夕暮れ時
僕が何時も通る帰り道は本当は通りたく無い。
だって、自動販売機の前に何時も屯しているオジサンが僕を睨んで来るから。
他の道を通って帰りたいんだけど、何時も通る道しか僕知らないから、あのオジサンが怖いけど通らざる得ないんだ。
ほら今日も僕を睨んでる。
俺は地縛霊、自動販売機で好きな銘柄の缶コーヒーを購入している時、心筋梗塞で死んだ。
あの世に行くって選択もあったんだが、俺はこの自動販売機の前にあるベンチに座り遠くに見える山並みが夕日に染まって行くのを見るのが好きだったんで、此処で地縛霊をしている。
ああ、またあの幼稚園児くらいの歳の浮遊霊が俺をチラ、チラと見ながら通り過ぎて行く。
なんで死んだのか知らないが家に帰る途中亡くなったのだろう、自分が死んでいる事に気が付かず、夕暮れ時になると俺の前を通り過ぎて行くんだ。