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第1話「天生」

実験的にUP

夜の静けさが家を包み、月明かりが穏やかに差し込む中、50歳の歴史教師佐藤清は、ふかふかの布団に包まれて横になっていた。彼には妻と一人息子があり、平穏な日常を送っていた。今日はいつも通り、歴史を教える授業を終えて帰宅し、少し疲れた体を休めていた。


「やれやれ、今日もよく喋ったな…」


彼が今日教えたのは、大内義隆という戦国大名の話。九州や中国地方で栄えた大内氏の当主で、若き頃に「神童」と称された男。しかし、最終的には重臣たちの裏切りで命を落とす、悲劇の大名だった。歴史を教えてきた佐藤にとって、義隆の運命はあまりにも儚く、それでいて興味深いテーマの一つだった。


その夜、彼はいつも通り眠りについた――はずだった。


だが、夢の中で、どこからともなく、鈍く鐘が鳴り響く音が耳に届いた。次第にその音は強まり、頭に響き渡るようになる。奇妙な感覚に襲われ、目を開けようとしたが、体がまるで石のように重く感じられた。


「なんだ…?」


心臓が高鳴り、息苦しさに包まれる。冷たい汗がじっとりと背中を流れ、次第に視界が暗転していく――そして意識が途切れた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


目が覚めた時、佐藤は自分の置かれた状況に驚愕した。視界には不思議なぼんやりとした光が広がり、体の感覚がいつもとはまるで違う。手を動かそうとしても、まったく思うように動かせない。自分の手が、まるで赤ん坊のそれのように小さく、柔らかい。


(これは…どうなってるんだ…?)


困惑する中、周囲の景色が徐々に明らかになっていく。彼を優しく見守る女性がいて、隣には和装をした男性が立っている。二人は明らかに現代では見る事の無い服装をしていた。佐藤は言葉を発しようとするが、口から出たのは赤子の泣き声。


「亀童丸様!お元気そうでございますね!」


その言葉を聞いた瞬間、佐藤――いや、今や亀童丸として生まれ変わった彼は全身が震えるのを感じた。「亀童丸」というのは、かつて自分が教えた大内義隆の幼名である。そう、彼は大内義隆として戦国時代に転生してしまったのだ。


(まさか…大内義隆に…俺が?)


自分の運命を信じられないまま、赤子としての亀童丸は自然と泣き声を上げた。しかし、それは単なる赤子の声ではなく、50歳の大人としての混乱と恐怖を含んでいた。それでも、周囲の者たちはそんな彼の泣き声を喜ばしげに受け止め、未来の名将の誕生を喜んでいた。


「この子は大内家の未来を背負い、必ずや、九州を統一する名将となろう。」


男性の言葉が誇らしげに響く。しかし、亀童丸として生まれた佐藤は、その言葉に戸惑いを感じていた。歴史を知る者として、義隆が迎える悲劇の運命を知っているからだ。


しかし、それでも佐藤――いや、亀童丸は心の奥底で決意を固め始めていた。歴史を変えるために、彼の知識と50年の経験をフルに活かし、この戦国時代を生き抜こうと。

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