暗黒とトリガー
その人は黒いフードを被っている。
夜に城からそっと出てきたところだ。
息を乱しながら、ペースを上げひたすら城内を走り続ける。
ただ月が綺麗で静寂な夜だった。
その人は軽々と自国の城壁に登った。
彼っていたフードが風で外れる。
現れた顔は美しく、どこか儚げな表情だった。
その人が真っ先に向けた視線の先には、真剣に鍛錬する若い男性がいた。
若い男性を見る視線はどこか特別な感情があるように感じられる。
そこに込められた視線にはいったいどんな想いがあるのか。
その人は下唇を噛み、しっかり口を固く結ぶ。
ゆっくりと懐から銃を出した。
その人は口角を歪めた。
そのことに憶て、無理やり口角を上げる。
隠しきれていない悲しげな表情。
それでも...
「やりきらなくては」
空を見上げる。
「全てが幻想であればいいのに」
そう広き、再び鍛錬中の男性の方へ視線を向ける。
涙がこぼれ落ちる。
意を決意したように、表情が強張った。
そして鍛練中の若い男性にそっと銃を向ける。
銃口がわずかに月の光を反射する。
この距離であるのなら_
一瞬戸惑いの表情が見えた。
頬に涙が伝う。
引き金がゆっくりと動く。
「さよなら。」
その夜、城中に銃声が響き渡った。
その人には男性、女性とは書かれていません。
性別を表すような描写は控えて書かせていただきました。
皆さんはどちらだと思いましたか?




