プロローグ とある■■の物語
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――――ここは、どこだ……?今の状況を整理すると、私は気を失い倒れていたんだろう。だが、何だ?この真っ暗な部屋は……?
とりあえず初歩的なことから思い出してみよう……。私の名前は……名、前は……私の名前は果たして何だっただろうか……?
「よう。目が覚めたかい?知ってるかもしれないが、ここは死界……まあ冥界みたいなもんだ。」
「冥界……?初対面だが君は誰かな。……もし良ければ私が誰かも教えてほしいものだが……。」
「さあな?俺のことなんてどうでもいいだろ?そんで、俺はお前のことなんかに興味はない……と言いたいところなんだが……お前、少し面白そうだな。お前、記憶喪失なんだろ?」
「――――恐らくそうなんだろう。記憶があやふやで断片的なんだ。」
目の前にいる彼は何者なのだろうか。それが目下で一番気になるんだが……。
「せめて君の名前だけでも教えてもらえないか?」
「名前、か。俺に正式な名前なんてもんは存在しねえんだがなぁ……、『ハーデル』とでも呼んでくれ。――――そうだ!お前の記憶を取り戻す手がかりになるかもしれない、所謂昔話をしようじゃないか。 これはとある夏の日のこと……。」
そこから始まったのは二時間に渡る昔話の読み聞かせだった。要約すると魔法とやらが使える世界に魔王とやらを倒すために呼び込まれた学校の生徒達の話だ。裏切りや暗殺、恋愛が蔓延るその集団での出来事を話されていた。最初にクラスメイトに見捨てられ死んだ少年、恋人を庇い無駄死にした少女、その少女が死んだことを無下にし生徒全員に刺された恋人(笑)の生徒会副会長等個性的なキャラクターが多く意外にも面白かった。
「どうだ?面白かっただろう?」
「意外にも面白かったな。これがどう記憶を戻すことにつながるのか?」
「……覚えてやがったか。まあ、無関係でもないがな。」
「ふむ……?」
「分かってなさそうだから教えてやるが……お前はさっきの話で言う討伐された魔王的なポジションだな。」
「……?そう言われてもピンとこないが。」
「ここで質問だ。お前は前世――――生きていた頃に積んだ徳があるからな三度までなら蘇ることができるぞ。記憶がない状態だが蘇るか?それともこのまま天国へ向かうか?」
ハーデルが言うには“天国”とは死んだ者がほぼ全員送られる場所で、そこでの消滅こそ本当の死を意味するらしい。天国もイメージしていた良い人だけが送られる場所ではなく、どちらかと言うとフラットな世界だそう。そこで悪行を重ねれば処刑され、ずっと善行を重ねていけば条件付きで復活することも可能だそう。
「三回まで蘇れる?どんな詐欺だ?」
「前世が凄かったってだけじゃねえのか?ま、俺から言わせてもらっても前世では良くできたやつだったよ。俺が言うんだから間違いないぜ?」
私は一体前世で何をしたのだろうか?それに、ハーデルのお墨付きで何があるのだろうか……?記憶が欠けているとは言え分からないことだらけだ。
「だが、聞いている限り天国とやらに行くよりも一度復活して旅をしてみるのも楽しそうではあるな。三度まで蘇れるのだったか?」
「蘇るのか?もしそうなら俺がフォローしてやるよ!」
「前世の事などは知らないが、何も知らない状態で色々な知見を得ていくのも楽しそうだと思ってな。ハーデルが良いなら復活させてくれないか?」
「お!分かったぜ!それじゃあ現世の適当な場所に送り届けておくからな!どうしても気になることがあるなら呼びかけてもらえたら答えてやるよ!出来る限りのサポートもしてやるからな!」
何故、こんなにもサポートが手厚いのか……。今考えても仕方ないだろうが。
「それじゃ、送り届けるが大丈夫か?」
「ああ、問題ない。最後に私が現世で活動する時の名前をくれないか?いずれ記憶を取り戻したら使わなくなるかもしれないが……。」
「そうだなぁ……『ナルトス』とでも名乗れば良いんじゃねえか?」
「あぁ、そうするよ。何から何まで感謝する。」
「良いってことよ!何か困ったら俺に呼びかけろよ?じゃ、またいつかな!」
そんな言葉と共に私の意識は遠のいていった。
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