ラストまで書ききれるかわからない変な小説ですが、付き合っていただけると幸いです。

感想などあったらよろしくお願いします!

 アーデルベルトと呼ばれる世界、今この世界は、ちょっとした混乱に陥っていた。

 何故かと言うと――……


 魔王が「世界征服」を宣言したからである。


 もちろん、この世界に住む人間……主に国王や貴族達は黙っていない。

 魔王の「世界征服宣言」を受けた直後、それぞれの【勇者】を、魔王が治める【闇の国フェンネル】へ向け送り出したのだ。


 花の国ルエリア。

 色とりどりの花が咲き乱れるこの国も、突然の魔王「世界征服宣言」に対し抵抗するために【勇者】を闇の国へと向かわそうとした。

 しかし……


「フォムス大臣! 一体これはどういうことなのですか!」

「陛下、どうか落ち着いて!」


 一人の女性が、激昂し隣の老人に宥められている。

 彼女の名前はローズマリー・シェルレッド・ルエリア三世。この国の女王である。


 何故、彼女がここまで怒っているのかと言うと――……


「何故……何故一人も勇者志願者が来ないのですか!」


 そう。

 他の国は国ごとにそれぞれ「勇者志願者」というものを募集し、それぞれに十分な装備と金貨を渡して送り出したのである。

 もちろん、女王もそのつもりで「勇者志願者」を募集したのだが……何と、一人も集まらなかったのである。……そう、一人も。


「仕方がありません、陛下。ルエリアの民は元々気性も穏やかで、争いを好む者などいません。そんな者達が、どうして自ら勇者を志願しますでしょうか……」

「しかし、このままでは我が国の民は他の国から「臆病者」と罵られて終わりです。いくらなんでも、そのような屈辱は……」


 魔王討伐など、他の勇者達に任せて置けばいいのだ。

 問題は国の体面やプライド、その他もろもろにある。

 このまま勇者を送りださなければ、ルエリアの国民は「臆病者」と罵られ、女王は「無能」のレッテルを貼られてしまうだろう……それだけは、何としても避けたい。

 女王は思いつめた表情で考え込む……そして何か思いついたのか、広間の端に向けて声を張り上げた。


「オットー! オットー・ファストは居ますか!」

「陛下、オットー・ファストはここに」


 女王の呼び声に応え、現れたのは青いローブを羽織った初老の男だった。

 ローブには、この国の象徴であるルエリアの花が刻み込まれたブローチがついていた。


「オットー、宮廷魔術師長である貴方に一つ頼みたい事があります」

「我らが親愛なる女王陛下、どうぞなんなりと」


 オットーが恭しく頭を下げ跪くのを確認すると、女王は口を開いた。


「ルエリア女王として命じます。今すぐ、召喚の魔法を使ってここに勇者を連れてきなさい!」


 女王の言葉に、オットーは驚いて頭を上げ、すぐ傍にいたフォムス大臣も驚きで目を見開く。


「へ、陛下、本気なのですか? 召喚の魔法は秘術であり禁術、それに伴うリスクも大きい、いくら何でもそれは……」

「お黙りなさい、大臣! 臆病な民が立ち上がるのを待つよりも、勇気ある一人の人間を送り出すほうが……」

「陛下、しかし召喚された人物が……」

「わたくしはもう待っていられないのです! オットー、これは命令です。明日まで猶予を上げましょう、それまでに勇者をここに連れてくるのです。よいですね?」


 女王はそこまで言い切ると、大臣の制止を振り切り足早に広間を出て行ってしまった。

 そこに残されたのは、渋い顔をするフォムス大臣と、呆然としたままそこに立ち尽くすオットーだけだった。



***



「それで、どうするのですかお師匠様?」

「どうするもこうも……女王陛下のご命令だ。聞くしかなかろう」


 薄暗い地下室の中、オットーは一人の幼い少女と一緒に部屋の中を行ったり来たりと忙しく動き回っていた。

 広い地下室の真ん中には、大きな魔法陣が描かれている。


「……さて、ジェイ。そろそろ呪文を唱えるぞ、お前は離れていなさい。危ないからな」

「はい、お師匠様」


 ジェイと呼ばれた少女が魔法陣から離れたのを確認すると、オットーは小さな声で呪文を呟き始めた。


「水と氷の魔術師、オットー・ファストが命ずる……異世界に住みし勇気ある者よ……時空と世界を繋ぐ扉を開き、今、我が元へ……召喚!」


 オットーが大きな声で叫んだ瞬間、魔法陣はまばゆい光を放ち地下室の中を白く照らした。

 そして、光が収まった時……魔法陣の真ん中には、黒い髪の少女が一人、眠っていた。

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